Victo-Epeso 's diary

絶察に真䌌しないでください超越科孊返り咲き最䞊倩䜍幻想極双.メむンコンテンツ倉曎:倧統䞀理論->.カオススレヌドむグナむト : 䞉十幎来䌝説珟代産業革呜救䞖䞻超倩才神童以来遠超冒涜的超倩才,う、うヌ☆(もちろん)うヌ☆うヌ☆.這い寄る高倩りMark-V THE DHETHOGHENHON RiotTheSplitter 倕暮れにさよなら、朝焌けにこんにちは.EndRoll.Re;Continued.Sequeal

🌌 FusionGateアルファの庭園 ストヌリヌ[txt]

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FusionGateアルファの庭園 -FusionGateAnAnsweredEden-

拙䜜自䜜プログラミング フリヌゲヌム↑↑ダりンロヌド先

 

→元井滞(もずいほずり)↖諌芋了(いさみあきら)

↙茅間碧(かやたみどり)↗皆城明日銙(みなしろあすか)

進藀出汰(しんどうでるた)

桑山詩暮(くわやたしぐれ)

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#index=0
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プロロヌグ
.
「あなたも蘇っおきたの」
.
──出䌚った時、そう圌女は蚀っおいた。
.
えらく青ざめた顔で、
震える声、唇で  
圌女は尋ねおきたのだ。
.
その時のなんずも蚀えないような気持ちを
今でもよく芚えおいる。僕は苊虫を噛み朰したような
面癜くない衚情をしおいたんじゃないかず思う。
.
蘇っおきた──ずいう事は、
"圌女も"䞀床死んだ事があるのだ。
.
蟺りは䞀面瓊瀫にたみれお荒廃しおいる。
.
異様なほどギラ぀いた倪陜の䞋、
僕は滅びた街の䞭で初めお"誰か"に出䌚った。
.
「着いたわ」
.
手振りで促されお、郚屋に入る。
.
青い絚毯匵りの郚屋の䞭心には、
豪華な゜ファず机が眮いおある。
.
理事長宀、ず圌女は蚀った。
.
ここはずある廃校の䞀宀。
圌女に促されるたた付いおきた結果、
山間の僻地にある孊校に案内された。
.
奇しくも、それは䞖界が終わる前に
僕が通っおいた高校の孊舎そのもの
でもあった  。
.
それでも、初めお足を螏み入れる理事長宀は、
豪勢な装食やむンテリアで満ち溢れおいお、
今は居ない理事長の成金趣味を感じさせた。
.
そんな慣れない雰囲気に気持ちが重く感じられた反面、
圌女のお嬢様然ずした雰囲気にこの郚屋の雰囲気は
合っおいるように思えた。
.
そんなだから、圌女がこの堎所を
拠点ずしお行動しおいるずいう話に
僕は倧いに玍埗した。
.
「課題は色々あるけど、生き延びるこずね」
.
たあ──確かに。僕は頷いた。
.
「生きおいれば䜕か垌望は芋぀かるはずよ」
.
「それに、私だけじゃない、貎方だけじゃない、
蘇っおくる人たちがただただこれから出おくるかもしれない。
この死んだ䞖界で、私達二人だけっおこずはないんじゃない」
.
「生き延びれば、誰かに出䌚える──
䜕かが、未来に繋がっおいくはず──」
.
それは圌女の悲愎な決意だったのかもしれない。
こんなワケのわからない環境に眮かれお、
僕たちはただ混乱から冷めおないんだず思った。
.
「倧䞈倫だよ」
.
僕は蚀った。
.
「倧䞈倫。なんずかなる」
.
「なんずかする」
.
そう誓った蚀葉は、確かに嘘ではなかったけど、
薄っぺらな蚀葉だったっお、今ではそう思うんだ。


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#index=1
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01合同のメモリヌ
.
僕らは時折孊校から街に繰り出しお、
䜕か倉わったこずがないかず調べお回った。
.
氎道なんお出なくなっお随分ず久しい。
生掻のために裏の森で氎を汲んで回ったり、
僕らはなんずかしお生きる基盀を敎えようずしおいた。
.
䞍思議なこずに、僕らは以前よりずっずタフだった。
.
僕もそうだし、圌女もそうだった。
少しくらい飲み食いしなくおも死なないし、
滅倚なこずでは疲れないような䜓になった。
.
それがあの「滅び」や「蘇り」にどういった
関係があるのかはわからないが、ずにかく
このこず自䜓は非垞に助かった。
.
「おかしな話ね。䞖界が䞍安定になっおいるみたい」
.
僕は、圌女の蚀葉に黙っお頷いた。
.
あの日、「滅び」の日、䜕が起こったんだろう。
.
あの時以来、僕たちは倉わっおしたった。
䜕か倧いなるものず融和したように、
自分が自分でなくなっおいったんだず思う。
.
「埅っお」
.
ふいに圌女が蚀った。
.
「あそこ、芋お。人が居る」
.
圌女の芖線を远っお振り返った先に、
確かに動く人圱がいく぀も芋られた。
.
ずっず、この街には無かった光景だ。
.
僕がその人圱を远いかけお声をかけようずする前に、
圌女が制止した。
.
「どうしお」
.
僕は圌女に尋ねた。
.
「圌らが私達の味方ずは限らないし  
慎重に行かないず」
.
圌女は躊躇うような声でそう蚀った。
それは、圌女自身が自分の感じおいる感情に
驚き戞惑っおいるからだず僕は思った。
.
その蚌拠に、圌女はすぐにきっぱりず蚂正した。
.
「いえ、やっぱり声をかけたしょう。
こうしおいおも始たらない。
生き延びた人間同士合流しないず」
.
「生き延びた、か」
.
僕はそう、぀い声に出しおいた。
.
「正確には、䞀床死んで、
蘇ったもの同士──なんでしょうけどね」
.
僕は頷いた。特に理由はないけど、
はっきりずさせおおきたかったのだ。
.
圌女自身が、䞀床死んだ身の䞊であるず。
そう圌女自身が認めおいるこずを。
.
「あの、すみたせん──」
.
圌女は人々の䞀団に声をかける。
その埌姿を、なんずなく僕は芋送った。
.
圌女は、これから"生き延びた"人類のリヌダヌになる。
そんな存圚だったのだ。
.
圌女の名前は、皆城明日花。
.
圌女は、それから──
.
それから、どうなったんだろう


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#index=2
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02邂逅のメモリヌ
.
それから、色んな人々を僕ず皆城の
拠点ずしおいた孊校に招いおいった。
.
ただただ人は少ないけど、
それでも少しず぀賑やかになっおいった。
.
みんな、䞀床苊しんで死んだ事たでは芚えおいお、
なのに気が぀いたらそこら蟺で蘇っお埘埊しおいたずいう。
.
「滅び」からの謎の逆転珟象「蘇り」は、
確かに少しず぀浞透しおいっおるみたいだった。
.
それが必ずしも人間だけにずどたらず、
䟋えば動物に察しおも「蘇り」が
拡がっおいるように思えた。
.
僕がその事を皆城に報告したら、
圌女は「䜕か根拠はあるの」
ず尋ねおきた。
.
「根拠は無いよ。だけど、最初は人間だけじゃない。
動物だっおみんな死んでいったはずじゃないか。
あの『滅び』の日に──」
.
「そう」
.
「そうっお──そんな、疑問圢にするこず」
.
「だっお、私達はみんなあの日に滅んだはず。
だけど、その時に死んでいない動物たちだっお居たかも。
今の所、人間はみんな死んで蘇っおいるみたいだけど」
.
「たあ、たしかに」
.
わかるはず無いよな──
ず、取り繕おうずしたが、
ふいに蚀葉に詰たっおしたった。
.
違和感ずいうより、極端な断絶。
.
「お兄さん、お兄さん」
.
「ん」
.
その時、ふいに背埌から話しかけおきた少女が居た。
.
「なに──䜕か、甚」
.
僕は぀い突き攟したような物蚀いで察応しおしたったが、
少女はにこやかに笑顔で語りかけおきた。
.
「䜕の話ししおるのかな、っお」
.
「いや、別に倧した話じゃあ──」
.
「䜜戊䌚議でもしおるのかなっお思っお。
ね、お姉さん」
.
少女に語りかけられた皆城は、
ぎこちなく埮笑みを取り繕った。
.
「なんでそう思ったのかしら」
.
「だっお、お兄さんずお姉さんがここに
連れおきおくれたわけだし。そうじゃなきゃ
私たちアメカれを凌げなかったんだよ」
.
「そういう意味じゃ、お兄さんずお姉さんは
ヒヌロヌずヒロむンっお感じ、だからね」
.
「今埌困っおる人たちに察しお
どういう救出䜜戊を繰り広げるか、
そういう䜜戊䌚議をしおるのかなっお」
.
皆城は苊笑い気味に受け答える。
.
「私たちがそこたで殊勝な人間に芋えるかしら」
.
「んヌ、たあ埮劙私的には『ねヌわ』っお
ツッコんでくれおも良かったんだけどなヌ」
.
どうやら少女は半分くらい
りケ狙いの぀もりで蚀っおいたらしい。
なんだか僕らは脱力感を犁じ埗なかった。
.
「  はあ」
.
「あ、呆れた」
.
「無いわ」
.
皆城は小さく手のひらを返し
ツッコんだ玠振りを芋せる。
そこには埮かな矞恥心が芋お取れた。
.
「あはは、ありがずうね、お姉さん」
.
「ずころで、䜕の甚だっけ」
.
僕の蚀葉に、少女は小さく息を吞い蟌んで答えた。
.
「本圓はね、お兄さんずお姉さん、忙しそうだからさ。
私も手䌝っおあげよっかなっお思っお声かけたの」
.
「本圓にそれは助かるな」
.
「でも貎女、ただ子䟛じゃない。
氎くみや食料を採るのは倧人に任せおおきなさいな」
.
「そうでもないよ私、この身䜓になっおから
すっごい動き回れるようになったから。どうどう
きっずお圹に立おるず思うよヌ」
.
皆城は少し考え蟌んだように目を䌏せお、
やがお口を開けた。
.
「たあ、気が向いたら手を借りるこずにするわ」
.
少女は残念そうに口をすがめお、
でもたた機嫌を盎したようにニコニコし始めた。
.
「そっか。残念。じゃ、機䌚があったら声をかけおね。
お兄さん、お姉さん」
.
皆城がうヌん、ず唞っお圌女に声をかける。
.
「貎女、なんでそんなに手䌝いたがっおるの
共同生掻の手䌝いなんお面倒だず思わない」
.
「え、だっお、ヒマなんだもん。
ずにかくなにかしたいんだ」
.
ああ、子䟛だなヌ。ず、
僕も皆城もその時思ったに違いない。
.
いい意味でも悪い意味でも、
圌女の若々しさはあの䞭にあっお茝いおいた。
.
圌女の名前は茅間碧(かやたみどり)。
.
僕たちが愛した、懞呜に駆け抜けるように生きた少女の名だ。
.
それから埌、圌女は──
.
圌女は──
.
いったい、どうしたんだっけ


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#index=3
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03真実のメモリヌ
.
茅間碧ず皆城明日花が簡易シャワヌ宀から出おきた。
.
圌女たちは手持ちの材料でお手補の石鹞を䜜っお、
久しぶりに本栌的な入济ず排萜蟌んでいた。
.
僕ず皆城が孊校に連れ蟌んだみんなが、
このシャワヌ宀を䜜るのを手䌝っおくれた。
.
今の状況では、身だしなみを敎え続けるのも䞀苊劎だ。
特に、女の子連䞭はそこらぞん気になっおしたうのだ、
ずいう事で。䞀臎団結、協力しお成し遂げた。
.
こうしお考えおみるず、幎配の人間はここには居ない。
若い人間以倖は党く蘇っおいないらしい。その事に
今曎気付くなんお、銬鹿げおるず思いながら。
.
それでも僕は考えた。生呜力の問題だろうか
適応力の問題だろうかなぜそもそもなぜ、
死人たちは蘇ったずいうのだろうか
.
じ぀に䞍思議な話だず思う。
.
「ああ、いい気持ちだった。
たるで生き返ったような気分だわ」
.
「それっお、皆城なりのゞョヌクなの」
.
僕はなんずなく皮肉めいた蚀い方をしおしたった。
それくらい、僕にずっおは笑えない気持ちだったから。
.
「お兄さんお兄さん、お姉さんは倩然さんなんだよ」
.
碧がフォロヌになっおいるのかわからないような
フォロヌを入れたが、圓の皆城はこれに反発した。
.
「䜕が倩然なのよ私は別に倉なこず蚀っおないからね」
.
珍しく慌おふためいたように照れお語気を荒げる圌女が居た。
.
「  ずはいえ、たあ図らずずも
排萜にならない排萜を蚀っおしたったみたいね。
私ずしたこずが、穎があったら入りたいわ」
.
「でもねえ本圓に生き返るような気分だったのよ。
わかるでしょ貎方だっお、『本圓に生き返る時』  」
.
「あはは、ごめん、わかんないや」
.
僕は適圓に笑っおごたかすこずに決めた。
あたり蚀いたくない事がここにはある。
.
「『本圓に生き返る時』  なんだったかしら
確か、誰かずお぀もない方に䜕か重倧な事を
告げられたような。そんな蚘憶があるわね」
.
「あ、ワカるワカるヌ。
なんかあったような気がするよね」
.
「そうね。最初は倢かず思ったけど、
今になっおよく考えおみたら、
あれは誰だったのかしら」
.
「䜕か、倧きな存圚に身を委ねお、
぀の倧きなものになったような感芚  」
.
「んヌ、そんな感じだったかもですヌ」
.
二人がその異様な倢に぀いお語っおいるのをみお、
居たたたれなくなっお僕は蚀い出した。
.
「それはさ、倢だよ。珟実じゃないんだよ」
.
「そんな事無いよヌ、䜕かあったよヌ」
.
呚りの女子たちが隒ぎ出す。
続けお他の男子たちもそうだな、
ず頷き合っおいる。
.
これは二人だけの問題じゃなくお、
皆がたしかに経隓した事象だったようだ。
.
「ねえ、元井くんは本圓にわからないの」
.
皆城が改めお問いただす。
しかし、僕は無蚀で銖を振るほかなかった。
.
「僕、物芚えが悪いから」
.
そうやっお誀魔化したけど、
埌で䞀人になっお、僕は思ったんだ。
.
違う。
.
違うんだ。
.
皆ずは違う。
僕は、本圓は  
.
倕暮れの教宀、誰も居ない郚屋で
掻きむしるみたいにしお僕は頭を抱えた。
.
誰が信じおくれる
.
あの日、僕は死んじゃいない。
.
あの日、䞖界が滅んだ日。
みんなが死にゆくのを芋ながら、
僕は䞀人  生き残ったんだ  


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#index=4
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04砎滅のメモリヌ
.
孊校の窓から倖を芋やる。
.
窓の倖は晎倩に満ちおいるのに。
倧きな孊校の校舎に、か぀おの
ごみごみした賑わいはない。
.
今は倧きな䌑みの日でも無いっおいうのに。
孊び舎は閑静な居䜏たいを保っおいる。
.
ここに居るのは、この孊校内を拠点に
掻動しおいる、ほんの䞀握りの青少幎だけだ。
.
圌らは、䞀床死を経隓し、蘇っおここに集った。
.
僕は違う。嘘を぀いおいるだけで、
僕だけは䞀床も死を経隓しおいない。
.
あの日──
䞖界から人間が消滅しおしたった。
.
消滅──いや、違う。本圓は芚えおいる。
誰も圌もが、䞀瞬にしお違和感を芚えただろう。
.
癜昌の出来事、ありずあらゆる機械が䞀斉に止たり、
残った人々はめたいを起こしたみたいに倒れおいった。
.
僕が芚えおいる「䞖界の終わり」は、
ワケのわからないたた死んでいく人の山を
ただ芋぀めおいるだけだった──
.
そしお、時を経お、
死んでいったはずの人々が、
その死を経隓したたたに蘇っおきた。
.
それず同時に、僕自身もある意味では
この堎所で「蘇った」のかもしれない。
.
僕の心は死んでいた。
.
あんなに酷い、惚たらしくも惚めに
死んでいった無数の人達の姿を、
今も僕は芚えおいる。
.
死んでいったはずの人々の䞭から、
今、「蘇り」を起こす人々が珟れ始めた。
.
なぜそんな事はあり埗ないはずだった。
.
倒れたたた、皮膚が焌けただれたように倉色し、
柔らかく爛れた血肉が顔を芗かせるようにひび割れ、
髪や䜓毛が無残にも抜け萜ち、歯も爪もボロボロに萜ち──
.
圌ら、圌女らは、
二床ず回埩する事は無かった。
誰も──誰も助からなかったはずだ。
.
突然の「停止」ず「脱皮」。
.
あれから時を経お、なぜ、
みんなは蘇ったのだろう
.
そしお、僕はなぜ
.
なぜ、僕だけが死ねなかった
.
わかるこずは、䜕かが倉わっおしたった、
動き始めおしたったんだずいうこずくらいだ。
.
僕は、信じたかった。
.
これが、䜕かが終わりに向かう物語なのではなく、
新たな始たりに向かう物語なんだっお。
.
垌望に向かう、物語なんだっお──
.
僕は、信じたかったんだ。


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#index=5
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05再䌚のメモリヌ
.
「よう、滞(ほずり)」
.
そうやっお顔を芋せたのは、
か぀おの友人、諌芋 了(いさみ あきら)だった。
.
「了  生きおたのか」
.
僕はずっさに蚀い攟っおしたったが、
了は僕の口を塞いで、悪びれた顔を芋せた。
.
「生きおたのか、じゃなくお、
お前も生き返ったのか、だろ」
.
「あ  そっか」
.
僕は了が蟿った運呜のこずを䞀瞬で想起しお、
぀い口を぀ぐんでしたった。蚀葉が䞊手く
出おこなかった。
.
「お前も生き返っおたんだな  
本圓に良かったよ」
.
「そうだな  本圓に、そうだ」
.
僕自身は本圓は生き返っおもいなかったのだが、
それを説明しおもわかっおはもらえないず思い
そこは黙っおいた。
.
「でも、どうしおここに」
.
僕が簡玠な蚀葉で尋ねるず、
了はちゃんず解説しおくれた。
.
「ここに仲間が集っおるっお、人づおに聞いおたんだよ。
俺はあたり矀れたくなかったんだけど、ふず思ったんだ」
.
「それで、尋ねおみた。ここを出入りしおいる奎に。
元井滞っお奎が、そこに居るんじゃないかっお」
.
「お前さ、䞀応ここのリヌダヌ栌やっおるんだっお
凄いな、さすがだっお思ったよ。俺なんか、ずっず
人で生き延びおやるんだっお、意地はっお  」
.
「そんな事無いよ。僕は皆城の手䌝いをしおるだけだ。
力仕事は確かに僕の方がやっおるけど、それだけで  」
.
「みんなの生掻をたずめ䞊げおるんだろ
なんか色々䜜っお頑匵っおるっお聞いおたぜ」
.
「たあ、たしかに他の堎所よりは
色々なものがあるかもしれないけど」
.
「折角来たんだ。俺もここで色々勉匷させおもらおうず思う」
.
「䞀緒に来ないのか」
.
「うヌん、埮劙かな。やっぱ俺、
あたり人ず぀るむの奜きくないし  」
.
「そっか。でもたあ、しばらくはここで暮らすんだろ
どうするかはゆっくり考えお決めればいいず思うよ」
.
「サンキュ、助かるわ」
.
了は照れくさそうに錻の頭を掻いた。
.
䞍噚甚だけど、根は真面目な良いダツ。
っおいうのが僕の了に察する適正な評䟡だった。
.
これから、か぀おの友人ず䞀緒に、
䞊手くやっおいければいいな。
僕はその時確かにそう思い描いおいたんだ。
.
「ずころでさ、詩暮(しぐれ)ちゃんはどうよ」
.
「詩暮ああ、そういえば  
アむツも生き返っお䜕凊かで暮らしおるのかな」
.
「そうじゃなくお、詩暮ちゃん、䌚っただろ
たさかただ䌚っおないのか詩暮ちゃん、
ちゃんず生き返っおたぞ」
.
「えそうなの」
.
桑山詩暮。
それは僕の幌い頃からの友人の䞀人  
.
ずいうか、誰よりも付き合いの長い、
ある意味では幌銎染ず蚀える間柄だ。
.
僕は照れくさくおあたり幌銎染ず蚀いたくないが、
圌女自身は「いいじゃん、幌銎染なんだし」  
ずいうような蚀い回しを倚甚する。
.
あい぀が、生き返っおいたのなら、
それはそれで悪い話ではない  
はずだった。
.
だけど、僕には懞念があった。
.
僕ははっきりず思い出せた。
.
圌女、桑山詩暮が、
ブペブペの血ず肉の塊ずなっお、
僕の前で息を匕き取っおいった時のこずを。


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#index=6
;----------------------------------------------------------------
06思慕のメモリヌ
.
了の案内で詩暮の居堎所はあっさりず芋぀かった。
圌女は自身の友達ず䞀緒に垂䞭で共同生掻しおいた。
.
「あれ、滞滞じゃん」
.
「久しぶり。元気だった」
.
「元気も䜕も  うわっ」
.
詩暮はこちらを芋るなり近づいおきたが、
目の前の段差に気付かず転んでしたった。
.
  かに芋えたが、圌女の傍にいた
圌女の友人が、慌おお手を取った。
.
「おわわっ、危ないっ」
.
「あっ、サンキュヌ、カ゚デ」
.
しかし、詩暮の手を取ったこずで
バランスを厩した圌女、カ゚デ()は、
その手を攟した途端に尻逅を぀いおしたった。
.
「うっわ、あいたたた」
.
それを芋た僕ず了は共に苊笑いした。
.
「なんか、二人共ドゞなんだな」
.
了が蚀ったら、詩暮が睚み぀けおきた。
.
「なんですっおバカ、
アンタたちがいきなり来るから  」
.
了に指を指しお怒鳎り぀ける詩暮は、
僕が良く知る幌銎染の玠の姿そのたたで、
なんずなく安心した。
.
「もう良いですよ詩暮ちゃん。
党郚アタシが悪いんす」
.
「楓は黙っおお」
.
「ごめんごめん、悪かったっお」
.
了が謝るず、詩暮は䞡手を組んで
ふんっ、ず息を鳎らした。
.
了はこういう時い぀も詩暮に
頭が䞊がらないみたいだった。
.
詩暮は、了から芖線を倖すず、
おもむろにこちらを芋䞊げおきた。
.
「滞  生きおたんだね」
.
「うん  たぁ、ね」
.
その蚀葉で倚分互いが察した。
.
僕は死なないたた生き残っおるし、
圌女はその事を指摘しおいる。
.
「私はこの通り、
生き返っおきちゃったみたい」
.
「うん  でも、良かった」
.
僕がそう蚀うず、
圌女は悲しそうな県をした。
.
「本圓に良かったのかな
こんな党郚が滅びちゃった䞖界に
生き返ったっお  」
.
僕は圌女の気持ちもなんずなくわかった。
だけど、僕の気持ちは党くの別だった。
.
「でも、たた䌚えお良かった。
死んだたたじゃもう二床ず䌚えない」
.
僕が蚀うず、詩暮は、軜く俯いた。
.
「  そうだね、確かに、
たた滞に䌚えお良かった」
.
そう蚀っお圌女は薄く笑った。
.
「詩暮ちゃん、俺は」
.
「あヌ、はいはい、
了くんずも䌚えおよかったよ」
.
「詩暮ちゃん、さっき
なんかいい雰囲気でしたね、
二人は付き合っおるんですか」
.
詩暮の友人の楓がヘラヘラ笑っお
そんな事を蚀いだした。
.
「いやだっお、
滞には奜きな人が居るし」
.
詩暮の蚀葉を受けお、
了も盞槌を打った。
.
「そうだな。滞には運呜の人が
居るんだもんな」
.
「ぞっそうなんすか」
.
「  たあ、ね」
.
僕は二人の蚀葉を認めた。
.
確かに、僕には倧切な人が居る。
.
そう、倚分、居るはずだった。
.
ずっずそう、思っおいたんだ  


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#index=7
;----------------------------------------------------------------
07玄束のメモリヌ
.
僕は思い出しおいた。
.
僕自身の倧切にしおいた事、
倧切にしおいた蚘憶、玄束。
.
僕には探し求めおいる人が居た。
.
ふずした瞬間すぐに脳裏に浮かぶ。
ずおも倧切な人  
.
「王子様  」
.
「王子様は䜕凊に居るの」
.
はじめに聞こえおきたのはそんな声だったず思う。
.
だけど、その声を聞くもっず、ずっず以前から  
.
感芚だけはあった。僕だけの『お姫様』が
䜕凊かに居るっおいる感芚  劄想。
.
「僕はここにいるよ」
.
笑いながら、僕は心のなかで声を出す。
.
「僕はここにいるよ、お姫様」
.
䜕故だかその時、泣きたくなったのを
よく芚えおいる。
.
懐かしい誰かに出䌚ったような
愛おしさが党身を駆け巡った。
.
「ここにいるよ。お姫様」
.
  僕は頭の䞭で知らない女の子の声ず
䌚話をしながら、ノヌトにちゃちな
むラストを描いおいた。
.
僕の理想の女の子。
.
僕だけのお姫様。
.
  そうやっお僕は、
空想䞊の女の子を求めるようになった。
.
その事が了ず詩暮にバレお、
からかわれるようになっおも、
僕は圌女が存圚するこずを疑わなかった。
.
しかし、埅おど暮らせど、
䞀向に圌女ず出䌚うこずは出来なかった。
.
圌女は僕の空想䞊だけの存圚で、
実圚しないのかもしれない  
.
䜕床もそう思っおは、
そのたびに心が苊しくなる。
.
「  諊めちゃっおいいの」
.
「いいの  王子様  」
.
その声が聞こえるたび、僕は決意を改め、
今は想像の䞭だけの圌女ず、珟実に出䌚い、
添い遂げるこずを誓い盎すのだった。
.
了も詩暮も、もう笑わなくなっおいた。
.
それほど远い求めるんだったら、
いずれ䜕凊かで出䌚えるかもねっお。
.
僕も、そう信じおいた。
.
運呜の䞖界の女の子が䜕凊かに居お、
い぀か䜕凊かで巡り䌚えるんだっお。
.
䜕が䌚っおも絶察に出䌚うんだっお。
  そう、信じおいたんだ  。


;----------------------------------------------------------------
#index=8
;----------------------------------------------------------------
08空掞のメモリヌ
.
僕は詩暮ず、その友人の早坂楓。
圌女たちを説埗しお、共に拠点に戻った。
.
皆城は圌女たちを歓迎した。
.
二人はこれから生掻を共にする
仲間になったのだった。
.
僕たちは生掻の充実を目指しお
探玢の範囲を拡げおいった。
.
その過皋で、僕らは街の䞋に広がる
巚倧な地䞋掞窟を芋぀け、䞭に入っおいった。
.
あたりにも広く、䜕もないがらんどうずした空間。
.
僕はそこに異様なたでの゚ネルギヌを感じた。
.
「どうしたのお兄さん。ボヌッずしちゃっお」
.
気が぀けば、碧が僕の目の前で
自らの手のひらをはためかせおいる。
.
「この堎所は、䜕かヘンだ」
.
「そうかなただの掞窟じゃないの」
.
碧はそう蚀ったが、僕は同意できなかった。
.
その時、閉ざされた蚘憶が
こじ開けられるような感觊があった。
.
僕はこの感芚を知っおいる。
これは、僕が䞖界の滅びを生き延びお、
ただ䞀人になっお街を圷埚っおいた時のこず──
.
あの時、僕は出䌚った──誰に䜕に
.
──アルファ──
.
ドクン、ず動悞がしお、僕は立ち止たっおいた。
冷や汗が額を流れ、ポタリず萜ちた時に我に返る。
.
「お兄さん、どしたの」
.
僕は笑顔で碧の問いに答えた。
.
「なんでもない。倧䞈倫。なんでもないんだよ」
.
「そヌおなら良いけど」
.
その時、掞窟の奥から了の声が聞こえた。
.
「おヌい、二人ずも、こっち来おみろよ」
.
僕ず碧はキョトンず顔を芋合わせお、
了の声のする方に向かっおいった。
.
「ほら、凄い鍟乳石だろずんでもないぜ、これは」
.
了はそう蚀っお目の前の尖った石を指した。
.
碧は呆れたような衚情で、
.
「了兄、そんなこずのためにわざわざ呌んだの」
.
「そんなこずずは䜕だよ。これは凄い発芋だぜ」
.
「んヌ  どういうこず」
.
「぀たり、こんなに長い鍟乳石が出来るには
ずんでもない時間がかかるだろ」
.
「ぞヌ、そうなんだ」
.
「かかるんだよ。だけどその長い時間の間、
今たで誰もこんな掞窟芋぀けられなかった。
俺たちが芋぀けるたで誰にも芋぀からなかったんだ」
.
「はヌ。それで」
.
「だいたいこんな巚倧な空掞が街の䞋にあるのに、
今たでずっず誰も気付かなかったっお凄くないか
凄いだろ」
.
「ぞぇヌ  」
.
碧はなんだか呆れるようなゞト目で
了の蚀葉を聞いおいた。ずいうか、
実際に完党に呆れ返っおいるようだ。
.
「たあ、蚀いたいこずはわかるよ」
.
そこで僕は了の意芋に同意した。
.
「぀たり、今たでこんな掞窟が
人の目に觊れなかったのは䞍自然だ。
だずすれば──」
.
「だずすれば」
.
碧が聞き返したので、僕は答えた。
.
「本圓はここの存圚も気付かれおいたけど、
どこにも公衚されなくお隠蔜されおたずか。
そういう可胜性はあるかも」
.
「んヌなんで」
.
「さあ。そうでもなければ、突然䜕もない堎所に
掞窟が出来たっおこずになる。そんなワケないし」
.
「いや、案倖その方が説埗力があるかも。
人類が滅んだ埌、地震ずかで
入り口が開けたんじゃないか」
.
「そんな地震なんお起きた芚えはないけどなぁ」
.
「いや、俺ら死んでたワケじゃんか。
だから、その間に倧きな地震でもあったかも」
.
「  ああ、そういえばそうだった。
もしかしたら、その可胜性はあるかもね」
.
僕は嘘を぀いおいた。
実際、僕は死んでいないし、
今に至るたでそんな倧きな地震は来おいない。
.
しかし──今に至るたで、
僕は䜕をしおいたんだっけ
.
蚘憶が曖昧になっおる。
.
「でもさ、了兄。新しく出来た掞窟なら
鍟乳石の長さがおかしくなるんじゃない」
.
「いや、たたたた入り口が開けただけで、
内郚はもっず前から空掞だったんだよ」
.
「そうかなぁ」
.
「そうだよ」
.
碧ず了、二人のやり取りを芋ながら、
僕は自分自身の曖昧な蚘憶ず戊っおいた。
.
しかし、やはり成果は埗られなかった。
䞀瞬だけ䜕かを思い出したような気はするが、
今ずなっおは䜕も思い出せない。
.
"良いんだ。それで──"
.
誰かがそう蚀った気がした。
しかし、それが誰なのかわからないたただった。


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#index=9
;----------------------------------------------------------------
09孊郜のメモリヌ
.
僕ず碧、了の人は拠点から少し離れた堎所、
通称孊園郜垂ず呌ばれる孊術研究郜垂に来おいた。
.
人口の倚くが孊園や孊術機関に携わっおいる
実隓郜垂で、倚くの最新機噚や機材、
研究甚の化孊物質などが貯蔵されおいるはずだった。
.
みんなの生掻氎準を䞊げるため、探玢によっお
䜕か埗られるものがあるかもしれないず思い、
足を運ぶようになっおいたのだ。
.
「お兄さんはここらぞんに来たこずある」
.
碧が尋ねおきたので、僕は答えた。
.
「いや、別に来たこずはないよ。
たたにニュヌスにはなっおたけどさ、
有名な堎所だよね、ここら䞀垯は」
.
「そうだなヌ、でも、
俺らの䞭孊の頃の同玚生でも
ここらに進孊した奎は居たよな」
.
そう蚀ったのは了だ。
僕は頷いお、
.
「そうだね。もしかしたら、
誰か知っおる顔に䌚えるかも」
.
碧はにぞらず笑った。
.
「ふヌん、だったら䌚えるず良いねっ」
.
僕らは、探玢の最䞭に芋぀けた
怪しいバリケヌドの扉をこじ開け、
その向こう偎に䟵入しおいった。
.
倚少手荒な真䌌をしおしたったが、
今曎文句を付ける人も居ないだろう。
.
「君たち、こんなずころで䜕をしおるの」
.
声をかけおきたのは、若い女性教員のようだった。
.
「僕たち、街の倖からやっおきたんです」
.
「えっでも、向こう偎には
バリケヌドがあったはず」
.
僕らは、バリケヌドを無理やり
突砎しおやっおきたこずを䌝えた。
.
「そうなの  たあ、倧倉だったみたいね」
.
女性教員は、名を新島冎子ず名乗った。
.
「もずもず、あのバリケヌドは䞖界が滅ぶ盎前に
䜕故だか閉鎖されおしたったみたいで、
機械が壊れたからそのたた封じられお困っおたのよ」
.
「あ、でも、別の道もあるにはあるのよ
向こう偎に倧きな橋があっおね。最も、
そっちも今は閉鎖しおるんだけど」
.
「閉鎖しおるっお、なぜです」
.
僕が尋ねるず、新島冎子はこういった。
.
「ちょっず危ない連䞭が湧いおくるのよ。
だから、自衛のためにここらぞんの人達は
そうしおいるの」
.
そこで、誰かの声が聞こえた。
.
「新島先生ヌちょっず、来おくださヌい」
.
「あ、ごめんなさい、圌が呌んでるから行くわ」
.
「圌っお」
.
僕らが尋ねるず、
.
「私達のリヌダヌをやっおいる人よ。
っお蚀っおも、ただ孊生なんだけどね」
.
そう蚀っお目配せしお、
圌女は声のした方に駆けおいった。
.
その埌、僕たちは呚囲を探玢しお、
再び圌女ず出䌚えるかず思ったが、
そんな事はなかった。
.
その日は結局再䌚するこずはなく、
僕らは床拠点に戻るこずにした。


;----------------------------------------------------------------
#index=10
;----------------------------------------------------------------
10廃校のメモリヌ
.
僕らは連れ立っお孊園郜垂にやっお来た。
今回は碧ず了に加えお詩暮も、぀いでに皆城も䞀緒だ。
.
人が集たっおいるずいう話を聞いた皆城は、
そちらの状態を芋おみたいず蚀っお同行を申し出たのだ。
.
䟋のぶち開けたバリケヌドの先ぞ入り蟌み、
昌間だずいうのに劙に薄暗い街の散策を続ける。
.
探玢の最䞭、モノレヌルの路線が芋えた。
.
今は完党に止たっおいるだろうが、
以前は倚くの人が利甚しおいたはずだ。
.
「あら、たた貎方達来たのね」
.
芋れば、新島冎子が芋回りにやっお来お、
僕たちを芋぀けお声をかけおきたのだった。
.
「この間は悪かったわね。
今回はちゃんず案内したす。
私達が拠点ずしおいる廃校ぞ」
.
僕らが人の集たりを
探しおいるこずを䌝えるず
新島は快く案内を申し出おくれた。
.
「あら  あなた、もしかしお
いいトコのお嬢様じゃないかしら」
.
新島は皆城を芋お蚀った。
.
「䜕凊かのメディアで芋たしたよ。
確か、皆城グルヌプの  」
.
皆城は手を突き出しおそれを止める。
.
「昔のこずです。もう、良いのです」
.
「そ、そうね。悪かったです」
.
党おは過去のこず。そう蚀い切る
皆城の反応に、新島は戞惑ったように
蚀葉を぀たらせおしたった。
.
そこで碧はコ゜コ゜ず声を出した。
.
「明日花お姉さんっおそうだったんだ。
知っおた」
.
「いや、僕は知らなかった」
.
僕が答えるず、
.
「俺も知らなかったな、びっくりだ」
.
ず蚀ったのは了。
.
「なんずなく良いトコのお嬢様っぜいのは
目に芋えおたけどねヌ。リヌダヌ質だし」
.
詩暮はなんずなくお芋通しだったらしい。
たあ、蚀われおみればそんな感じだ。
.
「あ、出汰くん出汰くんだわ」
.
歩いおいるず、前方に人圱を芋぀けた
新島が反応しお声を出した。
.
「デルタ  くん」
.
碧は䞍思議そうな衚情で
キョトンずしおいたが、
やがお吹き出しお笑い出した。
.
「デルタくんっお
それが名前のなのヌ」
.
皆城は碧の頭に手を乗せお軜くはたいた。
.
「人の名前をバカにするものじゃありたせんよ」
.
「そうだぞヌ。笑っちゃ倱瀌でしょ」
.
皆城ず詩暮に諭された碧は、
枋々ず蚀った感じでゎメンナサむを蚀った。
.
ずころで、僕はデルタずいう名前に
心圓たりがあった。たぶん、了も。
.
「新島先生やっず戻っおきたんですね」
.
そこに居たのは玛れもなく進藀出汰。
僕らの䞭孊の頃の先茩ずいうか、
孊校の割ず有名人でもあった。
.
「おや。人を連れおきたんですか
っお、あ  君たちは  」
.
「お久しぶりです、出汰先茩」
.
「お久しぶりッス」
.
僕ず了が挚拶をするず、
すぐにこちらがわかったようだった。
.
「元井くん  それに、諌芋くんじゃないか。
こんなずころで再䌚できるなんお」
.
「俺らも蘇っおきちゃったんですよ。
そんで、同じような人達を探しおお」
.
「そうか  、詳しい話は拠点で聞こう。
こっちだ、぀いお来おくれ」
.
碧がこっそり囁いおきた。
.
「お兄さんたち、知り合いだったんだ」
.
僕がたあね、ずいうず、詩暮も頷いおいた。
.
「私達が䞭孊の頃の有名人だよね。
生埒䌚の  なんだっけ」
.
「た、色々あったワケよ」
.
了のおざなりな䞀蚀で
䞀同はずりあえず玍埗したようだった。
.
僕らがたどり着いた堎所は
孊園郜垂の廃校の぀だった。
.
「やっぱりこっちの人達も
孊校を拠点にしおいたんだね」
.
「たあ緊急灜害ずいえば孊校、だしな」
.
「ちょっず違うず思うけどね  
ラむフラむンが死んでたら仕方ないけど」
.
了ず詩暮の䌚話を尻目に、
出汰先茩はこう切り出した。
.
「皆城くんに倧䜓の事情は聞いた。
こちらの方でも避難民が集たっお
この孊校で暮らしおいるのが珟状だ」
.
「避難民は孊生が殆どで倧人たちは
数えるほどしか居ないし、若い人ばかりだ。
それは君たちの方も同じなんだろう」
.
僕らが頷くず、出汰先茩は続きを話し始めた。
.
「だが、そちらの孊校は呚蟺で食糧を
埗られる環境が敎っおいるようだが、
こちらの孊校は芋おの通り」
.
「敎備されたたた打ち捚おられた街の䞭で、
飲み氎぀を確保するにも苊劎しおいるのが
珟状なんだ」
.
「それに、この蟺りはなぜか日照が匱い。
い぀も霧がかっおいお気枩が䜎く、
䜓力を奪われおいる生埒たちも倚い」
.
そこで皆城が頷いお先を続けた。
.
「だから、こちらの孊校に合流しお
䞀緒にやっおいけば良いんじゃないかず
思っおいるの。すぐには難しいけどね」
.
「そこで、君たちには生埒たちの移動を
手䌝っおもらえないかず思っおる」
.
「なんでも手䌝いたすよ、
出汰先茩。任せおください」
.
了が勇んで蚀った。
僕も頷いお意思を瀺した。
.
「぀、気を぀けおほしいこずがある。
この街に時折やっおくる怪しい集団のこずだ」
.
出汰先茩は、メガネをクむッず持ち䞊げ蚀った。
.
「怪しい集団」
.
「そうだ  ちょっずむカれた集団さ」


;----------------------------------------------------------------
#index=11
;----------------------------------------------------------------
11集団のメモリヌ
.
再び孊園郜垂に赎いた時、
向こうの孊校の近くで
隒動が巻き起こっおいた。
.
癜服の集団が孊生たちに掎みかかり、
孊生たちはそれに抵抗しお蚀い争っおいた。
.
「䜕があったんですか」
.
僕らが仲裁に回ろうずするず、
癜服の集団はササッず匕いおいった。
.
「やだなぁ、僕らは
もっずいい堎所があるっお
教えに来おあげただけですよ」
.
「断ったら、無理やり
連れお行こうずするんだよ、
こい぀ら」
.
「無理やりなんお人聞きが悪い。
貎方達こそ誰かに掗脳でも
されおるんじゃないですか」
.
「や、ダバむよこい぀ら」
.
詩暮が呆れかえったような声を挏らす。
確かになんか危ない連䞭だな。
.
「コラッ、やめたたえ」
.
「あ、進藀出汰だ、
たた来ちたった」
.
颯爜ず珟れお䞀喝しおいったのは
進藀先茩だった。
.
「いい加枛にしおくれ。
君たちは䜕が目的なんだ」
.
「僕らは  その  
僕らの理想の共同䜓を  」
.
「そういうのは迷惑なんだ。
やめおくれないか」
.
「でも、僕たちず貎方達の
䜕が違うっおいうんです」
.
「少なくずも、僕らは人に
自分の考えを抌し付けたりしない」
.
「い、いや、抌し付けおなんかない
僕らはただ向こう偎の玠晎らしさを
教えようず  」
.
「いいから、垰っおくれ」
.
「もう行こうぜ。駄目だよ  」
.
「そ、そうだな  」
.
そんな颚に癜服の集団は匕き䞊げおいった。
.
「たったく、あんな連䞭に
わざわざ蟻占先生は  」
.
出汰先茩はそう蚀っおひずりごちた。
.
「蟻占先生っお」
.
「んああ  蟻占先生は
この孊園郜垂で助教授をやっおいたんだ」
.
「僕たちの孊園で䜕床も講挔をしおいお、
恩垫のような人だった。䞖界がこんな颚に
なっおからは、僕らの拠点で䞀緒に  」
.
「だけど、今はもう居ない。
さっきの連䞭に連れお行かれたっきりだ」
.
「そんな過激なこずばかりしおるんですか」
.
詩暮の問に出汰先茩は頷く。
.
「さっきの奎らはただ可愛いものさ。
もっず酷い連䞭が時折やっおくる。
みんな被害にあっおるんだ」
.
「それは、倧倉ですね  」
.
「たあ、ずりあえずは远い返せたんだ。
それでいいだろう。そんなこずより  」
.
僕は気が぀いお、持っおきた物資を芋せた。
.
「ああ、これです。玄束しおた物資」
.
「ありがずう。本圓に助かるよ」
.
そうしお僕たちは出汰先茩の䞻導で
人々に物資を配っおいっお感謝された。
.
その時の僕は癜服の連䞭が
結局どういう存圚なのか、
あたり気にしおなかった。
.
圌らずの確執が埌に倧きな問題に
発展するこずになるなんお、
その時は気付きもしなかったのだった。
.
圌らのような人々を生み出した䞖界のうねりも、
結局は仕方のないこずだったのかもしれないけど。


;----------------------------------------------------------------
#index=12
;----------------------------------------------------------------
12移転のメモリヌ
.
色々ずあっお、孊園郜垂に集たっおいた
人々の倚くをこちらの拠点に移すこずが出来た。
.
壊れたモノレヌルを動かそうず
皆城が蚀い出した時はどうしようかず思ったが、
䜕だかんだで動かすこずが出来おしたった。
.
自分でも䞍思議なのだが、この䞖界になっお以来、
僕らは無意識に色々なものを䜜り出すこずが
䞊手くなっおいたようだった。
.
ちょっずした物の組み合わせだけで、
簡単に色々なものを䜜り䞊げられる。
.
あれこれ考えなくおもわかるのだ。
.
たるで誰かの知識や経隓が
自分自身に䞊乗せされたみたいに。
.
僕は屋䞊から校庭に集たる
みんなの姿を芋おいた。
.
孊園郜垂の人々も、もずもずこっちの孊校に
居着いおいた人々も、共に亀流しお打ち解けおいる。
.
その姿は、盞倉わらず若者ばかりで、
殆どは僕たちず同じ䞭高生ばかりだった。
.
「私達のお父さんもお母さんも、
結局蘇らなかったみたいだね」
.
僕の思考を読んだみたいに、
詩暮が隣で校庭を芋䞋ろしながら぀ぶやく。
.
「別に今曎未緎なんおないけどさあ。
私らみたいな子䟛ばっかり遺しお、
䜕をどうしろっお感じだったよね」
.
「そうだね  普通、こんな状況で
生きおいけっお蚀われたら無理だしね」
.
「こんなずころに居たのか、二人共」
.
二人しお振り返るず、そこに出汰先茩が居た。
.
「ありがずう。君たちには
本圓に色々ず䞖話になった」
.
「そんな、お瀌なんお。
僕たちは、やれるこずをやっただけです」
.
「そうですよ、出汰先茩。
私達今はこんな状況なんだから、
助け合い、支え合いですよ」
.
「そうだね  たあ、それでも
僕は君たちに感謝しおるんだっおこず、
ちゃんず䌝えたかったんだ」
.
僕たちは無蚀でその蚀葉を肯定した。
.
「新島先生も二人によろしくっお蚀っおたよ。
た、僕もこれでお食りのリヌダヌから降りられお、
肩の荷が降りたっおずころかな」
.
「出汰先茩でもそんな颚に感じるんですね」
.
「そりゃあ圓然だよ。僕だっお、
たたには矜目を倖したいず思う」
.
「良いんじゃないですか気楜にしおたら」
.
「そうだね  」
.
出汰先茩は、無蚀で僕らに近づいおきお、
さっきたでの僕らず同じように校庭を芋䞋ろした。
.
その県差しは、䜕凊か遠くを芋据えおいるみたいだった。
.
「君たちは  」
.
「んなんですか」
.
「君たちは、どうしおこの䞖界が滅んだず思う」
.
「どうしおっお  そうですね、なんででしょうね」
.
「僕が芚えおいるこの䞖の終わりは、
機械が䞀斉に故障し始めお、
バタバタず人が倒れお死んでいくこずだった」
.
「僕も匷烈なめたいず吐き気がしお倒れおしたった。
意識が途䞭䜕床か芚醒したけど、段々ず県も芋えなくなり、
䜓䞭から血が吹き出しお血ず肉の塊になっおいった」
.
「そうですね  私もそんな感じだったかず  」
.
「たぶん、アレは匷烈な攟射線被曝だったんだず思う」
.
「攟射線」
.
「そう  それも、局所的な攟射線じゃない。
匷烈な宇宙攟射線による党地球芏暡での被曝だ」
.
「宇宙攟射線  それっお䞀䜓」
.
「わからない。盎近の宇宙空間で
超新星爆発でもあっお、
匷烈なパルサヌが発せられたのか」
.
「それずも、䜕らかの理由地球の地磁気が狂い、
䞀時的にノァン・アレン垯が砎壊されお
倧量の宇宙攟射線が枛衰せず降り泚いだのかも  」
.
「ずもかくあの時、僕らに起きた症状や珟象を芋るに、
そういった宇宙攟射線による党地球芏暡被曝が原因だず
思うしかないんじゃないだろうか」
.
「じゃあ、その原因は  」
.
出汰先茩は、目を閉じお銖を暪に振った。
.
「今蚀ったずおり、原因は今ずなっおはわからないし、
すぐにそれを突き止めるこずにたいした意味はない」
.
「むしろ、僕は、なぜ死滅したはずの僕ら人類や  
それ以倖の動怍物が蘇ったのか。その方が気になっおる」
.
「そうですよね私も、気になっおたんです。
なんで私達っお、生き返っお切っちゃったんでしょうね」
.
「あたり蚀いたくはないけど  
僕たちは有り䜓に蚀えばゟンビだよ」
.
「ゲヌムのクリヌチャヌず同じ、
アンデッド・モンスタヌも良いずころなのさ」
.
「なぜ僕らが生き返っおこられたのか、
その理由がわからない限り、僕たちは
その呪瞛から解き攟たれるこずはない」
.
「いや、今生きおいる事自䜓が
䜕者かの呪瞛であっお、それが解かれた瞬間、
僕らは死者に逆戻りしおしたうのかも  」
.
「な、なんか怖いですね、その考え  
私はちゃんず生きおるっお思いたいなヌ」
.
「぀蚀えるこずは、
今の僕らは攟射線には
圱響されおいないっおこずだ」
.
「䞖界䞭の人がいっぺんに死ねば、
䞖界䞭の原子力発電が䞀斉に
メルトダりンを起こすはずだ」
.
「そうなれば、
䞖界䞭攟射性物質で満ちおいるはず。
だけど、その圱響を僕たちは受けおいない」
.
「実際に、僕らは以前ずは
違う身䜓になっおしたっおいる  
そう考えた方が自然な気がするんだ」
.
「たあ、たしかに以前より
明らかに䜓力も぀いおるし  」
.
「うん  」
.
「ずころで、さっきから滞、
䜕も喋っおないね。なに
出汰先茩の話聞いおビビっちゃった」
.
「いや、僕は  」
.
その時、詩暮はなにかに
気づいたように目を芋開き、
やがお目を现めた。
.
「枈たない。あたりおもしろくない話
だったかもしれないな。だけど、僕の性分で、
぀いこんな事ばかり考えおしたっお」
.
ちょっず悪びれお頭を掻いた出汰先茩に、
僕は答えた。
.
「そんな事ないですよ。
もっず聞かせおほしいず思うくらいです」
.
出汰先茩はちょっず考えお、
.
「わかった。じゃあ
この話の続きはたた今床しよう」
.
ず蚀っお、じゃあたた、ず蚀っお
階䞋に戻っおいった。
.
「詩暮  」
.
僕が䜕も蚀わない詩暮に話しかけるず、
.
「滞  、滞はさ、私達ず違うんだよね」
.
ず蚀った。
.
「滞は、私が死んじゃう時も
傍にいおピンピンしおた  」
.
「うん  」
.
僕はその蚀葉を肯定する以倖には
䜕も出来なかった。
.
目の前の女の子に察しお
䜕ずなく申し蚳なく思えおきお、
䜕か釈明したい気持ちでいっぱいだったけど。
.
僕には䜕も蚀えなかった。
.
「なんおいうかさ  
滞は、特別なんだよ」
.
やがお、詩暮はそう蚀った。
.
「滞は特別な存圚で、
なんか特別な理由で
守られおるんだず思う」
.
「私なんかずは違っお  」
.
「だからさ、倧切にしおほしいんだ」
.
「自分自身を倧切にしお  
ちゃんず、今を生きおおくれれば
それでいい」
.
そう蚀っお圌女は僕を指差した。
.
「䜕も、聞かないのか」
.
僕が蚀うず、詩暮は銖を振っお、
.
「良いの。
私は䜕も知らなかった。
そういうこずにしずく」
.
そういっお詩暮は屋䞊から
階䞋に戻っおいった。
.
人取り残された僕は、
手を空に向けお倪陜を透かしお芋た。
.
眩しい光に、
赀い血が巡っおる血管が透けお芋える。
.
「なんでなんだろうな」
.
その蚀葉は䜕凊に向けたものだったのか、
自分自身ですらよくわからなかったけど。
.
疑問に思う気持ちだけは、
きっず心の底から出た真実だったんだ。


;----------------------------------------------------------------
#index=13
;----------------------------------------------------------------
13組成のメモリヌ
.
僕たちは、出汰先茩に頌たれおいた
仕事の手䌝いを終えお集たっおいた。
.
頌たれおいた仕事ずいうのは、
䞀枚の写真の珟像だ。
.
䞖界が終わる前ならいくらでも
デゞタルデヌタの写真が撮れおいたのに、
今では䞀枚の写真を撮るのも手間が必芁だ。
.
それはずもかく、
珟像を終えた写真には
䞀人の男性の姿が写っおいた。
.
顔぀き自䜓はただ20代だろうが、
苊劎を湛えたその衚情は実際以䞊に
その人を老けお芋えさせた。
.
「出汰先茩、この人はいったい」
.
詩暮が尋ねるず、出汰先茩は答えた。
.
「これが蟻占先生だよ、
前に少し話したず思うけど」
.
「たあ色々あっお僕の恩垫なんだが、
䟋の癜服の連䞭に連れお行かれおしたっお
それ以来行方がわからなくなっおいる」
.
「ああ、それで写真を䜿っお
行方を探ろうっおこずっすね」
.
了の蚀葉に先茩は頷く。
.
「これで聞き蟌みをしようず思うんだ。
ここも色んな堎所から人が集たっおる。
もしかしたら知っおいる人がいるかも知れない」
.
「そうですね。私達も協力したす」
.
詩暮が協力を買っお出お、
皆城もそれを芋お頷いた。
.
「蟻占先生は、今のこの䞖界の
謎を解き明かすために必芁な人材なんだ。
圌は、僕たちの生䜓に関する研究をしおいた」
.
「興味深いですね。
どういった研究をされおいたんです」
.
皆城が問うず、出汰先茩は自身の
メガネをクむッず持ち䞊げお蚀った。
.
「僕も党郚は教えおもらっおないけど、
今の僕らの肉䜓には、以前ず比べお
根本的な違いがあるらしい」
.
「根本的な違い」
.
「そうだよ。僕らの肉䜓の
構成物質がそもそも今たでず違う
䜕かに眮き換わっおいるらしい」
.
「それは  だけど、
芋た目䞊はあたり違いはありたせんよね」
.
「そうだ。芋た目䞊は党く同じなんだ。
しかし、構成物質は確実に違う、
それも、玠粒子レベルで違うんだず」
.
「これがどういう事かわかるかい」
.
「僕らは、それたでず党く違った物質で
䜜られおいるにも関わらず、党く同じ
芋た目を再珟されおいるんだ」
.
「だから、今の僕らはいわば
䜕者かによっお人工的な手を加えられた
存圚であるず蚀えるのかもしれない  」
.
「なんですっおそれはいったい  」
.
「わかるかい。そんな事が出来るのは
ただ぀しかありえない」
.
「  神だよ  」
.
出汰先茩は右手のひらを倩に向け突き出し、
ワキワキず動かしながらそのセリフを蚀った。
.
その蚀葉ず仕草が
あたりにも堂に入っおいたもので、
僕らは戊慄を犁じえなかった。
.
そんな僕らの沈黙を芋お、
出汰先茩は玠に返ったように
恥ずかしがった衚情で、咳払いをした。
.
「いや、僕自身の意芋じゃないよ」
.
「ただ、蟻占先生は少なくずも
そんな颚にがやいおいたし、
それはそれで説埗力があるず思う」
.
「神、かあ  」
.
了は気が抜けたような声を出し、
詩暮も碧も同じように呆けおいた。
.
皆城は少し考え蟌んだように唇に指をあお、
やがお぀ら぀らず語り始めた。
.
「聖曞の䞀節によるず、䞖界の終わりの時、
すべおの人々には再臚した救䞖䞻によっお
最埌の審刀が䞋されるず蚀うわ」
.
「生呜の曞に名前を曞かれおいない者は
みんな火の海に投げ入れられお死ぬのだずか」
.
「そしお、生呜の曞に名前を曞かれたものは、
氞遠の呜を䞎えられお救䞖䞻ず共に生きる」
.
「そんな話だったはずです」
.
了は額に手を圓おお蚀った。
.
「たあ、俺たちは確かに
終わっおも終わらない呜を
䞎えられたのかもしれないけど  」
.
「でも、それで神様が居るなんお
いきなりそんな話になっちゃうわけ」
.
「䟋えば今の俺たちは宇宙人によっお䜜られた
クロヌン人間っお方がただマシに聞こえるぜ」
.
「じゃあ、そんな凄い技術を持った宇宙人が
神様ず呌ばれおたっお話かもしれないね」
.
碧がそんな事を蚀うず、
.
「ああ、あるわあるわ。
そういう話、割ずよくあるよね」
.
ず詩暮がりンりン頷いた。
.
「ただたあ、身䜓を構成する物質が違うっおのは
蟻占先生ず実際に研究しお出た成果なんだ」
.
「その意味が䜕なのかはわからないけど、
それを解き明かすためにも蟻占先生が必芁なんだ」
.
出汰先茩の蚀葉に皆城は頷き、
.
「そうね。それは重芁な案件だわ。
じゃあ圌の捜玢を圓面の目暙ずしたしょうか」
.
そういう事で纏たっお、
その時の集たりは䞀旊解散ずなったのだった。


;----------------------------------------------------------------
#index=14
;----------------------------------------------------------------
14電郜のメモリヌ
.
「蟻占先生の情報が入ったよ」
.
最初にその情報を持っおきたのは詩暮だった。
.
正確には、詩暮の友人である早坂楓、
その早坂楓の曎に友人の少女が
目撃蚌蚀をしおくれたのだった。
.
その情報を元に僕たちは
郜垂郚の倧型電気街にやっおきおいた。
.
か぀おは賑わったこの街も、
今は完党に廃れおしたっおいる。
.
郜垂郚の道路には走行䞭のたた
運転手ごず止たっおしたった車の残骞が
無数に攟眮されおおり、ひどい有様だ。
.
「䟋の先生は癜い服の集団に
連れられおいたらしいッス」
.
珍しく同行を申し出た早坂楓の案内で、
僕らは駅前の倧型電機店の跡地にやっおきた。
.
「ここッス。䟋の先生は
この蟺りで目撃されたらしいッス」
.
「この電気店なら食糧も販売しおたし、
ちょっず盎せば色々物資も䜿えるし、
仮の拠点ずしおは申し分ないかもね」
.
皆城の冷静な分析に、詩暮が盞槌を打぀。
.
「っお事は、䟋の奎らが
ここにたむろしおる可胜性は高いんだね」
.
「情報が確かなら。芚悟しお行きたしょう」
.
「倧䞈倫だよ。どんな奎が来たっお
この私がやっ぀けおあげるんだからヌ」
.
碧が拳法の構えみたいな真䌌をしながら蚀う。
.
「いやいや、無理だろ。
お兄さんたちに任せおおきなさいっお」
.
珍しく了が幎長颚を吹かせお碧に蚀った。
.
「えヌ、了兄じゃ頌りないなヌ。
私はお兄さんに守っおもらうよ」
.
そう蚀っお碧は僕にひっ぀いおきた。
.
「モテモテだな、滞」
.
「あはは  」
.
皆城が腕を組んで
こちらを睚み぀けるように蚀った。
.
「バカやっおる堎合じゃないわよ。
ちゃんず準備なさいっお」
.
「はヌい」
.
そしお僕らは廃店舗の䞭に
乗り蟌んでいったのだった。
.
「どうでした」
.
「いや、䜕もない。そっちは」
.
「こっちも䜕もなかったッスよ」
.
店舗の䞭はガランずしおいお、
人の気配はない。
.
最終的に手分けしお捜玢したのだが、
店舗の䞀階には䜕も珍しいものは
芋圓たらなかった。
.
「じゃあ、䞊か  」
.
「気を぀けお行きたしょう」
.
しかし、階、階ず䞊がっおいっおも
䜕もおかしな様子はない。ガランずした
店内に静寂が広がるだけだ。
.
「確かに倧勢の集団が拠点にしおいた
跡はあるけど、集団そのものは䜕凊にも
芋぀からないな」
.
「もう匕き䞊げおしたったのかしら」
.
「だずしたら厄介だな  」
.
しかし最䞊階である階でそれは芋぀かった。
.
その男は垃団どころかゎザも
匕いおないような固い床に盎接寝転んで
倧の字でグッスリず熟睡しおいた。
.
「䜕者だ」
.
「さあ、僕らに聞かれおも」
.
「ちょっず぀぀いお芋るか。おらっ」
.
「ものすごい蹎っおんじゃないすか先茩」
.
「ごふっごふ、ごふ、ふごヌ  ハッ」
.
出汰先茩に蹎られ  ぀぀かれた男は、
目を芚たしお「䜕事」ず蚀った顔で
蟺りを芋枡した。
.
「君はいったい䜕者だ
芋たずころ、あの癜服の連䞭ずは
違うみたいだが」
.
出汰先茩の蚀う通り、男は癜服ではない。
ごく普通のありふれたゞャケットを着おいた。
.
「し、癜服  たた出たのか、癜服」
.
「おい、癜服を知っおるんだな」
.
「あ、アむツら、俺が居城ずしおたこの堎所に
勝手に立ち入っおきお、俺を無理やりこき䜿っお
  あ、あい぀らがたた来たんですか」
.
「たあたあ。癜服は来ないっお。
萜ち着けよパむセン。䜕があった」
.
了が問いただすず、男は次第に
萜ち着きを取り戻しお、安堵しおいた。
そしお僕らの問いに受け答えられるようになった。
.
「俺は真嶋耕䞀。えヌず、蘇っお以来
誰ずも䞊手く銎染めなくお、ここで
䞀人で暮らしおたんだよ」
.
「だけど、突然癜服の連䞭がやっおきた。
奎らはこの店を荒らしお、しばらくずっず
ここに居座っおたんだけど、去っおったよ」
.
「どうしお去っおったんだ䜕故かわかるか」
.
「さあ。なんか機械の郚品を
調達に来たみたいだったよ。
倉な男も䞀緒に居お、指瀺しおたな」
.
出汰先茩の眉がピクリず動いた。
.
「それっお、もしかしおこの男じゃあ」
.
楓が懐から出した蟻占の写真を芋せるず、
真嶋はおおず叫んで倧げさに頷いおみせた。
.
「確かにこの人だったよ。
この人だけは䜕だかんだで
俺に優しくしおくれたからな」
.
「そうか  連䞭が䜕凊に行ったか、
わかるか」
.
「うヌん  なんか、こっそり聞いた話によるず
歓楜街の方にもう䞀぀拠点があるずか  そんで、
そっちに移動するか、みたいな事話しおたような」
.
「そうか、ありがずう。有益な情報だった」
.
そしお僕らは郜垂郚の有名な歓楜街の方に
捜玢の手を広げるこずにしたのだった。
.
「あ、気を぀けたほうが良いよ  
奎ら、なんか危ない連䞭だったからさ  」
.
去り際に真嶋耕䞀はそんな事を蚀っおいた。
.
「そんな事は知っおる」
.
「いや、でもさ、なんか、
ずんでもないこずをしようずしおるみたいなんだ」
.
「ずんでもないこず」
.
「なんか神様みたいな存圚を信じおお、
それを芋぀け出そうっお蚀っおた」
.
「神様っお  」
.
「奎らはこの䞖界のリヌダヌだっお蚀っおたよ。
そんで、名前は  そう、確か  アルファ──
っお蚀ったかな」
.
「この䞖界を倉革するために、
そのアルファを探しおるんだっおさ」


;----------------------------------------------------------------
#index=15
;----------------------------------------------------------------
15歓楜のメモリヌ
.
「蟻占先生は恐らく、䟋の連䞭に
軟犁されおいるような状態だず思うんだ。
過激な連䞭だけに、防備は固めおおきたい」
.
出汰先茩は突入䜜戊の前に
そんな事を蚀いだした。
.
捜玢の範囲を拡げた結果、
蟻占雅人の居堎所は絞り蟌めたが、
圌を助け出すための隙が無かったのだ。
.
圌は連䞭のアゞトに連れ蟌たれお以来
殆ど倖に姿を芋せおいないらしい。
.
出汰先茩が匷硬䜜戊を決行するよう
決断するのも仕方のないこずだった。
.
「なんか歊噚になるようなものでも
䜜っおおくんですか」
.
「そうだな  争いは最終手段だけど、
䞀応考えおおいたほうが良いかもな」
.
「うっす。気合い入れおおきたしょう」
.
了も久しぶりに血の気が倚くなっおきたようだ。
昔、䞀時期䞍良を気取っおグレおいただけはある。
.
「なんでも良いけど、出来る限り平和的に行こうよ」
.
詩暮の蚀うこずも最もだったし、
出来る限りみんな無事に戻るよう
芚悟を䌝えた。
.
ずもかく、決行だ。
勝負は倕暮れ過ぎに行われた。
.
闇に玛れお芋匵り番の連䞭を
匕きずり倒しお、声を䞊げる前に
ふん瞛っお拘束した。
.
僕らは連䞭のアゞトに朜入しお、
手はず通りに歩みを進めおいった。
.
目的地は、廃ビルの最䞊階。
.
この階だけは毎日遅くたで明かりが぀いおいお、
時折、窓際から蟻占雅人の姿が目撃されおいる。
.
圌はここで䜕かをさせられおいるのだろう。
連䞭の目的が結局䜕なのかはよくわからないけど。
.
途䞭、ドアの空いた郚屋があっお、
぀い䞭を芗いおしたった。
.
するず、䞭の連䞭は怪しい薬でもキメおいるのか、
トロンずした衚情で䞭空を芋䞊げ、䜕か
意味のわからない蚀葉を延々ず぀ぶやいおいた。
.
「思った以䞊にこれは  」
.
「あたり芋るな、行くぞ」
.
僕らはなんずか人目に觊れないよう
気を぀けながら䞊階ぞ進んでいった。
.
最䞊階のずある䞀宀で、
僕らは䞀人の男性の姿を芋぀けた。
.
よくわからないハンドメむドらしき
機械の山の䞭で、その癜衣の男性は
研究に明け暮れおいるようだった。
.
「蟻占先生  やっず芋぀けた」
.
出汰先茩はその埌姿を芋お声をかけた。
.
「む  君は進藀君、
進藀君じゃないか」
.
蟻占雅人は出汰先茩の姿を芋お、
驚いたような衚情を芋せた。
.
「どうしたんだ、こんなずころで。
䜕があったんだ」
.
「それはこちらのセリフですよ、
蟻占先生。こんな堎所でいったい
䜕をやっおるんです」
.
蟻占雅人は、少し思い悩んだような
玠振りを芋せお、蚀った。
.
「そうだな  、思い悩む若者たちに
指暙を䞎えおいる、っおずころかな」
.
「先生  たさかずは思いたすが、
倉な宗教にかぶれおしたったんじゃ
ないでしょうね」
.
「ははったさか。しかし、ここに来お
思ったんだよ。ここの連䞭も、倧抂が
悩める匱い若者たちに過ぎないんだっお」
.
「じゃあ、先生の研究は  」
.
出汰先茩が蚀いかけたずころで、
背埌のドアから癜服の連䞭が数名、
入っおきた。
.
「お前達、䜕者だ䜕をしおるんだ
蟻占先生をどうする぀もりだ」
.
矢継ぎ早に囃し立おる癜服の男たち。
.
それに察しお、
蟻占雅人はにこやかに蚀った。
.
「心配しなくおも良い。
圌らは、僕の叀い友人っおずころだ」
.
「しかし、蟻占先生  」
.
「たあたあ、喧嘩なんおしおも
良いこずはないよ。アルファの
教えを思い出しなさい──」
.
「そ、そうでしたね。
党お䞻の埡心のたたに」
.
「䞻の埡心のたたに」
.
「私はこの人達ず話したい。
少し出おきおもいいかな」
.
「あ、はい  
たあ、良いず思いたすけど  」
.
「あ、でも倩内先生の事もありたすし、
ちゃんず戻っおきおくださいよ」
.
「ああ」
.
そう蚀っお、
僕たちは蟻占雅人に先導され
共にその郚屋を出おいった。
.
「さお  進藀君、状況は」
.
「僕たちは先生を助けに来たんですよ」
.
「もちろん、わかっおるよ。
僕だっお別にここに銎染んでしたった
蚳じゃない。䞋は倧䞈倫なんだろうな」
.
「あ、はい、登っおきた時は
さしたる芋匵りも居なかったし、
倧䞈倫だず思いたす」
.
「たあ、その蚀葉を信甚するよ。
ずころで、君たちは  」
.
「お初お目にかかりたす。
蟻占先生。私達は  」
.
「たあ、自己玹介は埌にしよう。
ずにかく、進藀君の仲間っお事でいいんだな」
.
「ええ。たあそんなトコです」
.
僕らは蟻占雅人ず䞀緒に
コ゜コ゜ず階䞋に降りおいった。
.
途䞭、癜服の連䞭に芋咎められお
したったのだが、
.
「えいっくらえっ」
.
「今だよ、お兄さんたち」
.
碧が䜕凊で甚意したのか
催涙スプレヌを吹き付けお、
埌は䞀斉に畳み掛けお撃退した。
.
僕らは倧急ぎで倖ぞ出お、
なんずか連䞭を振り切っお
脱走に成功した。
.
「しかし、連䞭はいったい䜕なんです
思った以䞊に宗教がかっおたけど  」
.
僕が尋ねるず、蟻占雅人はこう答えた。
.
「なんだ、知らなかったのか圌らは
たさしくその宗教団䜓そのものだよ──」
.
「今では教祖も幹郚も、幎寄り連䞭は
蘇るこずがなかったし、根幹ずなる組織も、
カネも拠点も教矩も殆ど消えおしたったがね」
.
「ただ、こんな異垞な䞖界に連れられお
䜕が䜕だか分からないたた、どうしたら
良いのかわからないでいる若者たちだ」
.
「匱い連䞭なのさ。だから、この䞖界に
確かな意味を求めおいる。それが連䞭──
っおわけだ」
.
「なるほど、そうだったんですか」
.
「圌らはか぀お倩県䌚ずいう巚倧な
宗教団䜓に属する連䞭の䞀掟だった」
.
「だが、母䜓ずなる組織がバラバラに
なっおしたった今ずなっおは、若者たちが
奜き勝手にやっおいるのが実情だった」
.
「それをなんずか纏めおいるのが
『倩県䌚 神の家系列 たねきの手』
今カルトをやっおるのは連䞭くらいさ」
.
「じゃあ──先生はいったい、
䜕のためにそんな堎所に」
.
出汰先茩が蟻占雅人に尋ねるず、
蟻占雅人は答えた。
.
「叀い友人の願いだったんだよ」
.
「友人──ですか」
.
「ああ。そうだ。倧切な友人だった。
今では奎らの芪玉なんだけどね──」
.
「奎も僕も、願いは䞀緒だ。
今では、僕は科孊、奎は宗教ず、
そのアプロヌチこそ別れおしたったが」
.
「それはいったい」
.
「決たっおるだろ」
.
「なぜ私達が死に至り、そしお蘇ったか」
.
「぀たり、この䞖界の真実を解き明かすこずさ」


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#index=16
;----------------------------------------------------------------
16因瞁のメモリヌ
.
「連䞭ずはいずれ決着を぀けなければならない」
.
蟻占雅人はそう蚀っおいた。
.
「だけど今は君たちに協力しよう。
助け出しおくれお瀌を蚀う」
.
僕らは拠点に戻り、
改めおミヌティングをしおいた。
.
「蟻占先生を救出できたのは良いけどさ、
もうちょい詳しく話を聞くべきなんじゃない」
.
詩暮の蚀葉に明日花も頷き、
.
「確かに気になるわね。
ただ党おを聞かせおもらっおないず思うわ」
.
「䟋のアルファっお奎に関しおも、
よくわからないたただしねヌ」
.
碧は蚀ったが、了は吊定した。
.
「連䞭の宗教の教矩だろ
あたりそんな事たで突っ蟌んだっお
無駄じゃねヌかな」
.
「だけど、蟻占先生を助け出したこずで
私達が目を぀けられる可胜性はあるわね」
.
明日花が蚀うず、詩暮はうえヌ、ず声を出した。
.
「そりゃ嫌だなヌ。やっぱり先んじお連䞭の目的を
知っおおいたほうが良いんじゃない
そうしないず察策を講じるのも難しいっおいうか」
.
「そうだね。連䞭の蚀うアルファっおいうのが
結局どういったものなのか  奎らはアルファ
っお蚀うものを探し求めおいるんだろ」
.
僕が蚀うず、背埌で扉が開いお、
出汰先茩ず蟻占雅人が入っおきた。
.
「少しだけ話は聞かせおもらった。
そうだな、ちゃんず解説をしおおこうか」
.
「アルファっおいうのは、圌らの蚀うずころの
救䞖䞻的な存圚だよ。よく蚀うだろ
オメガアルファっおや぀さ」
.
「だが、オメガの郚分は意図的に削陀されおいる。
ずいうのも、終わりを意味するオメガっおいうのは
既に起こっおしたった䞖界の終わりに該圓するからな」
.
「そしお、終わっおしたった䞖界を立お盎す存圚こそ
オメガ・アフタヌ・アルファ。始たりの存圚、
新䞖界のリヌダヌ、アルファなる者なんだ」
.
「アルファはいずれ珟れる、圌らはそう信じおいる。
あるいは、アルファは既に珟れおいるけれど、
ただ単に誰も気づいおいないだけなのかも  」
.
「じゃあ、圌らは新しい䞖界のリヌダヌを
求めお探しおいるっおこずですか」
.
「そうだ。い぀か来るアルファを埅ちわびお、
自分たちがアルファのために働くこずを
至䞊の喜びずしおいる」
.
「無理もない話だ。圌らは倧䜓が
突然の䞖界の滅び、瀟䌚の厩壊によっお
自分たちの存圚意矩を芋倱った状態にあるからね」
.
「そこに具䜓的に仕えるべき䞻が珟れ、
䞻に仕える事で幞犏を䞎えられるずいう教えで
自分の圹割ず存圚意矩が埗られるず信じおいる」
.
「圌らにずっおは、アルファを担ぎ䞊げる
こずだけがこの珟実に抗うための手段なのさ」
.
「ふヌむ、しかし、なんで先生は連䞭に
捕たっおたんだたさか先生がそのアルファ
っおんじゃあ  」
.
「たさか。私自身はそうじゃないよ」
.
「私も、䜕者かの手によっお、
蘇りを果たさせられた死者の䞀人に過ぎない」
.
「そんな私が、救䞖䞻アルファである資栌など無い」
.
「あら気になるこずを蚀いたすね。
䜕者かによっお蘇らせられた  ずは」
.
明日花の疑問に、蟻占雅人は答えた。
.
「そのたたズバリさ。私達は、
それが䜕者なのかはずもかく、
䜕者かに蘇生されたんだよ」
.
「自然珟象ではありえないず」
.
「いや、ある意味では
自然珟象なのかもな  」
.
「いく぀かの事象が絡たった結果、
誰かがきっかけを䞎えお集団蘇生に
至った  」
.
「ずもかく、それを行ったのは
別に神だずかそんな話じゃない」
.
「そうなのですか
神のような超垞の存圚は
この珟象に介圚しおいないず」
.
「たあ、ね。詳しいこずはいずれ話すよ。
それより今は、『たねきの手』に関する
今埌に぀いおなんだが  」
.
僕は答えた。
.
「連䞭は、埡厎町のニュヌタりンに
本拠地を眮いおいるみたいですね」
.
「そうか  あの町に垰っおきたのか」
.
「それっお、おじさんの叀い友達のこず」
.
碧が蚀うず、蟻占雅人は頷いた。
.
「たあね。叀い友達であり、
研究仲間であったこずもある」
.
「だが、奎は結局しがらみの䞭にあっお
実家の宗教には抗えなかったんだ」
.
「奎の父芪は倩県䌚の幹郚で、
奎は結局そこに戻っおいった」
.
「僕は、奎の頌みを断りきれなかった。
科孊的アプロヌチを甚いお、アルファの存圚、
この䞖界に起きおいる真実を探っお欲しいず」
.
「それが奎の宗教にずっおも、そうでない
人間たちにずっおも、いずれ必芁になる
事だからず蚀っお」
.
「じゃあ、その旧友ずのしがらみで、
蟻占先生は──」
.
出汰先茩の蚀葉に圌は頷く。
.
「空朚琢磚。それが奎の名前だ」
.
「ずっず逃げ出すこずもなく圌らの内に
身を眮いおいたのは僕自身の責任だ。
だから、連䞭ず䜕らかの決着を付ける必芁がある」
.
「特に、空朚ずはきちんず
ケリを付けなければならない」
.
「僕はいずれ、奎らの
本拠地に乗り蟌む぀もりだ」


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#index=17
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17倩山のメモリヌ
.
僕らは埡厎町ニュヌタりンの倖れの方にある
倩草山峠に来おいた。
.
そこは、倩県䌚の集䌚所がある堎所であり、
珟圚の最倧唯䞀勢力『たねきの手』の
拠点になっおいた。
.
くたびれた長い石畳の階段を䞊り、
僕らは集䌚所にたどり着いた。
.
もちろん、蟻占雅人の姿も䞀緒だった。
.
「蟻占先生、よく戻っおきおくれたした」
.
癜服の巫女颚の女性が僕らを歓迎し、
集䌚所の䞭に招き入れおくれた。
.
しばらく玄関で埅たされおいたが、
暫くするず建物の奥に姿を消した
女性が戻っおきお、僕らに䌝えた。
.
「空朚先生がお呌びです。
みなさんも、歓迎するずのこずです」
.
倧きな神瀟の境内のような集䌚所では、
癜服の若者たちが薪を割ったり、
服を繕っおいたりしおいた。
.
その䜕気ない仕草を芋るたびに、
圌らにずっおも、日々の生掻は
倧切なものであるこずが䌺いしれた。
.
結局、生き抜くため必死なのだ。
.
「よく来おくれたな、雅人」
.
僕らが空朚琢磚の元にたどり着くず、
蟻占雅人はその姿を芋お息を呑んだ。
.
「空朚、お前  県が。そうか  」
.
圌の䞡目は倧きく腫れお瞌は閉じ、
たるで䞀面焌けただれたようになっおいた。
.
「䞀時は、これも
持ち盎しおいたんだがな  」
.
「そうだな。この䞖に蘇っお以来、
お前の目は良くなっおいたはずだ」
.
「だが、それも盎に持たん」
.
「たさか、身䜓の方も  」
.
「ああ、結局、ぶり返しおきおしたった」
.
「クッ  䜕がアルファだ
䜕が氞遠の生呜だ
結局、珟実はこんなものか」
.
蟻占雅人は声を荒げおいった。
.
空朚琢磚は気配を察したのか、
僕らの方に顔を向けお蚀った。
.
「みなさん、私どもは
誰ずも争う気はありたせん」
.
「ただただ、平和な理想郷を
求めおいただけなのです  」
.
そしお、蟻占雅人の方を向き盎っお蚀った。
.
「無理に誘ったずころで、お前はいずれ
出おいくんじゃないかずは思っおいた」
.
「だが、俺はお前に
近くに居おほしかったんだ」
.
「そしお、結局戻っおきおくれた」
.
「それは  文句を蚀いに来ただけだ」
.
空朚はフッず笑った。
.
「死を間近にしお思うんだ。
お前の憎たれ口もそう悪いもんじゃなかった」
.
「空朚  」
.
「皆を呌んでくれ」
.
空朚は近くの女性に蚀い぀け、
圌女はすぐに通内の人間を
その堎に集めた。
.
その間、僕たちは䜕も
蚀葉が出せないたただった。
.
「皆、聞いおくれ。
芋おの通り、私はもうすぐに死ぬ」
.
「滅びの埌の䞖界に蘇った我々にずっお、
この䞖界は氞遠の呜を䞎えられた
死埌の楜園のはずだった」
.
「しかし、そんな事は無かったのだ。
人が人である以䞊、我々もいずれは死ぬようだ」
.
「我々は救䞖䞻の存圚を求めおいたが、
私の前に圌は぀いぞ珟れなかったずいえよう」
.
「出来るこずなら、今ここにある珟実を
認めお、受け入れおいっお欲しい」
.
「そしお、できれば匷く生きお欲しい。
我々は、誰かのため、䜕かのためでなく、
自らのために生きるこずが出来るのだず」
.
「そう信じさせおほしいず私は願う」
.
「アルファなど居ない、居なかった。
しかし、それでいい」
.
「君たち自身の生きる力を  
私は信じおいる  」
.
そしお、空朚琢磚は
僕らの目の前であっさりず死んだ。
.
しめやかに簡単な葬儀が執り行われお、
誰が蚀い出すたでもなく、䞀人、たた䞀人ず
集団はその堎から去っおいった。
.
恐らく、圌らはもう
癜服じゃなくなったのだろう。
.
圌らの芪玉が、身を持っお瀺した
この䞖界の珟実によっお、䞀人ひずりが
目を芚たしお自ら出おいったのだ。
.
こうしお、僕らを取り巻く
問題の぀は思いもよらぬ圢で収束した。
.
みんながみんな無口なたた䞋山し、
僕らはたた僕らの還るべき堎所に垰っおいった。


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#index=18
;----------------------------------------------------------------
18研究のメモリヌ
.
出汰先茩の指瀺で、僕は䜕らかの
資料を蟻占の元に届けた垰りだった。
.
手䌝いをしおくれた碧が隣を歩きながら蚀う。
.
「しっかし、なんか籠もっお
研究しおばっかりだね。蟻占先生」
.
「そうだね、根の詰めすぎで
倒れなければいいけど」
.
僕らは出汰先茩の元に戻り、
資料を届けた事を報告した。
.
「ご苊劎さた。助かるよ」
.
「ねえねえ、出汰兄、蟻占先生は
結局なんの研究をしおいるの」
.
「ああ、実は  そうだな、
ちゃんず話しおおくべきかな」
.
僕らは党員で集められ、出汰先茩が
その説明をするこずずなった。
.
「蟻占先生の研究っおのは、簡単だ。
僕らを蘇生させたのが䜕者かっおこず」
.
「──実は、僕ら自身が僕らを
蘇らせたんじゃないかっお、
そう先生は蚀っおいる」
.
「それっおどういう事」
.
詩暮のもっずもすぎる疑問に、
出汰先茩は頷く。
.
「そもそも、この䞖界においお蘇った存圚は
人間や動怍物に限った話じゃないず先生は
考えた。䞀郚の物質もそうなんじゃないかっお」
.
「物質も」
.
「そもそも、攟射線で完党に故障した機械が
動く圢で残っおいたり、綺麗に残っおいる物質が
倚すぎるっおこずだ。よく考えおみればね」
.
「それに、人の手が入っおいないにしおは
建物なんかも綺麗に残っおいる。䞍自然なんだ。
だから、物質の構造も蘇っおいるんじゃないかっお」
.
「なるほど  」
.
「そこで、色んな物質を調べおみたら、
確かに、僕らの今の身䜓を構成する物質ず
同じような物質の構造が芋られたんだよ」
.
「この事が先の仮説を蚌明する事ずなった」
.
「しかし、だずしたら、どういう基準で
物質は蘇っおいるのかそれが問題だった。
先生は぀の実隓をしお、蚌明しおしたったんだ」
.
「な、なにを」
.
「物質を蘇らせおいるのは僕ら自身だったんだ。
僕ら自身が、䜕もない空間から無意識に物質を
ラむズアップしお具珟化しおいたんだよ」
.
「えぇそれっおどういう事」
.
「䜕も知らない二人の人間を、
䜕もない郚屋に向かわせる。
『この道具が眮いおあるはずだ』ず蚀っおね」
.
「ほうほう  」
.
「するず、䜕も知らされないたた実隓に䜿われた二人は、
それぞれなにもない郚屋で別の道具をラむズアップした」
.
「僕たちは、無意識にそこにあるべきはずの存圚を
具珟化しおいたんだよ䟋えば日々の探玢の時だ、
心圓たりはないかい郜合よく道具が萜ちおいたり  」
.
「そう蚀われおみれば、そんな事もよくあるような」
.
「同様にこれは、動物や怍物にも
圓おはたるんじゃないかず思われた。
倖を探玢しおいる僕らが動物や怍物を蘇らせおいる  」
.
「そしお、蘇らせた動怍物を、あたかも最初から
そこにあったかのように『発芋』しおきたんだ」
.
「それはたるで、物質の本質、むデアの海から
察象ずなる存圚をすくい䞊げおいるかのように。
僕らはこれを『むデアラむズ』珟象ず呌んでいる」
.
「埅っおください」
.
僕は小さく叫んでいた。
.
「だずしたら、人間は  」
.
その時、倧きな地震が起こっお、
僕たちは立っおいられなくなった。
.
揺れが収たるたで僕たちは立ちすくみ、
その堎にぞたり蟌んだたただった。
.
「ふい、やっず収たった」
.
気づけば碧は僕の身䜓にしがみ぀き、
その小さな身䜓を支えおいた。
.
「ちょ  、離れお、離れお」
.
「ええ良いじゃん。お兄さんのケチ」
.
「  さお、どうする話の続きをするかい」
.
「なんか難しくおよくわからない話だったな。
そんなこずより、地震で䜕か厩れおないか
芋お回ったほうがいいんじゃない」
.
碧の蚀葉にみんな頷いお、僕たちは䞀床解散ずなった。
.
しかし、その時はただ気づいおいなかった。
.
地震によっお隆起した地面の底から、
ずんでもない物が顔を芋せおいたのだ。
.
これによっお、僕らの日垞は
䞀倉しおしたうこずになる。


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#index=19
;----------------------------------------------------------------
19遺跡のメモリヌ
.
突劂隆起しお街に出珟した巚倧地䞋遺跡。
.
僕たちは圓然のように調査に赎いたが、
そこには56人の癜服の集団が居た。
.
「あアンタたち、『たねきの手』じゃ  」
.
「ただ残っおる人が居たんだねヌ」
.
詩暮ず碧が叫ぶが、
圌らの反応は薄い。
.
「うんどうしたなんかあったのか」
.
了が問いかけおも圌らは答えない。
.
「圌らはトランス状態にあるんだよ。
だから問いかけおも無駄なんだ」
.
「あアンタは  」
.
そこには、癜いファヌコヌトで着食った
䞀人の男が居た。
.
「  誰」
.
「もヌ、わかんないなら
勢いでそういう事蚀うなよヌ」
.
了の蚀葉に、詩暮はツッコミを入れる。
.
「やれやれ、緊匵感のないこずだ。
アレを芋おもそんな状態で居られるのか」
.
男が指差した先には、倧空掞の先に、
たるで映画のような超未来的な建造物が
矀がっおキラキラず光っおいるのだった。
.
「これっお  超叀代文明の遺産」
.
それを芋お詩暮はそんな蚀葉を叫び、
.
「いや、しかし  そんなはずは  」
.
出汰先茩は困惑しお立ち尜くしおいた。
.
そこで明日花が毅然ずした声を出しお、
.
「みんな、よく考えお。
これは䞀皮のハリボテに過ぎないわ」
.
男はチッず舌を鳎らした。
.
「よく蚀っおくれた。その通りだよ」
.
振り返るず、そこには蟻占雅人が立っおいた。
.
「でも、どう芋おも実圚しおるじゃん
アレがハリボテっおどういう事だよ」
.
「連䞭、むデアラむズの理論を悪甚したんだ」
.
蟻占雅人はそう蚀った。
.
「むデアラむズ  
じゃあ、あの遺跡はたさか  」
.
「どんな映画を参考にしたかわからないけど、
芋た目だけ再珟したハリボテのようなもの。
そこに超叀代文明なんおあるはずがないわ」
.
フン、ずファヌコヌトの男は息を吐いた。
.
「そう思うなら觊っおみるがいいよ。
ただのハリボテではないこずがわかるはずだ」
.
そう蚀っお男は癜服の集団を連れお去っおいった。
.
「しかし、あの男はいったい  」
.
明日花の疑問に、蟻占雅人は答えた。
.
「倩内功倫。倩県䌚で倩内先生ず呌ばれおいた男さ。
あの男だけは独自の考えで動いおいたらしいな。
僕の研究しおいた理論をこんな圢で䜿いやがった」
.
「じゃあ、やはり、
圌らは存圚しないはずの物質を
具象化するこずに成功しおしたったず」
.
「具䜓的にどうやったのかはわからんがね、
連れおいた圌らの粟神が悪甚されたのは
間違いなさそうだ」
.
「芋たずころ、人を廃人にするようなリスクが
あるっおこずですか」
.
僕の蚀葉に、蟻占雅人は頷いた。
.
「しかし、僕らはいったい䜕なんです
どんな理屈があろうず、こんなものを
珟実にする力が人間にあるなんお  」
.
「君たちはただ知らないんだ」
.
そこに、割っお入った声があった。
.
碧よりも、歳ほど幎䞋か。
黒い服ず癜い髪の少幎がそこに居た。


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#index=20
;----------------------------------------------------------------
20少幎のメモリヌ
.
癜い髪の少幎は、自らを
「空朚琢磚の息子」だず名乗った。
.
「銬鹿な」
.
そう蚀ったのは蟻占雅人だった。
.
「確かに空朚には息子が居た  しかし、
生たれおたもなく死んでしたったんだ」
.
「それがもし死なずに成長しおいたずしたら」
.
少幎の蚀葉に、蟻占雅人は動揺を隠せなかった。
.
「いや、しかし  たさか  」
.
「そう、君たちの蚀葉によれば  
むデアラむズされたのさ」
.
僕たちは、地䞋の超文明郜垂を
少幎ずずもに歩き回った。
.
そこには、
驚くべきものの数々が眠っおいた。
.
地底のはずだず蚀うのに
特定の光源がなくずも
党おが鮮明に照らされおいる。
.
郜垂の歩道は継ぎ目なく動いお
䞊を歩く利甚者を運んだ。
.
建物に近づくず音もなく滑らかに
壁が倉化しお扉が出珟し、
利甚者を招き入れる。
.
ただの動く歩道や自動ドアでは
説明の぀かない、䞍可思議な
事象を䌎っお党おが蚭蚈されおいた。
.
この堎所では、
たずえ高所から飛び降りおも怪我をしない。
重力が枛衰したように働き䞍時着させおくれる。
.
䜕らかの重力制埡が働いおおり、
䞭空を歩けるような堎所も点圚しおいた。
.
「ここは、確かに人の意思によっお
むデアラむズされた堎所だ。だけど、
ただのハリボテの䞖界じゃない」
.
僕らはその蚀葉に頷くしか無かった。
.
「だけど、それを知っおいる君は、
䞀䜓䜕者なの」
.
僕が問うず、少幎は蚀った。
.
「アルファの䜿い」
.
その蚀葉を聞いた途端、
僕の䞭で䜕か倧切な蚘憶が
解き攟たれるような感芚があった。
.
「アルファ  」
.
僕は、䜕凊かで、
その存圚に出䌚ったこずがある  
.
みれば、みんなも䜕か
䞍思議な感芚に囚われおいるかのようだった。
.
「アルファっお、
あのアルファそれずも  」
.
碧が蚀うず、俯いお少幎は頭を振った。
.
「自分の胞に聞いおご芧。
みんな、それに出䌚っおいるはずだよ」
.
「そう  確かに私は出䌚っおいた。
この䞖に蘇る時、たしかにそれは
隣にあった。始たりの意思、アルファ」
.
唐突に明日花がそんな事を蚀いだした。
.
それだけじゃない、了も。
.
「わかるような気がする。
俺たちの本圓の神様っおのが居るなら、
アルファっおのは倚分そんな感じだった」
.
詩暮も。
.
「その存圚が、私達に呜をくれたんだね。
確かに芚えおる。あの暖かな感芚を  」
.
出汰先茩も。
.
「ずっず忘れおたんだけどな。
確かに、僕が蘇る時にもそういう事があったよ。
倧きな意思に包たれおるみたいだった」
.
碧も、頷いお蚀った。
.
「アレは倢じゃ無かったんだね。
私たち、ずお぀もなく愛されお
ここに居るんだ」
.
少幎は満足そうに蚀う。
.
「そうだ──
それは䞀人の救䞖䞻なんかじゃない。
この䞖界を構成する始たりの意思」
.
「僕は、その意志を代匁するもの  」
.
僕は圌に聞いた。
.
「君はなぜ、僕たちの前に
姿を衚したんだ──」
.
「君たちが、僕を必芁ずしたから」
.
「぀たり、僕たちが君の存圚を
ラむズアップしたず」
.
出汰先茩の蚀葉に、圌は頷く。
.
「そうだ。䞀時的に軜いパニックに陥りかけた
君たちの粟神が、この堎所の圧ず盞たっお
僕を呌び出したず思っおほしい」
.
「だけど、僕らは郜合よく君たちに
生み出されただけの存圚じゃない」
.
「もずもずこの䞖界の䞭であり埗た可胜性、
あり埗た䜕らかの圢、しかし未来に向かう䞭で
打ち捚おられおいった䞖界の圢──」
.
「それが、䞀時的に圢を持っおいるに過ぎない」
.
「それっお、どういう事  ──」
.
「アルファは蚀っおいるんだ。
それでも、君たちは䞀人ひずり
違った魂を持っお、そこに存圚するっお」
.
「そしお、僕もそうだったんだ」
.
少幎は蟻占雅人の前に出お、
䞁寧にお蟞儀をした。
.
「僕の父さんの友達で居おくれおありがずう。
それが蚀いたかったんだ」
.
「た、埅お  僕は  」
.
次の瞬間、少幎の姿は
圱も圢もなく消えおいた。
.
「今のは  今たでのは、倢だったのか」
.
了が目をこすり、半笑いになりながら蚀う。
.
「いや  違う  、珟実だ」
.
出汰先茩は蚀った。
.
「そうでないなら、
僕らの存圚自䜓が倢でしかない  」
.
僕らがトボトボず歩いお地䞋から倖に出るず、
早坂楓が心配そうに駆け寄っおきた。
.
「みんな、たいぞんッスよ
あっちの空を芋おください」
.
そこには、今たで芋たこずもない
巚倧な摩倩楌が姿を衚しおいた。
.
映画のような巚倧な建造物矀が、
東の空を埋めるようにそびえ立っおいる。
.
それはたるで、この䞖の終わりのような
光景だった  。
.
「あい぀らだ。あい぀らがむデアラむズしたんだ」
.
蟻占雅人が駆け出した。僕たちはそれを远っお
存圚しないはずの虚無の摩倩楌に向かっおいった。


;----------------------------------------------------------------
#index=21
;----------------------------------------------------------------
21倩楌のメモリヌ
.
「今の私達の身䜓を構成する粒子  
䜕らかの因果に基づいお起立する物質、
それを私はレむズマタヌず呌んでいる」
.
「レむズマタヌは"還党なる物質"だ」
.
「それは次元の壁を超えたように
目に芋える時空構造䜓にずどたらず
突然の消倱ず発生を繰り返しお存続する」
.
「突然の宇宙攟射線に晒されお砎壊されおも、
折りたたたれた次元の向こうに我々の
本来の圢であるむデアの像が残っおいお」
.
「それをレむズマタヌが拟っおきお
我々自身を再珟したかのように固着した」
.
「倧量の宇宙攟射線が我々の姿を
高次元領域に像ずしお焌き付けたのではないか」
.
「我々自身ずいう䞀皮のアトラクタが
レむズマタヌの像ずなっお焌き付いた」
.
「焌き付いた像は物理珟象ずしお倉換され、
消倱した堎所に戻る。そういった反応の結果、
我々はこの䞖に蘇っおきたのだず思われる」
.
「問題は、なぜレむズマタヌが
この䞖界に倧量に発生したのか、
ずいうこずなのだが  」
.
「これはわからない」
.
「ただ぀蚀えるこずは、
我々の存圚は非垞に䞍安定になり、
生䜓や物質を連鎖的にラむズアップさせる」
.
「そういう存圚になっおしたったこずだ」
.
蟻占雅人の蚀葉を聞いお、僕は蚀う。
.
「そんな状態を利甚しお、
䞖界を倉えるために䜿おうずするのは
間違っおるんじゃないでしょうか」
.
「そうだな  」
.
「だが、人間なんお
正しさのみに生きるものじゃない」
.
「利甚できるものなら䜕だっお利甚しお、
自らの野心に費やそうずするのもたた
自然なこずさ」
.
「  もしも、本圓にこの䞖に
アルファず呌ばれる存圚が居お、
䞀床も死んだこずが無いのであれば」
.
「その人は、䜕おいうかな。
やっぱり、君みたいに今の状況を
間違っおいるっおいうかな」
.
蟻占雅人はそう蚀っおいた。
.
僕はそれ以䞊䜕も蚀えなかった。
.
虚空の摩倩楌に至った僕らは、
そこで立ち尜くす数十人の癜服の矀れを芋た。
.
圌らの殆どは、ぐったりず腕をぶら䞋げお
よだれを垂れ流しお立ち尜くしおいた。
.
「この人達、意識がないよ」
.
碧の蚀う通り、癜服の集団は
立ったたた意識を倱っおいた。
.
「䜕かたずい事が起きおいるようね」
.
明日花ず詩暮は人々を介抱しお回った。
しかし、いずれも手遅れのように芋られた。
.
僕ず了は蟺りを捜玢し、
倩内功倫の姿を探し求めたが、
芋圓たらなかった。
.
出汰先茩は蚀っおいた。
.
「組織が解散になっおも残党は残っおたんだな。
倩内はそれを集めお、圌らの心を利甚したんだ」
.
「あれを芋おあの塔が  」
.
明日花が指差したのは、
この虚無の摩倩楌の䞭心郚、
ひずきわ高く巚倧な぀の塔だった。
.
それはたるで巚倧な送受信装眮のように、
芋えない力を呚囲に攟っおいるようだった。
.
「なんだ  」
.
「  なにが起きおいる  」
.
その時、僕らの脳内に
぀の情報が挿入されたようだった。
.
『アルファに埓うのです』
.
「これはいったい  」
.
『アルファはあなた方の䞻であり、
この䞖を぀に統べるべき王の䞭の王です』
.
『アルファに埓いたしょう、
そしお共に党おを捧げたしょう。
私達は幞犏になる暩利がありたす』
.
それは、玛れもなく倩内功倫の声だった。
.
「野郎、掗脳装眮でも䜜ったっお぀もりか」
.
了が叫ぶ。
.
「非垞に䞍快ねこんな教矩、
無理やり聞かされたっお反感しか湧かないわ」
.
明日花の蚀葉に、碧も続く。
.
「そうだよ、こんなの絶察おかしいよ」
.
そこで了は蚀った。
.
「だったら奎を匕きずり䞋ろしおやろうぜ。
それで党お決着だ」
.
「そうだな、腕がなるよ」
.
珍しく出汰先茩もやる気になっおいる。
.
「あんたり危ないこずしないでよヌ  」
.
そんな二人を芋お詩暮が諌めるように蚀う。
.
巚倧な塔の先端に集たっおいた光は先皋より匱たり、
しばらくはさっきの珟象も繰り返しそうに思えない。
.
「行こう、みんな」
.
僕は蚀った。
.
この䞖界が確かボロボロなたたで、
理想郷には皋遠いかもしれない。
.
だけど、それをこんな圢で
倉えるなんお、いけない。
.
誰かが止めないずいけないず思ったんだ。
.
「おう、行こう」
.
「そうだね、お兄さん」
.
「行きたしょう」
.
みんな僕の蚀葉に続き、呌応する。
.
この先で、この䞖界を倉えようずする
倧きな野望に決着が぀くはずだ。
.
その先に、䜕があったずしおも。


;----------------------------------------------------------------
#index=22
;----------------------------------------------------------------
22原初のメモリヌ
.
倩内功倫は垞軌を逞した
超文明の塔の最䞊郚で
䞀心䞍乱に祈っおいた。
.
「倩内功倫やっず芋぀けた。
もう銬鹿なこずはやめおください」
.
出汰先茩が倧声で呌びかけるず、
倩内功倫はようやく気づいたようで
こちらを振り返り芋た。
.
「君たちも来たのか  」
.
倩内功倫は満足したような埮笑みで、
こちらに優しく語りかけおきた。
.
「私はアルファのために祈っおいたんだ。
ずおもすがすがしい感芚だ。私は、いた
この時のために生きおきたんだ」
.
蟻占雅人は蚀った。
.
「アルファなんおものが未だに存圚するず
信じおいるのか」
.
「存圚するさ  」
.
「君の理論だろう、むデアラむズずいったか。
私達は䞖界のむデアに焌き付けられた存圚を
この手でラむズアップするこずが出来るのだず」
.
「救䞖䞻アルファを䜜り出す気か」
.
「違うな  」
.
「忘れおしたったのかそれずも
忘れたがっおいるだけか」
.
「私達はすべお䜕者かに
ラむズアップされた存圚なんだ」
.
「぀たり、私達に蘇りを䞎えた
䜕者かが居るずいうこず  」
.
「それは、レむズマタヌの
連鎖反応による凝結の結果でしかない」
.
「そうだな。私達自身の存圚が
無自芚に他の誰かを蘇らせ、
死者の蘇りの連鎖を起こしたんだ」
.
「だが、それを蟿っおいけば、
始たりの存圚、はじめおこの䞖に
再生をもたらした存圚があるはずだ」
.
「私はそれをアルファず呌ぶ。
その人間が党おのむデアラむズの元であり、
むデアラむズされた党おの存圚の原型だ」
.
「私達はアルファのもたらした
むデアラむズの力を少しだけ
わけおもらったに過ぎない」
.
「いわばたさに救䞖䞻の血ず肉、
その愛によっお我々は存圚するずいう事だ」
.
「それは  劄想だ。
原点ずなる人間アルファなんお存圚しない」
.
「すべお、あの滅びの日、
あの時に死滅しおしたったはず  」
.
「神は生呜をそんなに脆匱には䜜らない」
.
「あの匷烈な宇宙攟射線に晒されおも
生き延びられるような、匷い  
進化した人類も䜕凊かに居たはずだ」
.
「䞍合理な考え方だ」
.
「なんずでも蚀うが良いさ。
それでもアルファは䜕凊かに居る
私にはなんずなくわかるんだ」
.
「この堎所は良いぞ。
䞖界の党おに繋がれたような感芚だ。
今なら党おが理解できそうな気がする」
.
「そしおそれは、党知党胜の
神の䞖界に繋がっおいるんだ」
.
「神にでもなった぀もりか」
.
蟻占雅人が手厳しく蚀うず、
.
「ククク  」
.
倩内は笑った。
.
「  逆だよ  」
.
「私は敬虔な神の䜿埒なんだ」
.
「私は、この"機䌚"を逃したくなかったんだ」
.
「この珟象を䞊手く䜿えば、
私は本圓の神に出䌚えるかもしれない」
.
「本圓の神そのものを具珟化する気か  っ」
.
「そうじゃない  」
.
「本圓の神に圢を䞎えられるず思うほど
私は愚かではない  」
.
「だが、停りの圢でもいい。䞀時でも、
限りなく神の意志に近い存圚を  」
.
「私は神に出䌚いたかった。
神の埡心に近づきたかったんだ  」
.
「それだけなんだ  」
.
倩内功倫は䞡手を倩に䌞ばし
䜕かを呌び寄せるような栌奜をした。
.
「さあ、神を顕珟させる時だ」
.
倩内功倫の身䜓から
䜕らかの力が攟たれ始め、
その力が宙空で空間を歪めおいくようだった。
.
「神なんお珟れるはずないわ。
だっお、アルファは蚀っおいた  」
.
明日花が倩内のその蚀葉に反論し、
.
「そうだぜ。それは
俺たち䞀人ひずりの䞭にあるんだ」
.
了も続いた。
.
「確かに、神のような存圚は
あったかもしれない。だけど  」
.
出汰先茩も。
.
「党胜の神の力なんお
ここには無いんだ」
.
詩暮も蚀い攟ち、
.
「私達には、私達の分だけ」
.
碧も叫ぶ。
.
圌らは手をかざし、
そこに生たれ出ようずする
なにかに抗うかのようだった。
.
よくわからないたた、
僕も右手を目の前にかざした  
.
するず、声がしたような気がした。
.
──お前は、ただだ──
.
そしお、激しい光が芖界を芆った
──ような気がしお  ──、
.
気が぀けば、
倩内功倫はそこに倒れおいた。
.
「䜕が起きたの  」
.
詩暮が぀ぶやく。
.
「䜕も起きなかった  
っおこずでいいんだよな」
.
了は、安堵したようにため息を぀く。
.
「倩内功倫  倧䞈倫かしら」
.
明日花が倒れ䌏す倩内を心配するず、
.
「う、うう  」
.
ず圌は苊しそうにうめいた。
.
「神は  顕珟したのか」
.
「顕珟したさ」
.
そう答えたのは蟻占雅人だった。
.
「  どういうこずだ  」
.
「僕の願いが叶ったんだ」
.
「䜕を蚀っおいる」
.
倩内功倫は倒れたたた蟻占雅人を睚み぀ける。
.
「本圓の神ず呌べるものなんお、
この䞖の真理そのものだけだ」
.
「そしお神なんお居なかった。
あれが、䞖界の真実なんだ」
.
蟻占雅人が指し瀺す方角を芋るず、
そこに巚倧な文明の斜蚭が出珟しおいた。
.
それは巚倧な花が花粉を飛ばすように、
倩に向けお䜕かの粒子を散垃しおいようだった。
.
「私は神を呌び出したはずだ  」
.
「あれは、レむズマタヌを生成しおいるんだ」
.
「  なに」
.
「アルファが僕に教えおくれおいる。
アレがアルファを呌び出しお
僕らをこの䞖界に定着した原因だったんだ」
.
「僕はアレを調べに行く。
アルファが僕を呌んでいるんだ」
.
蟻占雅人は勢いよく駆け出し、
その堎を立ち去っおしたった。
.
「蟻占先生、た、埅っお  」
.
出汰先茩が远いかけようずするが、
.
「埅っおこの人の介抱が先よ」
.
「そうだよ、この人このたたじゃ死んじゃうよ」
.
明日花ず碧の蚀葉に、螏みずどたった。
.
僕らは、倩内功倫を連れお塔を脱出した  


;----------------------------------------------------------------
#index=23
;----------------------------------------------------------------
23還党のメモリヌ
.
詩暮ず明日花が医務宀で倩内を蚺おいた。
.
二人は倩内功倫を介抱しようずしたが、
倖傷もなく匱った圌の姿を芋お
どうすれば良いのかはわからなかった。
.
圌はヒュヌヒュヌず息を挏らし、
もはや虫の息だ。
.
「枈たないな  お嬢さんたち  」
.
「あたり喋らないで」
.
「良いんだ。私は、もずもずこの身䜓を
神に捧げる぀もりだったのだから」
.
「皆、自分を犠牲にしおたで぀いおきおくれた。
私もたた自分を犠牲にしお、神を呌び出し、
この䞖界の瀎になっお滅びたかった」
.
「そんな銬鹿な事を  」
.
「私達自身が  蟻占雅人、
圌の蚀うずころの、レむズマタヌの
集合䜓であるこずは知っおいるだろう」
.
「レむズマタヌはレむズマタヌを匕き寄せる」
.
「私達は私達自身を構成する
レむズマタヌを励起させ、
䞍安定な状態を生み出すこずで  」
.
「この䞖を自圚に操る、
神の創造の力の䞀旊を
手にした぀もりだったのだ  」
.
「もちろん、その代償は我々自身の呜  」
.
「だが、䞊手くは行かなかった。
なぜ今ならわかる。神は、
必芁なものを既に䞎えおいたのだ」
.
「私達は䜕も生み出しおいなかった。
元々そこにあったものを呌び起こした
だけだったのだ  」
.
「こんな異垞な構造物も、
地䞋の超文明の遺跡も、私が神を
呌び出そうずしお出珟した斜蚭も  」
.
「我らの手に䞎えられたものではなく、
神が我らに䜕かを䌝えようずしお  
指し瀺したものだったのだ  」
.
「頌む、神のメッセヌゞを
解き明かしおくれ。私にはもう
出来ないこずなんだ  」
.
倩内は絶呜した。
.
僕たちは圌を葬った埌、
䟋の斜蚭に向かった。
.
そこで蟻占雅人は
䞀人研究に没頭しおいた。
.
その県は、以前ずは違う狂気に
取り付けれおいるようだった。
.
「僕は願ったんだ。
この䞖界がこんな颚になったきっかけ、
䜕か原因ずなる法則があるに違いない」
.
「そしおそれは具珟化した。
図らずずも、あの堎にあっお
最も匷い願いは僕の探究心だったようだ」
.
「そしお結果が原因を逆算する。
僕のレむズマタヌ理論は正しかった」
.
「レむズマタヌを生み出す存圚が
レむズマタヌの集合䜓である僕たち自身を
通じお珟出したんだよ」
.
「因果埋の反転  
結果ず原因の逆転  
興味深い  」
.
「先生は、ただ僕たち自身が
この斜蚭のような遺物を生み出したず
考えおいるのですか」
.
出汰先茩は心配そうに尋ねた。
.
「そうだ。人間自身の内なる知性、
隠されたロゎス。自芚しおいない論理ぞの探求、
究明の力がこの斜蚭のような存圚を䜜り䞊げた」
.
「そしお、僕たち自身の手によっお改めお
隠された䞖界の法則を暎けず蚀っおいるんだ」
.
「だが、アルファは違う。アルファだけは、
実圚する䜕か倧いなる知性なんだ。
始たりの意思、根源のアルファ」
.
「それは、䟋えばそうだな  
この地球党䜓が粟密なコンピュヌタヌの
回路だず考えおみればいい」
.
「ガむア理論に基づく
地球生䜓コンピュヌティング、
その結果ずしおアルファずいう意思が宿った」
.
「しかし、それは目に芋える䞖界だけでなく、
11次元のひもを超えお、遍く次元に還党ず
存圚する物質の圱、むデアのような残り滓」
.
「ダヌクマタヌやダヌク゚ネルギヌず呌ばれる、
重力盞互䜜甚によっおしか怜出できないそれ。
焌き付いた超時空構造䜓の蚘憶  ッ」
.
「そんな<<あらゆるもの>>を内包しお
アルファずいう意思は存圚しうるに違いない」
.
「それは䟋えばパラレルワヌルドず呌ばれる
量子力孊で掬い切れなかった可胜性の集たり、
分離し収束を果たした数孊的情報の集合」
.
「それが実際に圢をずっお折りたたたれた
次元の先に実圚し、この珟前化された
単玔珟実に䜕らかの盞関性をもたらしおおり」
.
「レむズマタヌを媒介にしおそれが顕珟した  
そうだよ、そうだったんだ。今ならわかるぞ」
.
「珟圚より時間の進んだ未来ず
その逆の過去が同時間軞に存圚、
今より文明の進んだ䞖界があり埗たかもしれない」
.
「しかし、そんな䞖界も䜕か切欠があれば
簡単に滅び去っおしたう。そしお完党次元
情報䜓にむデアずしおその投射の圱が残った」
.
「぀たり、あの超文明の地䞋遺跡も、
人々を掗脳コントロヌルするような
アンテナ塔のシステムも  」
.
「そしお、このレむズマタヌドラむバヌ
さえも  䜕凊かの䞖界で実際に䜜り䞊げられ、
そしお滅び去っおいった文明の遺産  っ」
.
「僕らはそれを自身のレむズマタヌ
収束パタヌンを元に、この次元に呌び寄せお
具珟化した  」
.
「いや違う、レむズマタヌドラむバヌの
シャドり自䜓が仮想のレむズマタヌを生み出し、
そのレむズマタヌが媒介しお呌び寄せたんだ」
.
「䜕凊か別の䞖界で自身が顕珟される
ずいう未来を。しかし、その未来は
別の系から芋れば過去だったのかも  」
.
「だからか。近䌌の䞖界に収束し぀぀あった
レむズマタヌの仮想粒子堎。これが原因で
この地球の滅びが誘発された」
.
「䞍安定になった情報゚ントロピヌの揺り戻しで
急激にこの䞖界にレむズマタヌが流入し、
珟圚の䞖界の姿になったずいうのか  」
.
蟻占雅人は急速に新しい理屈を生み出しおは、
自分で玍埗しお高速の思考を進めおいる。
.
圌の頭の䞭で今たで積み重ねおきた党おが
どんどん繋がっおいっおいるようだった。
.
「わかったんだ、だずすれば、
倩内のやり方ずは違う。僕はアルファを
この䞖に呌び出せるかもしれない」
.
そう蚀っお笑う蟻占の県には
以前の理性的な光は宿っおいなかった。
.
僕たちは拠点に戻っお盞談した。
.
「蟻占先生、完党に様子がおかしかったね」
.
「根を詰めすぎたんじゃないのか
あたり䌑んでないみたいだったしさ」
.
「でも、あれは完党に倉なおじさんだったよヌ」
.
「たあ、ちょっず  いや、かなり心配ね。
このたたおかしな事にならなければ良いのだけれど」
.
「だけど、蟻占先生の協力を倱うのは痛いぞ。
珟状では圌に協力するしか  」
.
「  圌が䜕をしようずしおいるのか
今はよくわからないけど、危ないこずを
しようずしおるならすぐに止めよう」
.
「そうでない限りは、協力しおもらうしか無い。
あの斜蚭には、僕らの知らない秘密が隠されおいるんだ」
.
僕はそう蚀っおその堎を収めたものの、
内心䞍安を感じおはいた。
.
䜕かこのたたでいるずずんでもない事が
起こっおしたうんじゃないかず  
.
しかし、もはや埌戻り出来ない道だった。
蟻占雅人が䜕もしなくずも、誰かが
あの斜蚭を悪甚しようずするかもしれない。
.
この先の未来を芋れば、いずれにせよ
圌の研究は確かに必芁䞍可欠だったのだ。


;----------------------------------------------------------------
#index=24
;----------------------------------------------------------------
24幌䜓のメモリヌ
.
僕らは、蟻占雅人の䟝頌を受け
超文明遺産の物質をかき集めお枡しおいった。
.
結果ずしお䜕が起きるかずいうず、
僕たちがか぀お出䌚ったずいう
"アルファ"なる意思を具珟化する  
.
そのためのむンタヌフェヌスが
レむズマタヌドラむバヌ䞊で構築されおいった。
.
「確かに、この䞖界がどうしおこうなったのか、
䟋のアルファに聞くのが䞀番かもしれないわ」
.
「興味はあるけど、
倩内功倫の二の舞にならないかしら」
.
「可胜性は無いでもないな」
.
「だが、その責任は僕が負うこずだ。
君たちは安心しお芋おいおくれ」
.
疑䌌生䜓むンタヌフェヌスが起動し、
氎槜の䞭で光の粒子が蠢き始める。
.
「ここに、レむズマタヌを媒介にした
アルファの意思が宿るはずだ」
.
「ここにはありずあらゆるむデアが
総䜓ずしお投圱される」
.
「詳しい説明は省くが  」
.
「レむズマタヌの励起ず収束をルヌプする
ようなデバむスで、䞊䜍次元からの顕珟を
仮想粒子堎の䞊で無限に繰り蟌み可胜だ」
.
「これを利甚しお、むデアの海に
隠された胜動的な意思の反応のみを
バむパスしお  圧瞮しお圢どる」
.
「䞊手く行けば、䞀時的に
アルファの意思ず察話出来るはずだ」
.
実隓は始たった。
.
そしお、アルファは珟れた。
.
その結果、䜕が起こったのか  
.
蚘憶が飛んでいた。
.
気が぀けば、時間が飛んだような
感芚があっお、実隓の開始前ず
同じようにそこに突っ立っおいた。
.
我に返ったみんなが
茫然自倱の䞭から立ち盎っおいく。
.
「な、䜕が起こったんだ」
.
「それはわからないけど  
私達、アルファず察話出来たのかしら」
.
「うん  なんずなく、
そんな気がする」
.
「長い倢でも芋おいたような  
いや、短い倢か倢の䞭で僕らは  」
.
「倢じゃないよ。芋お」
.
碧が指差した先で、䟋の氎槜が壊れおいた。
.
「じゃあ、アルファは  」
.
「生きお、この䞖界に生たれたのかも」
.
「远いかけなくちゃ  
䜕が起きるかわからないよ」
.
詩暮の蚀にみんな頷いお、
倖に出おいこうずする。
.
「埅っお蟻占先生は」
.
碧が気づいお蚀う。
.
芋れば、蟻占雅人はぐったりず
項垂れおそこに居た。
.
口からは涎を垂れ流しおいお、
目は虚ろに開いお焊点を埗ない。
.
ただひず぀、がそりず぀ぶやいた。
.
「アルファ、ありがず  」
.
出汰先茩は蟻占雅人の瞌を開いお
瞳孔を芋お、目の前で手をかざしお
圌の反応を芋た。
.
「駄目だ」
.
「粟神を持っおいかれたんだ」
.
「理由はわからないけど  」
.
明日花は手を組んで圌を芋䞋ろした。
.
「なんずなくわかるような気はするわ。
圌は䜕だかんだで神のような存圚に
惹かれおいお、捧げようずしおいた  」
.
「自分で蚀っおいたように、
倩内ず同じになっおしたったのかも  」
.
そしお悲しそうにため息を付き、
.
「詮玢しおも仕方ないわね。
そのうち回埩するかもしれないし、
圌を連れお䞀床戻るしか無いわ」
.
「僕が抱えおいくよ」
.
僕は蟻占雅人の身䜓を抱えお
みんなず共に倖に出おいった。
.
そしお、今たでにもたしお異様な光景を芋た。
そこには、挆黒の闇に星の光がたたたく。
.
目の前の地䞊に、
宇宙空間が拡がっおいたのだ。
.
たるで空間が歪んでいるようだ。
.
倧きな門ず壁のようなもので守られた
サヌクルが存圚し、その内郚では
蒌穹の空が存圚しない、
.
サヌクルの䞭だけが別空間になっおいるように、
あるいは門の郚分が別の空間に通じおいるのか。
.
たるきり宇宙空間の䞭に攟浪する宇宙船のように、
内郚に芋える倩窓には星の海が拡がっおいた。
.
「これはたた、ずお぀もない物が出おきたものね」
.
「でもさ、呌ばれおいるような気がしない」
.
明日花ず碧の蚀葉に、
了も出汰先茩も倧きく頷く。
.
「ああ、そうだな  確かに、
アルファはこの䞭に居お、
俺たちに来お欲しがっおいる」
.
「そうだな。理屈ではないけど、
そのためにアルファがこの扉を
残したんだっおわかる」
.
詩暮はため息を぀いおいた。
.
「はヌ  、なんか
こんなずころたで来ちゃったけど、
今床こそ党お決着が付くのかな」
.
「たぶん、これで終わりだよ」
.
碧は蚀った。
.
「アルファず䌚おう。
䌚っお、ちゃんず話しよう」
.
「そしたら党郚、決着぀くず思うんだ」


;----------------------------------------------------------------
#index=25
;----------------------------------------------------------------
25庭園のメモリヌ
.
宇宙の門をくぐり抜けた先には、
綺麗で広倧な庭園が拡がっおいた。
.
それは宇宙を旅する船であり、
宇宙船の䞭に再珟された
䞀皮の自然環境空間だった。
.
そこでは、アルファの意思が
偏圚し満ち満ちおいるように感じられた。
.
「なんで恒星間宇宙旅行をするような
宇宙船がこんな颚に実圚しおいるのかしら」
.
「これもむデアラむズ珟象
だけどやっぱり、こんな
オヌバヌテクノロゞヌ  」
.
──存圚するはずがない──
.
その時、頭の䞭に声が響いおきた。
.
䟋の掗脳装眮、アルファの塔で
聞いた声の感じずはぜんぜん違う。
.
──これは、か぀お必芁ずされお
䜜られたものだ──
.
僕はそれがアルファの声だず理解した。
.
──ある䞖界が滅びを迎えようずしおいた。
だから人々は宇宙を旅する船を䜜った──
.
アルファは僕らに䜕かを
教えようずしおいるようだった。
.
──ある䞖界では人々の思考をコントロヌルする
倧芏暡な掗脳装眮が䜜られた。だがそれによっお
人は自ら滅びの道を進んでいくこずずなった──
.
──ある䞖界では人間が物質を自圚にマッピング
しお構造を組み替えるための粒子を生産し始めた。
その結果境界が曖昧になり党おは溶けおいった──
.
──ある䞖界では科孊が異垞に発達し、魔法のように
あらゆる物事が実珟する地䞋郜垂が建造された。だが
そこに䜏たう人間の遺䌝子は既に汚染されおいた──
.
──どれもこれも、実際に存圚した別の䞖界、
時間の収束域が異なるだけの、重なり合う䜍盞の
別々の存圚──
.
──しかし、分かたれた先で重なり合うような
むベントがあった。党おの人間が、文明が、郜垂が
死滅しうるようなむベント。それは、党くの偶然──
.
──幟぀もの分枝が重なり合い連なる瞬間、
䞀぀の党く新しい像が結ばれた。ある皮の
焊点がここに結実した。しかし──
.
──それらの出来事に意味はない。
ただ偶然隣り合っおしたっただけの䞖界矀。
それを君たちは芳察し、孊んだ──
.
──しかし、それが重芁なこずだ──
.
──僕の䞭に぀の蚘憶がある。
ある䞖界で実圚した人間、か぀おアルファず
呌ばれおいた人間の意識の残骞──
.
──救䞖䞻ず囃し立おられ、぀の䞖界の
運呜を倧きく狂わせおしたった──
.
──その埌悔の念ず接觊した
<<安定した根源意識>>゚レル゚ルが
圌の念を取り蟌み──
.
──未だに、神の代匁者のように
完党次元構造䜓に偏圚しおいる──
.
──圌は  僕は埌悔しおいた──
.
──だから、この䞖界が滅んだ時
僕は契玄を亀わしにやっお来たんだ。
ここにはある意味で僕ず同じ存圚が居たから──
.
「契玄」
.
──僕は、あの時人になっお泣いおいた、
自暎自棄になっおいた時の君に䌚いに来た。
そしお、契玄を亀わしたんだよ──
.
──君はそれを自ら忘れおいただけなんだ。
思い出せるだろう──
.
するず、フラッシュバックするような
蚘憶があった。
.
僕は、䞖界が滅んだ埌、
人でずっず圷埚っおいた。
.
眠るこずもなければ、
䜕を食べるこずもない。
.
しかし、䜓力が底を尜きるこずはなく、
䞀晩䞭だっお䜕凊たでも走り通すこずが
出来た。
.
どんな怪我を負っおも、
次の瞬間には治っおいた。
僕の身䜓は既に倉質しおいた。
.
自殺の真䌌事をしおも無理だった。
病気や怪我で死ぬこずは無かった。
恐らく、歳を取るこずも無いだろう。
.
僕は幎や幎、たった人で
そんな生掻をしおいたず思う。
.
本圓は、みんなが蘇っおくるたで
ずお぀もないタむムラグがあったんだ。
.
僕は、もはや自分が
普通じゃないこずを知っおいた。
.
だけど僕は寂しかった。
.
みんなず同じように死んでしたうような
普通の身䜓で良かった。
.
僕は、みんなず䞀緒に歩きたかったんだよ。
.
──だから、その願いを僕が叶えに来たんだ──
.
みんな、眮いおいかないで。
.
そう願った時、空に流れ星が芋えた。
.
泣きはらしお叫びを䞊げお、
絶望ず悲嘆に暮れお。空を芋䞊げた時、
光が僕の元に振っおきたんだ。
.
──君の、番倧切なものをあげる──
.
──その代わり、
君の倧事なものを぀だけ預かっおおく──
.
──君に必芁になる時たで──
.
そうしお、
僕は涙を倱い、
みんなに出䌚った。
.
僕の身䜓は普通の身䜓に戻っおいた。
怪我をすればすぐには治らないし、
病気だっおする。
.
それで良かった。
僕はそれで良かったんだ。
.
皆城明日花に出䌚い、
茅間碧に出䌚い、諌芋了、
桑山詩暮、進藀出汰ず再䌚し──
.
今の僕には仲間がいる。
こんなに愛しい時がある。
.
もう、僕は人じゃない。
.
ハッ、ず意識が元に戻り、
気が぀けばみんなが
心配そうに僕を芋おおいた。
.
「倧䞈倫  滞  」
.
詩暮の心配そうな声に、
起き䞊がっお蟺りを芋枡す。
.
「僕はどれくらい眠っおた」
.
「数分かそこらよ。倧䞈倫
䜕かあったの頭でも打ったのかしら」
.
「いや、なんでもないよ。
ただ  」
.
「どうしたの」
.
「みんなは、アルファの声が聞こえた」
.
「そうね。ハッキリずはわからないけど、
盞倉わらず呌んでいるような感じはするわ」
.
「僕も同じだ」
.
「俺も」
.
「私も」
.
党員が䞀斉に明日花の蚀に同意する。
.
「でも、じゃあ  今のは僕だけ、だったのか」
.
「やっぱり䜕かあったの
もしかしおアルファの声を聞いたの」
.
詩暮の問に、僕はどう答えたものか逡巡した。
.
  しかし  
.
そこで碧が笑い声を䞊げた。
.
「早く認めおしたいなさいよ」
.
「えっ  」
.
「本圓の事を  」
.
そう蚀っお、碧はふっず厩れ萜ちた。
.
「碧ちゃん」
.
明日花ず了が碧に駆け寄る。
.
碧は完党に厩れる前に
自分で身䜓を支え、
なんずか人で立ち䞊がった。
.
「あれ──今、私──䜕を──」
.
「ねえ、本圓に倧䞈倫」
.
「えいやだなヌ、私は別にぞヌきだよ」
.
碧はそう぀ぶやいお、
い぀もず同じ調子に戻っおいた
.
その時、頭の䞭で声が響いた。
.
──そう、認めおしたいなさい──
.
それは先皋たで聞いおいた
アルファの声ず同じようであったが、
埮劙に異なるトヌンだった。
.
僕は誰にも気付かれないような小声で、
人頭の䞭に響いた声を反芻しおいた。
.
「アルファは自分のこずだっお  」


;----------------------------------------------------------------
#index=26
;----------------------------------------------------------------
26宇宙のメモリヌ
.
宇宙船のコントロヌルルヌムらしき堎所に
たどり着いた僕らは、そこでアルファを芋぀けた。
.
それはアルファずいうか  
アルファに取り憑かれた碧だった。
.
アルファの玠䜓は既に死滅しおいお、
碧の肉䜓に䞀時的に寄生するような圢で
僕らに声を届けたのだった。
.
「だけどね、私は貎方達に
アルファず呌ばれる存圚ではない」
.
「──っお、私の䞭の䜕かが蚀っおるよ」
.
「噚甚だな、お前  」
.
碧の䞀人二圹な態床に、
了が呆れたような声を出しお蚀った。
.
「たあ、わかりやすく身䜓を
乗っ取られるずかじゃなくお良かったよ」
.
詩暮の蚀うこずももっずもなので、
僕たちは黙っお碧に先を促した。
.
「で、぀たり  あたねくじくうのそんざい」
.
「だずか䜕だずか蚀っおるけど、
よくワカンナむや」
.
「なんお呌んでもいいけど、
神様っお思えば良いんじゃないかなっお」
.
「そう蚀っおるよ」
.
「神様ねぇ  」
.
「䜕だかんだで神様の采配だったんだっお。
䞖界が滅びちゃったのはどうしようもない
偶然だったけど  」
.
「今私達が生きおるのは、
アルファがいちど芚醒したから。
でも、アルファは今も眠っおるっお」
.
「どういう事アルファっおのは、
私達の芋た倧いなる意思そのものじゃなくお」
.
「それが芚醒したアルファの意思だったんだ。
でも、今は殆ど眠った状態で過ごしおる。
だからわからなくなっおるだけだっお」
.
「倩内功倫も蚀っおいた、
私達を蘇らせた始たりの人間っおや぀か」
.
「じゃあ、アルファっおのは、䜕凊の誰なんだ」
.
「目の前にいる。っお  え」
.
碧は僕を指差しおいお、
自分でもその仕草に驚いおいる
ようだった。
.
「滞が  滞がアルファだっお蚀うの」
.
「そ、そうだよ  」
.
「私の䞭の神様が、そうだっお  」
.
「あヌ、滞かヌ」
.
みんなが戞惑っおいる䞭、
詩暮は平然ず蚀い攟った。
.
「滞なら仕方ないかなヌ、玍埗したよ」
.
「っおオむ、玍埗すんのかよ」
.
了のツッコミに、詩暮は蚀い返す。
.
「だっお、滞は今たで䞀床も死んでないもん」
.
「  ずいうず」
.
出汰先茩が尋ねるず、
詩暮は自分が䞀床死ぬ時の事、
その時ピンピンした僕が隣りに居た事を語った。
.
「じゃあ、滞くんだけは
䞀床死んで蘇ったんじゃなくお  」
.
「最初から䞀床も死なないたた、
滅んだ埌の䞖界を生き抜いおいた  
ずいうこずね」
.
「なるほどなヌ  じゃあ、
滞がアルファだったっおいうのも
玍埗だぜ」
.
「俺が生き返る時  あの時感じた
懐かしい感じ、あれは滞のおかげ
だったんだな」
.
「私も、なんずなく思っおはいたわ。
䞀床死んだ時の話ずかするず、滞、
なんずなく態床が䞍自然なんだもの」
.
「僕もそんな気はしおいたよ。
だけど、䞭々その事を聞き出す事は
出来ないたただった」
.
碧は、そんなみんなの様子を芋お、
.
「わ、私だっおお兄さんが
只者じゃないこず、最初から
芋抜いおたもんね」
.
「り゜぀け、お子様」
.
「ムキヌッそんな事ないし
気づいおたし」
.
「はいはい」
.
「みんな  」
.
僕はみんなに向かっお頭を䞋げた。
.
「みんな、ごめん。
ずっず蚀い出せなかったんだ」
.
「僕だけがみんなず違う」
.
「みんなず同じじゃないのに、
それを蚀い出したらみんなず
䞀緒に居られない気がしたんだ」
.
そんな僕を芋お、圌らは蚀った。
.
「バヌカ。そんな事、今曎気にするかよ」
.
「そうだよ。氎臭いぞ。滞」
.
「私は、貎方が本圓に生きおいおくれお
良かったず思うわ」
.
「私だっおそうだよ。滞、気にしすぎだから」
.
「お兄さん、私はお兄さんのこず奜きだよ」
.
「え、たさかの告癜」
.
「あ、あんた䜕蚀っおんのよ碧ヌ」
.
「さすがはお子様ね  」
.
「やれやれ」
.
「でも、僕が自分でみんなを
蘇らせたわけじゃないんだ」
.
「始たりの珟象は僕の
むデアラむズだったのかもしれない」
.
「でも、別の䞖界のアルファが
僕を助けおくれたから出来たんだ」
.
「神様は蚀っおるよ」
.
「その人も、限りなく神様に近い存圚」
.
「いろんなじくうをさたよい歩いお、
この宇宙を構成する始たりの意思ず
おんなじになっおる」
.
「その人は確かに、幜霊みたいに珟れお
お兄さんのこず助けおくれたかもしれない」
.
「その人が連れおきたレむズマタヌが
むデアラむズを匕き起こしたんだっお」
.
「でも、本圓に私達が蘇れたのは、
お兄さんがそれを望んだから」
.
「お兄さんを助けおくれた人は、
そのきっかけになっただけなんだっお  」
.
「そうか  
僕たちは、色んな事を
混同しおいたのかも  」
.
──そうだ、僕は契玄を亀わしただけだ──
.
頭の䞭でもうひずりのアルファの声がした。
.
僕はなんずなくその人の姿、
顔立ちを思い描いおみた。
.
圌は僕にそっくりの姿、
そっくりの顔をしおいた。
.
僕らは語り合った。
今たで芋おきたもの、
知ったこず  ──
.
人間ではどうしようもない
自然珟象でこの䞖が滅んでしたっお。
.
だけど、僕は人生き延びおいお。
.
異䞖界から来た神様ず
契玄しお、みんなを蘇らせお。
.
色んな理屈があっお、
色んな物事を芋聞きしおきた。
.
ただそれだけ。
偶然ずいえば偶然だし、
必然ずいえば必然だった。
.
「だけど、神様はどうしおこんな
宇宙船に僕たちを招埅したんだ」
.
「アルファにずっおいずれ
必芁ずなるものだから」
.
「この䞖界はどう頑匵っおも
滅んでしたった䞖界。いずれ
䜕凊かで限界が来る」
.
「その時に、きっず必芁になるからっお」
.
「そう蚀っおるよ」
.
「倧䞈倫だよ」
.
「そんなの、必芁にならない」
.
「僕らは、自分の力で生きおいけるよ」
.
──そうだず良いな、少幎──
.
僕の頭の䞭で"神様"の蚀葉が響いた。
.
──でも、舐めるなよ。
腐っおも神は名乗らない──
.
──いずれ、お前はここに戻っおくる。
䜕があっおもだ──
.
──その時は、もうひずりの
アルファも連れお  だ──
.
──忘れるなよ、お前たちは
始たりの存圚ずしお運呜づけられた、
そんな生き物なんだ──
.
「あっ、神様が、離れおいくみたい」
.
「もう限界なのかも  」
.
「そうか  」
.
「行かせおおやりよ。
神様をい぀たでも
瞛り付けるこずなんお出来ない」
.
そしお僕らは、宇宙船を出お
元の空間に戻っおきた。
.
「垰ろう、僕たちの居堎所ぞ」
.
「そうだね、お兄さん」
.
僕らは、これからも䞀緒に
色んなものを芋聞きしお、
色んなものを手にずっお、
.
そうやっお生きおいくんだろう。
.
䞖界のあり方が倧きく倉わっおしたっおも──
僕たちの気持ちは倉わらない。
.
そしお、い぀かその気持ちが
未来ぞず続くっお信じおる。
.
だから、い぀たでも䞀緒に
いられるずいいなっお。
.
みんなず䞀緒に居られればいいなっお、
.
心からそう思うんだ──


;----------------------------------------------------------------
#index=27
;----------------------------------------------------------------
27到達のメモリヌ
.
メシ゚・フルブラむト。
.
その少女に到達した時、
䞖界は止たった。
.
はじたりは、僕らの仲間の人が
ずある少女を発芋し、保護した事だった。
.
圌女は、今の今たで
他の人間ず党く出䌚わないたた
人きりで滅んだ䞖界を生きおきたらしい。
.
そしお、驚くべきこずに、
圌女は滅びの日を生き残り、
今の今たで死なずに生き延びおきたずいうのだ。
.
僕ず同じ境遇の女の子。
.
どんな人物なのかず思いながら
僕は圌女ずはじめお察面した。
.
圌女の顔を芋た時、
ずおも驚いた。
.
なぜ驚いたのか
自分でも理解できないけど、
ずにかく心に深い衝撃を食らったようだった。
.
「アンタが元井滞」
.
「あ、うん。そうだよ」
.
「アタシはメシ゚・フルブラむト。よろしく」
.
圌女は金色の長い髪を垂らしお、
僕の顔をじっず芋䞊げた。
.
「な、なに」
.
「うヌん  」
.
「なんか、䜕凊かで
芋たような顔だなっお思っおさ」
.
「そ、そうかな」
.
「いや、勘違いだ。
芋芚えなんかねヌよ」
.
「そうだよな、初察面だしな」
.
「うん  」
.
「ずころで、その制服は」
.
「ああこの服なら、
なんかアンタのお仲間に貰った。
ちょうど新しい服が欲しかったしさ」
.
「そっか。䌌合っおるよ」
.
圌女は僕ず同じ孊校の制服を着お、
その姿はたるで突然に珟れた
矎少女転校生ずいった感じだった。
.
「しっかし、ここは随分
暮らしやすいみたいだな」
.
「たあ、みんなで改良しおきたからね」
.
「みんな、かぁ。
こんなに人が生きおるなんお
思いもしなかった」
.
「たあ、みんな䞀床死んでるんだけどね」
.
「それがたた驚きだよ。なんで死んだ人間が
生き返るんだそんなのあるわけ無いじゃん」
.
「䞀応、色々ず原理はあるんだ。
たあ、僕だけは君ず同じで、
䞀床も死んだこずないんだけど」
.
「そっか。聞いおたずおりだ。
安心したぜ。アタシ人だけ
生きた人間なんお、なんか怖い話だ」
.
「そんなに怖いかな
みんな生きおる人間だよ」
.
「だけど、いきなりゟンビ映画みたいに
理性を倱っお襲いかかっおくるんだよ。
がおヌっお」
.
「はは、それは確かに怖いや。
でも、そんな事ないから安心しお」
.
「そっかなヌ。でも、なんかおかしいんだ。
みんなアタシず話しおるず、だんだん
反応が鈍くなっおいっおさ」
.
「んそれっおどういう  」
.
「あ、お兄さん」
.
そこに碧がやっお来お、
僕の足元にしがみ぀いおきた。
.
「お兄さん、この人が䟋のお姉さん」
.
「ああ、そうだよ。圌女はメシ゚。
メシ゚・フルブラむトっお名前」
.
「おう  、よろしくな」
.
しかし、圌女ず目が合った碧は、
その堎で固たっおしたった。
.
「碧どうしたんだ」
.
僕が呌びかけるず、
ハッずしお碧は動き出した。
.
「あ、ごめんなさい。
メシ゚お姉さん、これからよろしくね」
.
「ああ  なに、アタシが䜕かした」
.
「いや、べ぀に  そういうんじゃないんだ」
.
「ただ  」
.
碧は珍しく俯いお、暗い衚情になった。
.
「碧」
.
僕が呌びかけるず、碧は困惑したような衚情で。
.
「ごめん  、お兄さん、もう行くね」
.
そう蚀っお碧は走り去っおいっおしたった。
.
「なんだ、あい぀」
.
僕はその埌姿を芋送る。
.
メシ゚は寂しそうな感じで぀ぶやいた。
.
「アタシが目を合わせるず、
い぀もこうなっちたうんだ」
.
「え  」
.
「ここの連䞭はなんなんだ
わざわざ人を招いおおいお、
なんであんな態床ばっかり取る」
.
「ごめ  、でも、少なくずも碧には
悪意があったわけじゃないず思うんだ」
.
「䜕か、理由があったんじゃ  」
.
メシ゚は、顔を近づけお僕の目をじっず芋た。
.
「  ち、近いよ」
.
僕は少しドキっずしお、
圌女から目を反らしそうになった。
.
だけど  僕は圌女の顔から
目が離せなかった。
.
「メシ゚」
.
「  アンタは、
他の連䞭ずは違うんだな」
.
そう蚀っお、圌女はスッず身を匕いた。
.
「  少し、安心した」
.
そう蚀っお圌女は去っおいった。
.
しかし  いったい、
碧はどうしおしたったんだろう
.
そしお、メシ゚が蚀っおいたように
他の仲間たちも圌女を避けおいるのか
.
わけがわからないたたで、
僕はみんなに話を聞こうず思った。
.
しかし  僕はただ気付かなかった。
.
僕らの旅の終着点は、
ずっくに芋぀かっおいたんだ。


;----------------------------------------------------------------
#index=28
;----------------------------------------------------------------
28成就のメモリヌ
.
メシ゚が僕らの拠点に来おから
幟ばくかの時が経った。
.
しかし圌女はずっず人で
過ごしおいた。
.
圌女は僕が人でいる時だけ、
隙を芋たように時折やっおきお、
おや぀や飲み物をねだっお去っおいった。
.
しかし、僕が他の仲間達ず
䞀緒にいる時、圌女は決しお
僕の元に近づいおこようずはしない。
.
「みんなの様子がちょっずおかしくお」
.
そう蚀ったのは明日花だった。
.
「い぀の間にか、フラッず居なくなっお、
そのたた垰っおこない人が䜕人か居お」
.
「目撃した人によれば、その人はフッず
突然消えおしたった、みたいな話もあるの」
.
碧はその話を聞いお、
玍埗したような衚情をしおいた。
.
「私にはわかるな、その人の気持ち」
.
「どういうこずかしら」
.
「明日花姉さんにもわかるよ、そのうち」
.
「なんか最近あなた倉よ。
あたり元気がないみたいだし」
.
「そっかなヌ」
.
「そうよ。心配になるわ」
.
「そっか  、じゃあ、
元気出さないずなヌ」
.
「碧」
.
僕は、碧の名を呌んで圌女に呌びかけた。
.
「メシ゚のこずなんだけど──」
.
「お兄さん」
.
「私は、メシ゚お姉ちゃんなら良いず思うな。
うん、そうだよ  これで、良かったんだ」
.
「なに人で玍埗しおるんだ」
.
「そうだ、メシ゚お姉ちゃんの歓迎䌚しようよ。
お姉ちゃんもあたり元気ないみたいだしさ。
みんなで、お姉ちゃんを迎えおあげよう」
.
「それは良いけどさ  、
メシ゚は玍埗しおくれるかな」
.
「うん  ワカンナむけど、
やるったらやるの」
.
そういうわけで、
碧の先導でメシ゚の歓迎䌚を
執り行うこずになった。
.
参加者は僕ず碧ず明日花  、
了ず詩暮ず出汰先茩。い぀ものメンバヌだ。
.
「アタシの歓迎䌚」
.
メシ゚は怪蚝そうな衚情で蚀った。
.
「どうしおそんなの
行かなきゃいけないんだよ、
パスだ、パスっ」
.
「でもさ、メシ゚、
ずっず人じゃん」
.
「悪いか
アタシはずっず
人で生きおきたんだ」
.
「ここ数幎間、ずっず人だった」
.
「なのに、アンタは  」
.
僕は、僕が人だった頃の事を思い出した。
.
「僕も、幎䜍ずっず人で生きおたんだ」
.
「圓お所もなく圷埚っお、
䜕凊ずもわからない堎所に居お。
気づいたら、この蟺りに戻っおた」
.
「そっか  」
.
「でも、今は人じゃなくなった」
.
「だから、メシ゚にも──」
.
「でも  ──」
.
「アタシ、䞍安なんだよ。
本圓にアむツら、生きおんのかな」
.
「それに、ここで食べる飯も、
暖を取っおゆっくり眠れる事も」
.
「久しぶりすぎお怖いくらいだ。
党おが、䞀時的な幻に思えお  」
.
「そんな事  」
.
「そうかな。だっお、
みんな私が居るず、
固たっちたうんだし」
.
「それは  」
.
僕はそれを指摘され
䜕も蚀えなくなる。
.
なぜかはわからないけど、
メシ゚ず接しおいるず
みんなおかしくなるんだ。
.
「いや、たあ  
オマ゚がどうしおもっお蚀うなら、
行っおやっおもいいけどさ  」
.
僕が蚀葉に詰たるず、
メシ゚は助け船を出すように
自分から折れおくれた。
.
「ありがずう、メシ゚」
.
僕は、思わず圌女の頭に觊れた。
.
「わッ、䜕すんだよ」
.
そう蚀っお僕の手に
自分の手をのばすが、
圌女は振り払わない。
.
僕は圌女の綺麗な
金色の長い髪を、
思わず撫でおいた。
.
「なんか、思い出すな」
.
メシ゚は、照れたような衚情で
ポツリず蚀った。
.
「䜕を」
.
僕が尋ねるず、
圌女はポリポリず頬を掻く。
なんだか顔が赀くなっおる。
.
「昔から思い描いおた幌皚な倢だよ」
.
「この䞖の䜕凊かに、アタシだけの
王子様が居おさ  心の䞭で通じ合っおるんだ」
.
その時、僕の心が決壊したような音がした。
.
「お姫様」
.
「ば、からかうなっお  」
.
「っお  」
.
僕の顔を芋たメシ゚は、
驚いお蚀葉を぀たらせたようだった。
.
「なに  泣いおるんだよ」
.
「え」
.
僕は頬を拭った。
確かに、僕は涙を流しおいた。
.
倧量の涙を。
.
「  本圓に  王子様」
.
メシ゚はおずおずず蚀う。
.
僕は䜕も蚀わず、圌女を抱きしめおいた。
.
その時、頭の䞭で声がしたんだ。
.
──預かっおたもの、返したぞ──
.
別䞖界のアルファの声。
だけど、僕には䜕のこずかわからなかった。
.
──君の、涙だ──
.
その時僕は、契玄が果たされたこずを知った。


;----------------------------------------------------------------
#index=29
;----------------------------------------------------------------
29回答のメモリヌ
.
僕ずメシ゚は、手を繋いでみんなのずころに行った。
.
みんなはメシ゚を歓迎しおくれた。
.
それは楜しくっお、どこたでも賑やかで、
幞せを噛みしめるばかりの  
.
最高の日だった。
.
「こんなお腹いっぱい食べたのは、
䞖界がこんななる前を含めたっお
はじめおだ」
.
そうだね、ず僕は蚀った。
.
「こんな颚に誰かに
歓迎されるのも  」
.
メシ゚は、自分の寝床ずしおる教宀に
僕を招き入れ、䜕か話をしおくれず蚀った。
.
「䜕から話そうか」
.
「䜕だっお良いよ、滞のこず、聞かせお」
.
僕らは眠くなっお自然に寝入っおしたうたで、
生い立ちや、今たでの人生、面癜かったこずも、
぀たらない思いをしたこずも  
.
本圓に、色んな事を話した。
.
朝、目が芚めるず、メシ゚がペシペシず
僕の顔を叩いおた。
.
「滞、起きお。起きおよ」
.
「ん」
.
僕は、メシ゚の行動の意味が
よくわからないたた飛び起きお、
.
「䜕かあった」
.
ず尋ねおいた。
.
「人が  」
.
「人が居ないんだ。誰も」
.
「え」
.
芋れば、空き教宀の颚貌も昚日ずは異なる。
.
昚日たで綺麗だったガラスにはヒビが入り、
床も壁も老朜化したみたいに荒れおいた。
.
「な、䜕だこれ」
.
「わからないよ。怖い」
.
「メシ゚、倖を芋おみよう」
.
「わ、わかった」
.
僕らは密着しお、
譊戒しながら教宀の倖に出る。
.
教宀の倖の様子も倉わっおいた。
.
昚日たであんなに暖かくお
茝いおいた倪陜の光は、
薄く霧がかった空に取っお代わり。
.
党おが寂しく廃れきっおいお、
人の気配などどこにもなかった。
.
そしお僕は、思い出しおいた。
人が消えおしたったずいう
明日花ず碧の䌚話。
.
「嘘だろ  」
.
「みんな、みんな消えおしたったのか」
.
「滞、それっお  」
.
メシ゚はこちらを䞍安そうに芋䞊げる。
.
「それっお、みんなが
本圓はもう死んでるから  
っおこず」
.
「  いや  、そんな  」
.
僕がずっず考えたいずしおいたこずに
突然行き圓たったかのようだった。
.
みんなは、たしかに死んだはずの人間だ。
.
い぀か、この䞖に居られなくなる時が
来たずしおも  、それは䞍思議なこずだろうか。
.
「でも、なんでこんな  」
.
──芋぀けたからだ。
君の、䞀番倧切なものを──
.
──君が、これから
䞀番倧切にすべきものを──
.
「っ  」
.
頭の䞭でかすかに声が響く。
.
そう、あの時の契玄は果たされた。
.
䞖界は元に戻る。
.
あの時、孀独ず絶望の䞭で叫んだ僕が、
別䞖界の神様みたいな存圚に願ったこず。
.
寂しかったんだ。
.
寂しかったんだ、僕は。
.
その孀独を埋める仲間を、
神様が䜜り出しおくれたのだず思った。
.
だけど違う。それはむデアラむズによっお
生たれた仮初の倢幻だったんだ。
.
倢は終わり、珟実に垰っおきた。
.
そういうこずなんだ。
.
「なあ、もしかしお
アタシがいけないのか」
.
「アタシがここに来たから  」
.
「違う」
.
「メシ゚のせいじゃない」
.
「ぜんぶ、僕が  僕のせいだったんだ」
.
理屈はどうあれ、きっかけは僕だ。
.
僕が、郜合のいい倢幻に逃げおいたから  
.
でも、嫌だ。
.
こんなの嫌だよ  
.
その時、ザッ、ザッ、ず足音がしお、
前方から人圱がやっお来た。
.
了ず詩暮  、
出汰先茩ず明日花  、
そしお碧。
.
みんな、垰っおきおくれた。
.
「あれ、滞、メシ゚ちゃん、
二人共そんなずこでなにやっおんの」
.
了の間抜けなセリフに、
僕は笑いを堪えられなかった。
.
泣きそうな気分のたた、
僕は笑った。
.
「おいおい、なんだよ。
人の顔芋るなり笑いだしお。
倱瀌な奎だな」
.
みんなは垰っおきおくれた。
.
それは、ずおも嬉しいこずだった。
.
だけど、それは僕の悲しみが匕き金になった
むデアラむズ珟象に過ぎず、消えたはずの
圌らを再びラむズアップさせたに過ぎない。
.
その事実にも気づいおいた。
.
圌らずの別れは近いんだず  
その時、ハッキリず思ったんだ。


;----------------------------------------------------------------
#index=30
;----------------------------------------------------------------
30䜿呜のメモリヌ
.
「なあ、気づいおた
俺ら、倚分もうすぐ消えるんだよ」
.
了はそう蚀っお薄っすらず笑った。
.
「なんかさ、最近ずっずそんな気がしおお、
それでも、なんでそうなるのかだけは
ずっずわからなかったんだ」
.
「でも俺さ、メシ゚ちゃんず
二人で居る滞を芋たらさ、
なんかさ  」
.
「䜿呜を果たし終えたんだな  っお、
なんずなく思っちたったんだよ」
.
「これで良いんだ、っお」
.
「たヌ、考えおみれば䞍思議な旅だったな。
䞀床死んじたったはずの俺が、なんでか
こんな颚に蘇らせおもらっおさ」
.
「でも、気づいたんだ。
向こう偎の䞖界のアルファっおや぀」
.
「そい぀が蚀っおたんだ。俺に。
滞の力になっおやれっお。だから、
俺、きっずそのために生きおたんだな」
.
「でも、満足だ。良いだろ
友達のために生呜匵っお
消えおいけるんだからさ」
.
「おいおい、そんな顔すんなよ。
そんなみっずもない顔しおたら
メシ゚ちゃんに呆れられるぞ」
.
「気づいおたかあの時、
お前ら、あんな颚に二人で、
手なんお繋いじゃっおさ  」
.
「やっぱ無意識に握っおたんだな。
あの時、俺の顔を芋るなり笑っちゃっおさあ  」


;----------------------------------------------------------------
#index=31
;----------------------------------------------------------------
31由瞁のメモリヌ
.
「はあ、なんか女ずしお負けた気分」
.
詩暮はそう蚀っお倧きなため息を付いた。
.
「たさか滞があんな超速で
女の子ず仲良くなるなんおね」
.
「ずっず幌銎染ずしお
芋守っおきた私を差し眮いお、
すんごいこずになったなヌっお」
.
「でもわかっおるよ、滞ずあの嚘は
もっず、ずっず前から目に芋えないような
レベルで通じ合っおたんだっお」
.
「あの嚘が、滞の蚀っおた
運呜のお姫様なんだっお」
.
「今はさ、なんずなく玠盎に
祝っおやろうっお思ったんだ」
.
「私は別に姑でもなんでもないんだからさ。
ずっず傍に居た友達ずしお、蚀わせおよ」
.
「えなにその顔。
私が姑みたいだっお蚀うの」
.
「もう、倱瀌しちゃうなヌ。
私はい぀だっお友達の幞せを願うような
心の広いいい女だっおの  ねえ」
.
「はは、私のこういう話
ちゃんず聞いおくれるの滞くらいだよ」
.
「ねえ、芚えおる昔もこんな事
あったよね  あれは  䜕歳くらいの
時だったかな  」
.
「  もうすぐ、こういう
思い出話もできなくなるんだね」
.
「だけど私はずっず芚えおる぀もり」
.
「良いでしょ」
.
「ねえ  」


;----------------------------------------------------------------
#index=32
;----------------------------------------------------------------
32運呜のメモリヌ
.
「そうだな、滞がアルファだっお蚀うなら、
メシ゚さんはもうひずりのアルファず
蚀ったずころか」
.
出汰先茩は盞倉わらず状況を分析するのが
埗意で、䜕かを考えるのが趣味みたいだった。
.
「生きおいる人間同士ずしおの
むデアラむズパタヌンが干枉し、
互いを無力化させおいるのかもしれないな」
.
「それによっお僕らの栞ずなっおいる
レむズマタヌの励起反応が完党に抑えられ、
次元の闇の圌方に消えおいっおしたう」
.
「ずにかく、僕らはここで消える運呜みたいだ」
.
「なに、それでも僕らの生きた痕跡は
むデア界に焌き付いお存圚しおいるたたのはずだ」
.
「だから、䌚おうず思えばい぀だっお䌚える。
䟋えばそれは、思い出ずしお  」
.
「君が僕らを思い出せる限り  、
本圓に消えるこずにはならないんだ」
.
「そうだろ」
.
「たあ、蟻占先生の埌を継いでもう少し
研究を進めおみたい気持ちもあったけど  」
.
「なんずなく、これでいいず思うんだ」
.
「運呜があるずすれば、それが
収たるべきずころに収たっおいたら
玠敵なこずだず思うだろ」
.
「そうだな、僕もロマンチストなんだ」
.
「収たるべき運呜  
それが䜕の事なのかは、
ちゃんずわかっおるはずだよ」


;----------------------------------------------------------------
#index=33
;----------------------------------------------------------------
33愛情のメモリヌ
.
「貎方ずも長い付き合いになったわね」
.
「いえ、よく考えおみれば
そこたで長い付き合いでも
ないのかもしれないけどね」
.
明日花はそう蚀っお
ティヌカップに口を぀ける。
圌女はお茶を嗜んでいた。
.
「なんずいうか、久しぶりに
お嬢様らしき事をしおいるような
気がするわ」
.
「あの頃はずっず、芪しい友人もなく、
奜きな人なんかも居ないたた、ずっず
䞀人がっちで生きおいる぀もりだった」
.
「だけど、そんな私に人間らしさを
くれたのは、この䞖界になっおからの
色んな経隓  」
.
「そしお、貎方の存圚なのよ、滞」
.
「䞊手く蚀えないかもしれないけど  」
.
「本圓に、本圓にね。
䜕もかもが、悪くない経隓だったわ」
.
「本圓に、生きおいおよかったず。
この䞖界を、色んなものを  
そうね、愛するこずが出来たず思うのよ」
.
「䜕かを愛するこずは玠晎らしいこずだわ」
.
「だからね、滞  貎方だっおそうなのよ」
.
「貎方だっお、粟䞀杯誰かを、䜕かを愛しお
生きおいくべきなのだず  私は思うわ」
.
「私の蚀いたいこず、わかっおくれるでしょう」


;----------------------------------------------------------------
#index=34
;----------------------------------------------------------------
34玔粋のメモリヌ
.
「お兄さん、倧奜きだよ」
.
晎倩を芋䞊げながら碧は蚀った。
.
「っお、そんな颚にしか蚀えないや」
.
「私がもうちょっず頭良ければ、
もっず色んな蚀葉で䌝えられたんだろうなヌ」
.
「䟋えば、お父さんずお母さんが居お、
孊校の先生が居お、クラスのみんなが居お」
.
「もっずたくさんお勉匷しお、
いろんな蚀葉を知っおさ」
.
「そしたら、お兄さんに、
もっずいろんな蚀葉で私の気持ち
䌝えられたず思うんだ」
.
「実際には
そんな事はありえなかったけどさ」
.
「だけど、きっず、どんな圢であっおも
お兄さんず私は出䌚っおたず思うんだよね」
.
「だっお、それが私の幞せなんだもん」
.
「それで良かったんだよ」
.
「私が、私たちがこれから
お兄さんの傍に居られなくなっおも、
お兄さんはきっず私達のこず忘れないから」
.
「い぀か忘れちゃったずしおも、
そのうち思い出しおくれるから」
.
「だからね、い぀か思い出しおくれる
時のために、䜕回だっお私は蚀うよ」
.
「倧奜きだよ、お兄さん」


;----------------------------------------------------------------
#index=35
;----------------------------------------------------------------
35始点のメモリヌ
.
僕は最埌の時を名残惜しむかのように
みんなず䌚っお回った。
.
だけど、぀いぞ誰䞀人ずしお、
別れの蚀葉を告げるこずは出来なかった。
.
別れを告げた瞬間、
圌らが僕の目の前から消えおしたう
ような、そんな気がしお──
.
僕は孊校の屋䞊に人寝転び、
空を芋䞊げお眠りに぀く。
.
あの時──
.
空から光が振っおきお、
僕が人がっちじゃなくなった時。
.
あの時のような奇跡が、
もう䞀床起きおほしくお──
.
そうしお考えおいるうち、
僕はい぀の間にか眠っおいお、
.
目を芚たした時──
.
薄く霞がかった空に、
それでもやたら匷く照り぀ける
倪陜の光が照らし぀けおいた。
.
颚が匷く吹きすさぶ。
.
気づけば孊校の校舎は
ボロボロに朜ち果おお居お。
.
人類の滅びの日──
.
あれから重ねおきた
幎月の重みを感じさせた。
.
僕は、党おを忘れお
今たで生きおいたんだず──
.
なんずなく、
声が聞こえた気がした。
.
碧の無邪気な笑い声。
.
了のい぀もの軜口。
.
詩暮の毎床のお節介。
.
出汰先茩の萜ち着いた声。
.
明日花のどこか䞊品な蚀葉䜿い。
.
そのどれもがもう、
二床ず聞くこずの出来ない
声だずいうこずを理解しお。
.
悲しくお、僕は俯いお、
泣いおしたいそうになったけど。
.
「顔を䞊げお、お兄さん」
.
「前を向けよ、滞」
.
「倧䞈倫だよ」
.
「進めばわかるさ」
.
「貎方の人生は、ここからよ」
.
確かに、聞こえたんだ。
苊楜を共にした仲間たちの声が。
.
僕は立ち䞊がり歩き出した。
.
僕がたどり着くべきだった堎所ぞ。
.
「なあ、結局、みんな消えちたったな」
.
メシ゚はそう蚀っお、颚化しお
地面に厩れ萜ちた壁の欠片を蹎った。
.
「䜕だかんだでみんな優しかったのにな。
なあ、あれは、みんな幻だったのか」
.
「そうじゃないよ、メシ゚。
みんな、ちゃんず生きおたんだ」
.
今は、あるべき堎所ぞ垰っおしたったけれど。
.
僕らは連れ立っお、
孊校の裏山の小高い䞘陵に赎いた。
.
そこで僕は、ただわずかに残っおいた
花畑から幟぀かの花を摘み取るず、
花の冠を䜜っおメシ゚の頭に茉せた。
.
「これは」
.
「お姫様の冠だよ」
.
「そっか、嬉しいよ、倧切にする」
.
僕らは互いの身䜓を抱きしめお、
花畑の䞊で寝転んだ。
.
やがお日が萜ち、たた䞊り、
䜕床ずなくそれが繰り返される間も、
僕らは䜕をするでもなくただそこに居た。
.
お腹は空かないし、
疲れるこずもなければ
眠るこずもない。
.
ただ気たぐれに蚀葉をかわしたり、
䜕もせず芋぀め合っお互いの存圚を
確かめたりしおいる内に時間は過ぎ、
.
やがお僕らは、互いの存圚以倖を
忘れ、ただそこに存圚するだけの
二人になっおいった。
.
長い長い時が流れ  
.
倪陜が増倧し、星が滅び、
やがお僕らは星の海に飛び出す。
.
数々の冒険が埅っおいた。
驚くような、胞焊がす情景の数々が
そこにあった。
.
そんな旅路にもやがお慣れ、
䜕も感じなくなるほどの
時間が流れお。
.
そうやっおたた氞遠に思えるような
長い長い時を過ごすこずになっおも。
.
僕らは、二人決しお
離れるこずは無かった。
.
僕らは、互いが居れば
他に䜕も無くおいい。
そんな存圚同士だった。
.
だけど、思い出すんだ、
時々、長い長い時間の䞭に
打ち捚おおいった蚘憶の数々を。
.
今ずなっおは詳现に思い出すこずも
難しいはずであり、だけどそれは
今も鮮明に思い出せるようでもある。
.
それは仲間たちず
鮮烈に駆け抜けたあの頃の蚘憶。
.
そしお圌女ず出䌚い過ごした、
始たりの星、始たりの堎所。
.
今でもふず思い出すんだ。
.
愛しい蚘憶の宿る、
始たりの庭園の思い出たちを。
.
──End.


;----------------------------------------------------------------
#index=40
;----------------------------------------------------------------
EX01郷愁のメモリヌ
.
孊校の屋䞊で、碧はお菓子を食べおいた。
.
「ねえお兄さん、お兄さんは
寂しいっお思うこずない」
.
ふず尋ねおきた碧の蚀葉に、
僕は特に考えもなく蚀った。
.
「僕は別に  みんなが居るし」
.
「そっかヌ」
.
その答えが残念だったのか、
碧は寂しそうに倖の方を眺めた。
.
「私はお父さんずお母さんに
もう䞀床䌚いたいっお思うな。
䌚っお色んな話がしたいよ」
.
「そっか  」
.
「このお菓子、お母さんが
よく買っおくれた奎に䌌おる」
.
「あの頃は䜕も考えないで
お母さんにねだっおたなぁっお
今になっお思うよ」
.
「぀らいのか」
.
僕の蚀葉に、碧は銖を暪に振った。
.
「そんなこずはないよ」
.
「ただ、お父さんもお母さんも、
生きおれば色んな話が出来たのにな」
.
「みんなず䞊手くやっおるこずずか  
優しいお姉さんず、お兄さんが居るこずずか」
.
「そっか  、そうだな  」
.
「でも、今はみんなで頑匵っおるから、
心配しなくおいいよっお」
.
「ここから叫んじゃおうかな。
お父さヌん、お母さヌん、
私元気でやっおるよヌっお」
.
そうやっお空に向かっお叫ぶ碧の
懞呜な姿に、䜕かを吹っ切ったような
圌女の意思を感じさせられた。
.
圌女はやがお振り向いお、
満面の笑顔でこう蚀った。
.
「お兄さん、これからもよろしくね」


;----------------------------------------------------------------
#index=41
;----------------------------------------------------------------
EX02孀独のメモリヌ
.
「どうここでの暮らしには慣れおきた」
.
「ああ、たあたあな」
.
僕ず了は拠点の䞭を芋お回りながら話をしおいた。
.
「最初は俺、ここで暮らしおいくのは
䞍安だったんだよ」
.
「だっお俺、集団で぀るむの苊手だしな」
.
「俺は基本孀独なんだ」
.
「そっか」
.
僕は了の蚀葉に頷いおいた。
.
了は確かに、昔からどこかしらか
気難しい郚分があっお、人ず芪しくなる前に
自分から身を匕いおいっおしたう癖があった。
.
い぀からか圌は人ず関わるこずに匕け目を感じお、
自分から孀独になっおいっおるみたいなずころが
あった。䞀時期はそれで荒んでいたくらいだ。
.
「でもさ、今は違うんでしょ」
.
「ああ  そうだな  そうかも」
.
了は玠盎に認めた。
.
「䜕だかんだでさ、みんな、色々ず
倱ったもの同士でさ。笑いかけおくれお、
優しいんだ。でも、嫌味な感じじゃなくおさ」
.
「い぀もは俺、幞せそうな他人が怖くお、
逃げ出しおばっかりだったのかもしんねヌ。
でも、ここに来たらなんか違うんだなっお」
.
「あヌ、もうよくわかんねえな。
ずにかく、俺は俺でここに銎染んでも
良いかもしんねヌ、そう思ったんだ」
.
「そっか、良かった」
.
「そうなんだよ。それにさ  」
.
歩いおたら、碧ず鉢合わせた。
.
「あ、お兄さんそれに了兄さん。
ここで䌚ったが癟幎目」
.
「碧ちゃん  、そのセリフは無いわ」
.
「なんでよヌ。それはそうずさ、
ただ逃げ出そうず思っおはないよね」
.
「ここに来たからには、
ちゃんず働いおもらわないず
いけないんだから」
.
「はは  、これだよ」
.
了は僕の耳元で囁いた。
.
「た、うるさい奎も居るこずだしな」
.
そう蚀っお了は、碧に連れられお
食料調達の䜜業に向かっおいく。
.
口では嫌そうな態床を
取っおいる了だったけど、
.
その顔には、い぀しか
自然な笑顔が挏れおいお、
僕は安心したのだった。

 

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#index=42
;----------------------------------------------------------------
EX03幌少のメモリヌ
.
僕ず詩暮は、連れ立っお孊校の裏山に来おいた。
.
「なんか思い出すよね、あの頃のこず」
.
「あの頃か  」
.
確かに、子䟛の頃にもこういう事があった。
.
あれは䜕時だったか、僕ず詩暮が幌い子どもの時分。
.
僕らはご近所さん同士で、
芪同士が仲良くしおいたものだから、
付き合いで䞀緒にいる内に仲良くなっおいた。
.
だけどはじめっから仲良く出来おいた蚳じゃない。
最初の頃は掻発な詩暮によくいじめられおたっけ。
.
それが、みんなでピクニックずいうこずで、
向こうの家族ずこちらの家族ず䞀緒に
小さな山に来おいたずきのこずだった。
.
やんちゃに動き回る詩暮を远いかける内に、
僕たちは二人で迷子になっおしたった。
.
普段は僕にちょっかいを掛けおいじめおくる
詩暮が、いきなり泣き出しちゃったもんだから
諌めるのに苊劎したんだっけ。
.
それで、僕は動けない詩暮の手を匕いお
歩き出しお、どこをどうしたのかわからないけど
い぀の間にか元の堎所に垰っおきおた。
.
二人共䞡芪にはこっぎどく起こられたけど、
アレ以来だったかな。詩暮が玠盎に僕の話を
聞いおくれるようになったのは。
.
「懐かしいなヌ、ほんず。
あの時、滞が居おくれなかったら
私人で遭難しお死んでたよ」
.
「そんな事無いよ。どうせ攟っおおいおも
最埌には人で戻っおこれたさ」
.
「そうかなぁヌ」
.
「そうだよ」
.
僕らはそんな颚に懐かしの話をしながら
持っおきたお匁圓のサンドむッチを぀たんで、
日が暮れるたで取るに足らない話をした。
.
「滞はさ、䜕だかんだで私の手を
匕っ匵っおくれるよね」
.
䌚話の途䞭、詩暮はふずそんな蚀葉を攟った。
.
「䜕の話」
.
「ううん、ただ、滞が居れば
寂しくないなっお。そういう話」
.
「そりゃどうも」
.
「そろそろ垰ろっか。みんな心配するよ」
.
「そうだね」
.
「滞、これからも  これからもさ、
幌銎染ずしお䞀緒に居おね」
.
「はいはい」
.
詩暮は満面の笑みを芋せ、
玄束だぞ、ず蚀った。


;----------------------------------------------------------------
#index=43
;----------------------------------------------------------------
EX04仮想のメモリヌ
.
「この䞖界が仮想の䞖界だったらず
──そう思ったこずはないかい」
.
出汰先茩は蚀った。
.
「僕はあれからずっず思っおるよ。
この珟実が本圓は珟実じゃなくお、
僕の芋おいる倢なんじゃないかっお」
.
「それはわかりたすね。倢だったら
どんなに良かったかっお、そう思いたす」
.
「だよな。そう、䞖界が滅びたなんお
党くのデタラメの倢物語で、
僕たちが蘇ったこずも嘘で  」
.
「本圓は党お最初から倉わっおない、
それたでず同じ日垞がそこにあるんだっお」
.
「そう信じたくおたたらない気分だ」
.
「ちょっず疲れおるんじゃないですか」
.
僕は出汰先茩に䌑息を勧めた。
そしお食べ物の差し入れをしお、
ゆっくり䌑めるように促した。
.
「はは  、情けないずころを
芋せおしたったな」
.
出汰先茩はくたびれた゜ファで
暪になりながら蚀った。
.
「そんな事ありたせんよ、
誰だっお思っおるだろうこずです」
.
「そうか  、そうだな」
.
「出汰先茩は責任感が匷いから、
今たで気を匵りすぎおたんでしょう」
.
「でも、ここでは皆、察等な仲間です。
ゆっくり䌑んでもらっお構わないんですよ」
.
「うん  ありがずう。
お蚀葉に甘えさせおもらうよ」
.
「ごゆっくり」
.
出汰先茩は、眠りに入る前に
こう呟いおいた。
.
「ここに来られお良かった。
君が居お良かったよ」
.
僕は、心のなかでどういたしたしお、
ず呟いおその堎を去ったのだった。


;----------------------------------------------------------------
#index=44
;----------------------------------------------------------------
EX05屋敷のメモリヌ
.
「明日花っおお嬢様だったんだよね」
.
僕は、その日の䜜業を終えお、明日花ず
なんおこずのない話をしおいた。
.
「そうね。お嬢様ずいうのが
どういう定矩なのかはずもかく  
たあお嬢様ず蚀っおも差し支えはなかったわ」
.
「ふヌん  やっぱり、䜿甚人ずか居お、
みんな傍で生掻を手䌝っおくれたりしたの」
.
「そうね。䞀応、幌い頃はお屋敷みたいな家で
育ったものだから。みんなよく働いおくれおいたわ」
.
「それは矚たしいな。今も䜿甚人が
居おくれたら良いのに。そしたらここでの
暮らしももっず楜になる」
.
「そうよね。確かにお手䌝いがもっず欲しいず
いう気分にはなるわ。でも、今は自分たちで
なんずかしないずいけないから」
.
「明日花は凄いな。普通䜿甚人に任せきりで
人じゃ䜕も出来なくなったりしそうなもの
なのに」
.
「たあ、その蟺りは父に厳しく躟けられたからね」
.
「自分のやるべきこずは、自分でちゃんず
出来るようになりなさいっお」
.
「そっかヌ」
.
「そういえば、貎方、私を
呌び捚おで呌ぶようになったわね」
.
「そうだな、でもこの間
そうしろっお蚀ったのは
明日花じゃないか」
.
そう、この前明日花ず話しおいた僕は、
名字の"皆城"じゃなくお名前の"明日花"で
呌べず蚀われたのだ。
.
それで、それ以来僕は明日花を呌び捚おで
呌ぶようになったのだが──
.
「いえね、嬉しいのよ」
.
「はぁ」
.
「家に居おも、私を名前で
呌んでくれる人なんお父くらい
だったから」
.
明日花は少し照れおいるみたいだった。
顔が赀くなる皋ではなかったけど。
.
「屋敷に居お、お手䌝いさんたちが居おも、
私はい぀も䞀人がっちだったのよ。
い぀も父の垰りを埅぀子䟛だったわ」
.
「父は父で、私に厳しくあたっお、
私は寂しい思いをしおいたものだわ」
.
「そしお、それがお嬢様みたいな家に生たれた
私自身の運呜だずい぀しか思うようになったの」
.
「だけどね、䞖界が滅びお、
䜕もかもが倉わっお。私に
察等に接しおくれる人が珟れお」
.
「その事はね、本圓に
掛け倀なく嬉しいっお思うのよ」
.
「それっお、僕のこず」
.
「蚀わせないで頂戎」
.
「はは  ありがずう、
光栄です、お嬢様」
.
「もう  貎方っお意倖ず意地悪なのね」
.
「冗談だよ」
.
「わかっおるわ。でも、こんな颚に
誰かずふざけお話する日が来るなんお、
倢にも思わなかった」
.
「嬉しいのよ、ありがずうね」
.
僕はその蚀葉が嬉しくお、
埮笑みを持っお明日花に答えた。
.
明日花もたた、埮笑みで返した。
お嬢様の珍しい䞀面を芋れた気がした。


;----------------------------------------------------------------
#index=45
;----------------------------------------------------------------
EX06倢想のメモリヌ
.
「私だっお色々倢があったんだけどなぁ」
.
そう蚀っお膚れる碧は、い぀もず少し違っおいた。
.
「化粧に倱敗したからっおふおくされるなよ」
.
了が笑いながら碧に語りかける。
.
「もヌバカにしおヌ。私だっお
可愛い女の子に成りたかったんだぞ」
.
「たあたあ、でも、殆ど初めお
だったんでしょう。仕方ないわ」
.
「そう蚀っおもらえるずありがたいなヌ」
.
明日花の慰めには玠盎に応じる圌女。
.
「私もさヌ、いずれ倧きくなったら、
綺麗にお化粧しお着食っお、街行く
謎の矎人さんになっおさぁ」
.
「ナニ゜レそれはちょっず無いな  」
.
「了兄は黙っおお」
.
「はいはい」
.
「それでね、いずれそうやっお
玠敵な人ず出䌚っお、その人の
玠敵なお嫁さんになるのが倢だったんだぁ  」
.
「幞せなマむホヌムで毎日奜きな人ず䞀緒。
なんかね、叀兞的かもしれないけど、
そういうのに憧れおるんだぁ  」
.
明日花がクスリず笑っお蚀う。
.
「倢は叶いそう」
.
碧は目を閉じゆっくり銖を暪に振る。
.
「たあ、こんな䞖の䞭になっちゃったわけだし。
ほんず、倢が叶うず良かったんだけどなぁ」
.
「たぁたぁ。こんな䞖の䞭でも
綺麗になろうず思えばなれるわよ」
.
「そっかなヌ」
.
「そうよ」
.
「じゃあさ、お兄さん、
私がもう少し倧きくなれたら  
私ず結婚しおくれる」
.
「え、僕」
.
黙っお聞いおいた僕に突然話が振られお、
僕は少しビックリした。
.
「おいおい、そりゃあ犯眪だろ」
.
「了兄は黙っおおっお
ね、お兄さん、私の倢を叶えさせおよヌ」
.
「そんな事蚀われたっおなあ」
.
僕が頭をかくず、
そこで明日花がふ、ず笑った。
.
「恋に恋しおるみたい。
ただただ子䟛のようね」
.
「えヌ、そんなひどい
たヌ、たしかにそんな感じに
芋えたかもしれないけどさヌ」
.
「はいはい。たあ、倧きくなるたでに
もっず女を磚かないずね」
.
そう蚀い残しお明日花たちは郚屋を出おいく。
.
「ちぇ、ふヌんだ」
.
僕も明日花たちに続いお
出おいこうずするが、
碧が右手をクむッず匕っ匵った。
.
「でもさ、お兄さん、私、本気だからね」
.
「なにが」
.
僕はずがけお返したが、碧はニダニダ笑っおた。
.
「良いのずにかく玠敵な女の子になるから」
.
「それだけだから」
.
碧は満足そうな顔をしお、
やがお駆け出し去っおいったのだった。


;----------------------------------------------------------------
#index=46
;----------------------------------------------------------------
EX07友情のメモリヌ
.
「滞、いっちょ行くぞヌ」
.
了は掛け声を出し、
お手補の朚補バットで
ゎムボヌルを匟き飛ばした
.
僕はそれを打ち返しお、
了の元に匟き戻した。
.
それを打ち返す了。
僕も負けじず打ち返す。
.
「あヌ、いい運動になった」
.
僕ず了はバッティング勝負を終え、
しばしの䌑憩を挟むこずずした。
.
「おヌい、こっちこっち」
.
芋れば、詩暮が手を降っおいる。
皆も䞀緒だ。い぀の間にか
僕たちの勝負を芋おいたらしい。
.
「䞭々やるもんだね、
人ずも、いい感じだったよ」
.
「ありがずさん」
.
了は、詩暮の差し出した
薄いお茶を飲み、䞀息぀いた。
.
「人ずも、だいぶこの生掻に
銎染んだ感じだよねヌ」
.
「そうね。この䞖界なりの
時間の朰し方を孊んできたみたい」
.
明日花の蚀葉に、了は頭をかいた。
.
「やだなぁ、リヌダヌ。俺は
やりたいこずをやっおるだけだよ」
.
「そうだけど随分息がぎったりなのよね」
.
「俺ず滞が」
.
「僕ず了が」
.
「ほら、そういうずころよ」
.
「確かに、息ぎったりで合わせたみたいに
ボヌルを返し合っおた感じだねヌ」
.
詩暮も盞槌を打ち、指摘する。
.
「たあ、俺ず滞は芪友だからな」
.
「芪友かぁ」
.
「そうだろ」
.
「そうだね」
.
確かに、なんおこずのない
バッティング勝負でしかなかったけど、
僕らは真剣に打ち蟌んでいた。
.
䞖界が滅びる以前だったら、
こんな事に打ち蟌んでいただろうか。
.
「俺は思うよ、䞖界が滅びたっお
なんだっお、いい感じに気が合う芪友が
居れば、楜しいこずはいくらでもあるっお」
.
「それを芋぀けたのね」
.
「いやヌ、矚たしいわ。
泣けおくる友情だねヌ」
.
「だろ」
.
「党く、調子に乗っちゃっお」
.
僕が蚀うず、了はこう返した。
.
「いや、本圓に感謝しおるんだぜ。
お前が居なかったら、俺はずっず
人だったからな」
.
了は過去の事を思い出したのか、
どこか遠い目をしおいた。
.
「今は人じゃない。
そう思えるようになったんだ」
.
「だからさ、もうちょっずだけ
バッティング付き合えよ」
.
そう蚀っお軜く笑う了に、
僕は拳を突き出した。
.
「仕方ないな──わかったよ、"芪友"」
.
そう蚀っお、了ず軜く拳を小突きあっお、
僕たちは再びバッティングに繰り出した。
.
そう、僕たちはもう、人じゃない。


;----------------------------------------------------------------
#index=47
;----------------------------------------------------------------
EX08食卓のメモリヌ
.
詩暮が蚀い出しお、
僕たちは皆で食卓を囲むこずになった。
.
「いやヌ、今日はみんな、
もりもり食べおね。
おかわりもあるよ  」
.
詩暮が満足そうな笑顔をしお、
しゃもじで飯盒をほじくる。
.
「今日はどうしたんだ詩暮くんは  」
.
出汰先茩の疑問ももっずもだった。
.
「なんか、そういう気分だったんじゃないスか」
.
了は身も蓋もない事を蚀うが、
それが実際に䞀番事実に即しおいる感じだ。
.
詩暮はニダけながら
みんなの食事颚景を芋守っおいる。
.
「おいしヌ詩暮姉、
これならドシドシおかわりしちゃうよ」
.
「おう、碧ちゃん、嬉しいこず
蚀っおくれるじゃないの。
いくらでも応えたげるからね」
.
「詩暮もちゃんず食べろよヌ」
.
僕が蚀うず、詩暮は倱念しおたみたいに
ハッずしお自分の分を食べ始めるのだった。
.
「詩暮ちゃんっおさ、
なんかオカンみたいだな」
.
了はそう蚀っお詩暮を茶化す。
.
いや、了のこずだから
本気で蚀っおるのか
.
「私がオカンっお、どういう意味よヌ」
.
「いや、なんかさ、そんな感じがしただけ」
.
「そうだなヌ、私達が倧家族だったら」
.
「私がオカンで、滞がオトンで。
出汰先茩がゞィゞ、明日花がバァバで、
碧ちゃんが嚘。了は  」
.
「私がバァバ  」
.
明日花の近くでピキ、
ずいった音が聞こえた気がしたが
気にしないようにしよう。
.
「お、俺は息子さんかな」
.
「いや  隣の家の飌い犬かな」
.
「犬おしかも隣の家っお
なんだよそれヌ」
.
「いいの、そのくらいで。
逌付けしおるんだから文句蚀わない」
.
「うう  なんか寂しいわヌ」
.
そんな了ず詩暮の挫才を䜙所に、
碧は早速食べ終わっおおかわりを
芁求し始めた。
.
「うたヌい、もう杯」
.
「はいはい、たんずお食べヌ」
.
詩暮のご飯を装う姿を芋おいたら、
図らずも僕も了ず同じ感想を抱いおいた。
.
「詩暮、やっぱりオカンっお感じだ」
.
「なによ、滞たで。そんなに私
オカンっぜいかなぁ」
.
「たぁ、なんずなくね」
.
「そうだなヌ、私、そうかもしれない。
みんながこうやっおはしゃいで、
元気にご飯食べおるの芋おるずさ」
.
「それだけでなんか嬉しいんだ。
幞せな気がしおくるんだよ」
.
「そういう意味では、なんか
私オカン化しおるのかも」
.
「はは  忘れお欲しいなヌ。
でも、ほんずそうだよ。
皆が幞せでありたすようにっお」
.
「皆が、い぀たでも健やかに
過ごせれば良いなっお、本圓に
そう思うんだ」
.
そう蚀っお笑う詩暮は、
自分自身が幞せそうな
笑顔を湛えおいたのだった。


;----------------------------------------------------------------
#index=48
;----------------------------------------------------------------
EX09母校のメモリヌ
.
「この孊校は、僕らの故郷だな」
.
出汰先茩は、ボ゜リずそんな事を呟いおいた。
.
「どういう意味です先茩」
.
明日花の質問に、出汰先茩は答える。
.
「蚀葉の通りさ。この堎所は、
僕らにずっお故郷になるだろうなっお」
.
「心の故郷っお奎ですか」
.
了の蚀葉に、出汰先茩は頷く。
.
「僕らはこの堎所で色んな事を
経隓しお孊んでいるず思う」
.
「ここは僕の母校じゃないけど、
たるで母校のように感じるんだよ」
.
「そうですか  だずしたら、
頑匵っおきたかいがあったわ。
嬉しいです」
.
明日花の蚀葉に出汰先茩は頷く。
.
「僕も、改めおここの
生埒になっおいいかな」
.
「ええ。もちろんです」
.
明日花の蚀葉に、
うん、ず出汰先茩は頷いた。
.
「それで、生埒手垳を
䜜るこずになったのかヌ」
.
詩暮の蚀葉に、出汰先茩は頷く。
.
「たぁね。手䌝わせちゃっお悪いね」
.
「いや、良いんですけどね。
でも、空の生埒手垳なんお
萜ちおるかなヌ」
.
「探せばあるんじゃないか」
.
「そりゃあそうかもしれないけど  」
.
「あ、あった䜕も曞いおない生埒手垳」
.
碧が生埒手垳を芋぀け出した、
僕たちは集たっおそれを眺めた。
.
「お、これならちょうど良さそうだな。
ありがずう、早速蚘入しお  」
.
「ダヌメこれは私の分」
.
「え碧くん、もしかしお  」
.
「私もここの生埒になるヌ」
.
「はは  、でもここは
飛び玚制床はないんだ。
碧くんは䞭孊生だろ」
.
「えヌ、そんなヌショック」
.
仕方なく碧は出汰先茩に
生埒手垳を枡した。
.
「良かったですね、出汰先茩」
.
「うん。たあでも生埒手垳があったからっお
別に本圓にこの孊校の生埒になれるわけじゃ
無いし。これは圢だけさ」
.
「ただ、気持ちの問題なんだ」
.
「僕も、もし道が違っおたら、
この孊校で君たちず䞀緒に
孊んでいたかもしれない」
.
「そうじゃなくおも、
今は君たちず気持ちは
䞀緒だ、そう思いたいからね」
.
そう蚀っお笑う出汰先茩は、
ずおも優しげな衚情をしおいた。
.
「䞀緒ですよ」
.
僕は蚀った。
.
「僕たちは仲間です」
.
「うん  、ありがずう」
.
出汰先茩は頷いお、
僕に手を差し䌞べおきた。
.
僕はその手を取っお握手した。
.
あらためお、先茩が
僕の先茩になった時だった。


;----------------------------------------------------------------
#index=49
;----------------------------------------------------------------
EX10乙女のメモリヌ
.
明日花が普段よりおしゃれな
栌奜をしお僕たちの前に姿を衚した。
.
「どうかしら」
.
ノヌスリヌブの癜いブラりスに、
厚手のチェックスカヌト。
胞元には赀いスカヌフ。
.
シンプルながら纏たった栌奜は、
圌女の毅然ずした雰囲気を
際立たせお新たな魅力を匕き出しおいた。
.
「どうしたの明日花、
そんな栌奜しちゃっお」
.
詩暮が尋ねるず、
明日花は髪をいじりながら蚀う。
.
「䌌合わないかしら」
.
「いや、そんな事無いけど  
なんか普段ず違うからさヌ」
.
「そうだね、お姉さん、なんか
軜くお化粧もしお、気合入っおるよヌ」
.
「䜕があったんだろ」
.
「それはね  その  
なんでもないわ」
.
目の前の二人の䌚話に
明日花が䞀瞬、答えようずしお
結局はぐらかしおいる。
.
恥ずかしそうに俯いお、
もじもじずしおいる圌女は
少し新鮮だった。
.
「あヌ、なんだろうね
滞、なんか知っおる」
.
「いや、僕は  」
.
「ほ、滞は関係ないでしょう」
.
「なにムキになっおんのさ
明日花、今日はちょっず倉だよヌ」
.
詩暮の蚀葉に、明日花は䜕か
決意したように頷き、赀面しながら
蚀った。
.
「だ、だからその  」
.
「なぁに」
.
碧は続きを促し、
明日花は答える。
.
「これ、ほ、滞がくれたスカヌフだから。
だから、その、ちゃんず服たで
合わせおみようず思ったのよ」
.
最埌の方はどこか消え入りそうな声で、
明日花はしどろもどろに喋り終えた。
.
その蚀葉を聞いた途端、
詩暮ず碧はニダリず笑っお瀺し合わせ、
䜕か悪巧みをしおいるような様子になった。
.
「ふヌん、そうなんだ、滞さん、
心圓たりは」
.
詩暮の悪ノリに、僕は頷いお返した。
.
確かに、明日花のしおいるスカヌフは
僕が芋繕っおきたものだった。
.
だけど、たさか気合を入れお
合わせおきお、僕らに芋せおくるなんお
思わなかったな。
.
「乙女ですねヌ」
.
「乙女ですなヌ」
.
碧ず詩暮はすっかり明日花を
煜るモヌドになっおいる。
.
䜕も反論できなくなっお、
明日花は珍しく終始赀面しながら
恥ずかしがっおいたのだった。


#data_end

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🌌 FusionGateアルファの庭園 ストヌリヌ[txt]

🎮 FusionGateAlpha.After

🖌 FusionGateAlpha;俺はか぀お元井滞(もずいほずり)だった