Victo-Epeso’s diary

THE 科学究極 個人徹萼 [CherinosBorges Tell‘A‘Bout] 右上Profileより特記事項アリ〼

アンサーブリード

アンサーブリード



<答えの種>が現れて十年──
今や世界を支配する<光の教団>は
新しい種の子どもたちを手厚く保護していた。

その保護区域にテロリスト集団が現れ、
少年と少女は離れ離れになってしまう。

教団の対抗組織<新しい世界の樹>が
狙っていたのは、子どもたちの能力を
平和利用した新たな世界の産業革命だった。

一方で子どもたちを旧世代の価値観、
社会観念に縛られない掛け値なき存在とする
<光の教団>は、子どもたちの権利を食い物に
されないため旧世界との闘争を行っていた。

教団の中でも新進派の存在、
人文加速者AMIDAは、自分自身を実験台に、
人間の意識を次元上昇させ世界を変えようとする。

光の教団の第一人者であったケルヴィン・ローは
<答えの種>の唯一無二である第1世代であり、
世界救世主と呼ばれた男であった。

彼は奇跡を起こす力を持ち、
数々の革新を人類にもたらし、
やがて自分の後進となるべき新しい世代が
続々と生まれてくる時代が訪れることを予言し死んだ。

彼の肉体は死後コンピューターシステムに組み込まれ、
人類に有益な新たなる理論、真実を排出し続ける
「サトリドライブ」と呼ばれ、その肉体から培養抽出された
特別な因子は一般人に組み込まれ、特別な能力の発現をする
個体も多く出てくるようになっていった。

ケルヴィン因子に適合し人工能力者となった比較的若い世代は
第二世代能力者<セカンドヴァイス>と呼ばれ、恐れられ敬われた。

セカンドたちの中でも特に強い力を持った人間たちが
AMIDA率いる<碑文騎士>──エピタフナイトと
呼ばれる組織に編入され、世界の変革を目指す集団になった。

エピタフナイトのある一団が極東の地域で起こした
ある次元上昇実験によって、周辺住民や学生たちが
巻き込まれて肉体ごと未知の世界、星幽界に連れ去られてしまう。

同時に、地上に黒い暴虐の生命体、ニグルムが出現する。
街が破壊され世界の終わりかと思われた時、星幽界から帰還した
一人の少年が謎の有機的機械兵器と融合してニグルムを殲滅する。

人間たちの意識が神々への階段、違う次元への回廊を開き、
その先の星幽界で、荒廃し滅んだもう一つの地球を見た少年は、
宇宙規模の意志から最終兵器を渡されて帰還したのだった。

かつての宇宙の最終戦争で、生命としての意味も意義も忘れて
破壊の限りを尽くす兵士としての生命体として自らを改造したニグルムは、
小規模の個体を除き殲滅されたが、その生き残りが星幽界の回廊を通して
現界に出現したのだった。少年はニグルムを狩って殲滅することを誓う。

かつてアリステラと呼ばれたニグルムの元種族、
カルドゥスと呼ばれた異星人、ラスファンと言う善良な中立の宇宙生物
地球には異星の種族が来訪していた。

アリステラと人間の混血種の末裔は特異な変異を起こし、
秘密結社ミューラーアンドミューテーションズとして編成されていた。
カルドゥスは全なるものへの回帰を果たし、全帝-ゼンテイ-と呼ばれる
宇宙皇帝に今や支配されていた。ゼンテイのコピーを目指し作られた
兵士ゼンクロンたちは宇宙世界すべてを蹂躙していた。

ゼンクロンやアリステラたちに対抗するためつくられた最終兵器、
ゼキュートスを擁する少年は、エピタフナイトに目をつけられ、
否応なく戦いに巻き込まれていく。その一方で、少年を取り込もうとする組織、
極東政府をも裏で操る財団が現れ、光の教団との対立構造が見えてくる。

<新しい世界の樹>リグドラシルは一部カルドゥスに操られ、
<光の教団>ルミナリーズはラスファンの庇護を得て存在していた。
<リミタリティ協会>はアリステラの出資により成り立ち、
世界の大勢力の裏には異星人が関わり、地球人同士による代理戦争の様相を呈していた。

一方で、ケルヴィン・ローが予言したアンサーブリードとしての力に目覚める能力者たちも増え、
世界は混乱と戦乱に巻き込まれる一歩手前に陥っていた。

西方大陸で起きたアンサーブリードの少年兵達による一斉蜂起に対し、
投入されるゼキュートスの少年。戦乱を沈静化させようとする中、
エピタフナイツによる介入で、戦線は混沌を極める。

しかし、その戦乱すらもAMIDAの狙いによるものであり、
彼は武装蜂起したアンサーブリードたちを配下にした挙げ句、
状況を利用してヒューマンアクセラレーション実験を繰り返した。

その結果、彼は世界を敵に回すが、熱烈な信者や協力者たちも確保して
新世界のカリスマとなっていった。世界的には未だ迫害されがちな
アンサーブリードの受け皿ともなっていく。

アンサーブリードはどんな宇宙、どんな星でも生まれてしまう
生命種の先にある何かである。その先には、いつもいつも旧世代との
大きな争いが生じ、生命種全体が衰え、やがて神の依代ような
特別な少数の個体に収束し、星の主となる。それを繰り返してきた。

種としての存続を誇る定常生命と、個としての完成を果たす
アンサーブリード、しかしその先にどんな繁栄があるのか、
確認できたものはいない。彼らはいつも諍いを巻き起こし、
自然と文明ごと滅び、姿を消していった。

故に、宇宙生命たちはいかにして生まれてしまう
アンサーブリードたちを剋するかに力をかけてきた。

ラスファンはかつて宇宙を滅びに至らせたアンサーブリードを、
それでも新しい世界の可能性として育てようとしている。
彼らは進化の可能性をかつて自ら切り捨てた種であり、
その贖罪のように宇宙の生命たちを見守っている。

アリステラは極度の肉体改造により、
機械と生物の半ばの存在となり、
やがて無機質な進化の道をたどっていた。

カルドゥスはかつてアンサーブリードとの
戦いに勝利した数少ない種族で、精神文化の
特別な発展により、他とは違う形での進化を遂げていった。

とはいえゼンテイ自身がかつてアンサーブリードと呼ばれし
種そのものであり、自身の大切なものを守るためシステムに
組み込まれた者であることを今ではほぼ誰も知らない。

アンサーブリードたちは地球の実権を地球人の手に取り戻そうと
闘争を始める。ゼキュートスの少年は奇形樹である機樹を操る
リミタリティ機関のロゴスティカ部隊に学校ごと襲われるが、
その過程でAMIDAに復讐を誓う少年と出会い共闘する。

一方でリミタリティ機関を裏切ったリグドラシルは
地球に組み込まれた古代システムである古ノアの遺跡を始動する。
その実権を争いエピタフナイツとリグドラシルとの戦いが始まる。

古ノアによって空間を制御された世界では自由に次元を上昇することは出来なかった。
故にAMIDAはそれを開ける鍵となるシステムを構築しようとする。

少年たちがリグドラシルを殲滅した後、
古ノアのシステムにより手に入れた鍵を用い、
AMIDAはヒューマンアクセラレーションを決行。
特殊な結界のようにデザインされた大都市の上空を飛び回り、儀式を行う。
しかし、その先にはおぞましい高次元の精神生命体たちだけがあり、
AMIDAは禁断の愚物となり生物の姿を超越した肉塊にされて暴れまわる。
ゼキュートスの力を振り絞って少年はAMIDAと戦い、勝利する。

ゼンテイやアリステラの評議委員会は、
地球の動向を見守っていたが、やがて
AMIDAがヒューマンアクセラレーションに失敗し
ゼキュートスの少年に敗れると、行動を開始する。

彼らは<星海紗>オルガという
巨大宇宙奇形生物を人類に貸し与え、
その結果野に放たれたそれと人類と争わせるのだった。

一方で、アンサーブリードとして目覚めた新世代の少年少女たちは
そんなオルガにも負けない力を見せていった。
しかし、オルガと心を通わせる少女の登場で事態は急変。

人類はオルガの肉腫に飲まれていき、危機を迎える。

それはアンサーブリードの根源とも関わっていた。
宇宙全域におけるオルガの存在がアンサーブリードの発現を促していたのだ。
オルガとは際限なく肥大化した答えなき存在。それを統括し力として纏め上げるのがアンサーブリード。

地球に放たれたオルガは少女を軸にすべてを飲み込み、一つになろうとしていた。
しかし、やはりここでもゼキュートスの少年。骨肉腫を切り離しすべてを元に戻す。

地球にはしばしの平和が戻ってきたかのように見えた……。

そこに、突如としてゼンテイ率いる宇宙艦隊が現れる。
ゼンテイは地球を滅ぼさんとするように攻撃を仕掛けてくる。
消滅していく都市。失われていく仲間たち。

しかし、消滅したと見られた都市は巨大な宇宙船に転送されただけであった。
ゼンテイは地球を救ってやると言い、ゼキュートスに勝負を挑む。
それに勝利し、人類は新たなる一歩を踏み出すかに見えた。

リグドラシルの機関は古ノア戦の過程で、地球には秘められし大いなる謎、
空間圧搾システムによる折りたたみがあることがわかった。
現空間が展開されることで、世界の地図は大きく変わり、
地球は無限大に平坦かつ広大な大地へと変わっていた。

そこで人類は見たこともない生物や謎の遺跡群と出会う。
それは星幽界に至る時に見た景色に似ていた。

調査に向かった中央大陸の大森林で見つけられた巨大地下遺跡には巨大な神の像が祀られていた。
いや、それは紛れもなく人間だった。巨大な人間そのものだった。それは捕らえられた宇宙種族だったのだ。

地球は階層構造を持った超時空要塞で有ることが判明し、そこには巨大な宇宙生物の標本や
巨大な兵器群やエネルギー炉が装備されていた。地球がただの惑星であるというのは
壮大なるカモフラージュだったのだ。

ミューラーアンドミューテーションズは、その機関の使い方を知っていた。
かつて要塞が敵対したアリステラの住人である彼らには、地下船体のコードの使い方がわかっていたのだ。

カルドゥスと故郷を同じくした巨大都市要塞、それが地球の正体だった。
ミューラーアンドミューテーションズとの戦いの果て、
地下遺跡はかつての神々と共に封印される。

しかしその技術を持ち帰って蘇ったAMIDAは、
ゼンテイと対峙しその正体を看破る。
彼は失った后を求めて宇宙を旅していたのだ。

太陽にあるもう一つの時空要塞……そこに彼の后の亡骸はあった。
彼と彼女のの身体から作られた戦闘生命がオルガ。
原初のアンサーブリードであり、本当の答えであったはずの二人。

永遠の生命を持っていた彼と彼女は、
しかし宇宙のすべてを優しく統治しようとして
足元を救われすべてを失っていたのだ。

太陽の主は地上に浮上し、自らを救世存在と名乗り顕現した。
ゼンテイとクイーンの身体から作られた雌雄同体の完全生命。
呪わしき過去を突きつけられたゼンテイはこれを殺すために
生きてきた。

しかし、救世存在はここに結実を見た。
それは月に出現した暗黒の球体に対抗しており、
この世の闇、次元塵の総体であるそれを倒そうとしていた。

クイーンは何も知らずに己を差し出したわけではなかった。
ゼンテイは納得し、ケルヴィン・ローの子どもたちを
新しい時代への本当のアンサーブリードと認める。

果てしない光と闇の戦いの果てに、人類は勝利を見る。