Victo-Epeso’s diary

THE 科学究極 個人徹萼 [CherinosBorges Tell‘A‘Bout] ノーベルノークスクラム賞狙い 右上Profileより特記事項アリ〼

虚栄の塔

西に向けて歩み続けると、
建物の残骸が散見されるようになった。
手頃なボロきれで身体を覆い、被服する。


人々が生きていた時代は終わった。
生命は、動物も、虫のようなものも、
植物ですらすべて……死んでしまった。


止まった歴史の時代、何もかもすべてが史料だけになった星、
そんながここにあった。ここには、みんなが生きていて、
楽しいことも、悲しいことも、嬉しいことも、全部たくさんあったはずなのに……!!


私は悲嘆に暮れつつ、歩んだ。今の私は、半身半霊の存在なのだろうか。
何時間歩んでも腹は減らぬし、髭は生えないし、足の裏が痛くなることもない。


灼熱の大地を踏みしだいても足の皮は綺麗なままで、
熱いということがわかる以外何もなかった。


私は覚者の成れの果て。存在は空虚。
しかし、私は何の為に生まれてきたのか。


私には確かな予感が感じられたが、今はその予感を
言葉として卸すことは出来なかった。ともかく、進んだ先に何かがある。


そんな気がして、私は大地を蹴った。


更に行くと、西の空に大きな影が見えた。
「何だあれは?」


そこには、見覚えのない巨大な塔の影があった。
それは、人類が、いや、歴史が、世界のすべてが覆い隠し続けてきた虚栄の塔だった。