Victo-Epeso’s diary

THE 科学究極 個人徹萼 [CherinosBorges Tell‘A‘Bout] 右上Profileより特記事項アリ〼

2018-01-01から1年間の記事一覧

メルトバース

私が選ぶ事の出来たのは、結局ひとりきりで居ることだけだった。私が私以外に番となるなにかと出会い、番う事が出来たとしても、それに意味を感じなかった。なぜなら、私は生まれたからだ。世界のすべてを犠牲に、私は生まれた。私の存在が罪であり、罰なの…

塔の果て

塔の果て、宇宙の彼方には、「なにもない」があった。倒れ伏した私の肋骨から、一本の骨がこぼれ落ちた。それは塔の炉である銀河中心の太陽に落ちた。新しい形の染みが生まれた。それは、因果の因と、因果の果をいとも簡単に入れ替えた。世界のすべてが完全…

時間圧搾

空間の圧搾技術があるなら、それが時間方向に働くこともありうる。そして、すべて物質はすべて空間であり、すべて空間はすべて物質でもありうる。私は、地球に何が起きたのかを思い知った。時間の圧縮により、何千万年という長い時間が一瞬にして訪れた。そ…

その部屋には何もなかった

私はその部屋に入ったが、その部屋には何もなかった。ただ、私はなんとなく気になってその部屋に立ち止まった。この部屋にはなにもない。同様に、この塔にもなにもない。世界が滅びて、今までにないものが見つかった。でも、その中身は空っぽのハリボテだっ…

空間圧搾

かつて、空間圧搾技術と言うものがあった、らしい。塔の都市を作った、先史文明の遺産だ。この塔は空間圧搾によって普段通常の空間位相から隠されており、恒久の時間に耐える強さを持っているらしい。しかし、その塔が通常空間に姿を表したということは、滅…

星の都

塔の麓に、いくつか侵入口があった。通風孔のダクトような場所を進んで中に入っていく。砂埃にまみれたダクトの奥に、金属の鉄さびたような柵に覆われた換気口が見つかり、なんとか柵を外して中に入った。奥の方に進んでいくと、エスカレータのような段差が…

王国の夢

巨大な機械仕掛けの塔。現代の社会にはあってはならないもの。あり得ざる真実がそこにはあった。見たところ、塔は天高くまで続いている。高さにして数十kmはくだらないだろう。雲上の高くまで続いて、空気の散乱によって上部は見て取れない。こんな施設が…

虚栄の塔

西に向けて歩み続けると、建物の残骸が散見されるようになった。手頃なボロきれで身体を覆い、被服する。人々が生きていた時代は終わった。生命は、動物も、虫のようなものも、植物ですらすべて……死んでしまった。止まった歴史の時代、何もかもすべてが史料…

死せる星の王

地上に降り立った私は、何が起こったのか確かめようとした。大地は灼熱の地獄と化して、人間にはどうしようもないくらいの大いなる災厄によって焦土と化したことが目に見えていた。人間であった頃の私が覚えているのは、平和だった世界に急に、東の空から渦…

メルトエンド

その日、世界の終わりを願った誰かが居た。誰かはスイッチを押した。世界は死んだ。それだけのためにこの物語は存在する。人類のすべてが一つになれればいいのに。そんな夢を思い描いていた時期があった。大人になって、現実を知って、孤独を知った。なのに……

📒 群青は晴天の砂漠を往く

精神医学と、仮想現実と、引きこもりキモヲタニートの話 自慢できるほどではないが、私は器用な男だった。 三人兄弟の次男として生まれた私は、意思が強く、よく両親と喧嘩をする長男と…… 甘えん坊で、その癖、気の強い三男との間に挟まれて成長した。 兄も…

📘 僕はキミを許さない。~許さない、絶対にだ~

青さ爆発0721小説 このあいだ僕の古い友人であるところのHの家に行った。 適当にくつろいで、手料理をご馳走になったり一緒にテレビを見て笑ったりした。 彼は恋人のKと別れてからいつも無愛想だったので心配していたが、 H曰く「大丈夫だよ過去の事さ。…

📒 ニンギョウさんのはなし

ゆめのあるニンゲンになりたいと、いつもねがっていました。 ボクはコワレかけたニンギョウのようなソンザイでしかないから。 いとがきれて、だれにもあやつってもらうことのできないニンギョウさん。 だれともつながることのできない、あわれなオモチャ。 …

📒 深きものの噺 ‐ Episode From Deep One.

死んだ魚のような目、という表現がある。 目が曇っており、瞳に生気の宿らない、光を失った眼差しをした人間の眼。 無気力的で、力のない瞳…… 僕はその表現は的を射ているのだと思う。 いいや、表現などというレベルではなく、物理学的に有り得る話なのだ。 …

📒 リアル桃太郎

僕の名前は桃太郎。 変わった名前だと思うだろう?でもこれには特別な由来があるんだ。 驚かないで聞いて欲しいが、なんと僕は桃から生まれた人間だというのだ。 これは僕を拾ってくれたお祖父さんとお祖母さんが聞かせてくれた話なのだが、ある日お祖父さん…

📒 もう一度君に会おうとして

幼い頃に出会った君に、僕の全てが伝うだろうか。 遠い日の記憶、夢、幻、残照。 いつか出会った過去、いつか出会う未来。 その全てが、君だった。 だから僕はいつもこう叫ぶ。 もう一度君に会おうとして。 ロックン・ロールの奏者というものに憧れてから随…

📒 クリスタルコミュニケーションズ

西暦2012年、8月2日――東京。 天気予報は告げた。この日の最低気温はマイナス10度。 首都圏は今日も凍えるような真冬日だった。 ◇ 黄泉実亜(よもつ みあ)の一日は、暖かいコーヒーを飲む事から始まる。 以前はコーヒーなどたまに缶入りのものを買って飲むく…

📒 白鳳の湖

◆1 エイミが家を飛び出したのは午前10時を回った頃だった。 「伯母さんを助けるために、薬を取ってくる!」と言い残し、幼い少女は街を飛び出したのだ。 ロゼッタストリートと呼ばれる郊外の田舎町。緑と山に囲まれ、住人達は皆顔見知りだった。 エイミが…

📒 イルミナティズ・アセンション

(※尾崎兵梧の日記より抜粋) 私が「ネッコ」と言うハンドルネームで文書を書き始めてから、もう既に数週間もの時が経った。 あれから私の生活は、とても滑稽な、恥辱に塗れた日々と成り果てた。 これも私がイルミナティの広報役として選抜されてしまったから…

📒 人類の離散的幸福の時代

(尾崎兵梧の日記より抜粋) 意識のクオリア問題について、私の見解を述べる。 良く言われることではあるが、同じ場所に居る複数の人間が同じ光景を見ていたとしても、各々が自覚する『感じ』というものは、全く違うものであるかもしれない。例を挙げれば、周…

📑 無限都市の彼方

はじめに、地球があった。人類は故郷を後にした。無数の船、星の都市が生まれた。 星々の世界は知性の光に満ちた。しかし、それも長くは続かない。 人類はいつしかそれぞれの信ずるものに因り分かたれていく。無数の戦火が生まれた。 宇宙の空間とエントロピ…

📘 イデアルゴリズムPt.4

イデアルゴリズム Pt.4 目の前には青い空があった。 何処までも透明で、澄み渡る空。 しかし、どうあがいても手が届かない空。 ほんの一歩たりとも届かない青の世界。 「あー……」 僕はその円形の青空に向かって手を伸ばした。 でも、伸ばした手は暗闇の淵か…

📘 イデアルゴリズム Pt.3

「実はこの世界は滅びに向かっているんだ」 「はぁ?」 岡倉悠馬はいつものように突拍子もない話を始める。僕は『ああ、そうですかハイハイ良かったね』と適当にあしらおうとしたのだが、上手くいかなかった。何故かというと、その時は丁度学校の近辺に大地…

📘 イデアルゴリズム Pt.2

僕はどうやら、未だに岡倉悠馬の仕掛けた夢の中に居るらしい。 そのことに気が付いたときにはもう手遅れだった。 下駄箱に入っていたラブレター?誘われるままにまんまと放課後の屋上におびき出されてしまった僕は、既に抜け出すことの出来ないフィンガート…

📘 イデアルゴリズム

「観念生成式、というものを知っているかい?」 「知らん」 僕は即答した。 「まあまあ、そう言わずに。知ろうとする気持ちこそが大事なんだよ、南部君」 「まーたそう言う事を……」 僕は軽く手を振って岡倉悠馬を追い払った。 今は授業休みの真っ只中。次の…

📒 150億の星の廻り

神となったが如き男を再現しようとした実験に 巻き込まれ葛藤を余儀なくされた少年少女の後悔と悲哀 その研究所は今では古く薄汚れていて、利用されることもなく打ち捨てられていた。 米国のとある片田舎にあり、澄んだ空気の中、小さい施設なりに夜ごと天球…

📒 70億の人の群れ

「お母さんが死んだよ、シム」 母親の訃報が届いた時、その子供はまだ10歳にもなっていなかった。 「シム、よく聞いておくれ。もう君のお母さんは家に戻ってこられないんだ。天におわす御主の元へ帰っていったんだよ」 子供を宥めようとする大人たちの声は、…

📘 G.N.S. - 別離の理由

G.N.S.4.44 ──空が落ちてくる。 廃病院のベッドで寝転がりながら昨夜の事を思い出す。 眩しすぎたあの星空の彼方に消えていった彼女の事。 もう朝日は昇っているはずの時間なのだが、天体の軌道が歪んでいるかのように光も姿を現さない。 その代り、天に瞬く…

📘 G.N.S.[4-5] 十二年後

記憶の中で、柔らかい夕日が窓から射しこみ、視界が鮮やかな赤で彩られている。開かれた窓から吹き こむ風は、窓枠の上に座る先輩の長い髪を、たおやかに揺らし続ける。 僕はそのころ高校二年生だった。放課後の校舎、静かな部室棟の一室。僕らは二人でそこ…

📘 G.N.S.[4-4] 彼女は行った

風の音が聞こえて目を覚ます。 周囲の視界は暗い。だけどその向こうには無数の瞬き輝く光の点……迫ってくるような星空が目の前に あった。 僕はベッドに寝かされていた。体にかけられた薄汚れた布団を蹴って、硬い枕から頭を起こす。 動いた時、わき腹が痛ん…