Victo-Epeso’s diary

THE 科学究極 個人徹萼 [CherinosBorges Tell‘A‘Bout] ノーベルノークスクラム賞狙い 右上Profileより特記事項アリ〼

メルティアンズESP 撹拌能

<聖法庁>では子どもたちの協力を募って
聖人の奇跡を再現するための実験を繰り返していた。
殆どは無価値なままだったが、関係機関の
医療施設でひとつの成果が現れる。

通信手段を用いない隔離された環境で仲の良い特別な双子に
ある共通規格のブレインストプログラムを走らせる。

そのプログラムは脳内の周辺環境情報を読み取って乱数を生成し、
視覚環境にランダムにオーバーレイを表示していく。双子は
その表示されたパターンから一つのイメージを選び取って
演算領域にインプットする。

そこで示された結果は、完全なる選択結果の一致。
完全なパラメータ同期だった。

ブレインストプログラムによる精神同調実験の結果だ。
なぜこのような現象が起こったのかは未だに謎だ。
しかし、現象として認めることにした。
遠く離れた場所にいる猿の行動の習性が伝播した話を知っているかい。
同じように、われわれの脳にも元々、外部の他者に対し直接的に意識を伝達する
何らかの機能があったのではないか。それを仮に<撹拌能>と呼ぶことにしたんだ。

カクハンノウ……?

テレメンタリーとも言うかな。
ともかく、そのなんとも形容詞しがたい無意識下のデータを解析して、
雑多なデータ群として処理することはできるようになった。

これは一種のバックドアになりうる危険性をはらんでいるので、
この領域からのブレインストプログラムへのデータ転写は行われないよう
国際規格で再調整された。

しかし、そこに至るまで、ブレインストプログラムの更新が出来なかった
中間世代の人間たちは、テレメンタリーブレイクアウトに曝されることになった。

精神溶融の結果、かれらはメルティアンとなった。
今も各地の閉鎖病棟に彼らは隔離され、夢を見続けている。