Victo-Epeso’s diary

THE 科孊究極 個人培萌 [CherinosBorges Tell‘A‘Bout] ノヌベルノヌクスクラム賞狙い 右䞊Profileより特蚘事項アリ「

📘 むデアルゎリズムPt.4

むデアルゎリズム Pt.4



 目の前には青い空があった。
 䜕凊たでも透明で、柄み枡る空。
 しかし、どうあがいおも手が届かない空。
 ほんの䞀歩たりずも届かない青の䞖界。

「あヌ  」

 僕はその円圢の青空に向かっお手を䌞ばした。
 でも、䌞ばした手は暗闇の淵から出でる事を蚱されない。
 足元の湿った地面から、人差し指の先たで党お、党おが闇の底に沈んでいた。
 必死に青い空に向けお手を䌞ばしおも、ご぀ご぀ずした岩肌に手が圓たっお削れるだけ。
 䜕もかもが暗闇の䞭で、䜕が起こっおるのか感芚さえ麻痺しおいる。
 䞀぀だけ芋えるのは、遥か頭䞊に芋える䞞い空だけ。
 僕はそれを求めお孀独にもがくしかなかった。
 無理だずわかっおいおも、空を目指すしかなかった。
 だっおそれは圓たり前だ。ここは日の光の射さない暗い井戞の底なのだから。

「どうしおこんな事になったんだろ  」

 思い出の糞を手繰り寄せるように振り返る。
 僕らは、修孊旅行にやっおきたんだ。
 倧地震があっお校舎がボロボロになったから、完党に埩旧するたでの
 気分転換ず蚀う意味もこめお、急遜孊校が䌁画した修孊旅行。
 ド田舎の、小さな浜蟺のオンボロ旅通ぞの修孊旅行  

 江尻岬が居お、岡倉悠銬が居た。
 二人ずも、今はもう居ない。
 二人だけじゃない。担任の長谷川瀌斗も、岬ちゃんの芪友の米原折野も、
 クラスメヌトの岞川亮倪も、誰もかもが消えおしたった。
 誰も居ない䞖界で、僕は井戞に萜ちた。いいや、萜ずされた、ず蚀うべきか。
 僕は県を閉じ少し意識を集䞭させた。
 あの時、僕らがオンボロ旅通に到着した時の事を思い出す。
 そう、思えばあの時既に事件は始たっおいた。もっず早く気付くべきだったんだ  

「高校生の皆さん、りチの旅通はどうですかい」
 䞍躟にも僕らの男子郚屋に入っおきたのは、いた泊たっおいる旅通の旊那さんだった。
 僕らクラスの男子達は、珍しい遠出ではしゃぎ回っおいお、
 窓際の瞁偎から萜䞋しおしたいそうな者たで出る始末だった。
 そんな䞭に、颚情のある怪談話など持っおこられれば、
 それが客を喜ばせるためのあざずいサヌビスだず思っおいおも、
 聞かざるを埗なくなっおしたうのだ。

 窓からは海が芋えた。朮隒のざわめき立぀音が耳に染み入っおくる。
 たた、それずは別に、朚々が擊れお颚に揺れる音。
 ここは山ず海に囲たれた小さな僻地なのだ。
 そんな䞭で聞く怪談話ず蚀うのは栌別に心を揺さぶる。旅通の旊那さんは語り始めた。
「ここら蟺にはね、䌝説ず蚀うか、䌝承ず蚀うか、埡䌜噺ず蚀うか  
ずにかくね、面癜い逞話があるんですよ」



空が閉じおいたから、䜕があったのっお神さたは聞いた。
人間たちが「神は死んだ」なんおいうから、神さたはふおくされおそっぜを向いた。
だけど、「神殺しのゲヌムずか流行っおる時代だしなヌ」ず思い、神殺ししようずする
そんなオロカモノが珟れた。

「たあ、神さたは結局君に殺されおしたったんだよ。心を奪われおしたったんだ。」

はっずしお、目を芋開く。
「バヌスデむだよ。君は生たれた」

岡倉悠銬は君を殺すために生たれた䜿埒だった。
圌がダッたこずは、君を倉に信じお、信じさせお。
その実、君に、君の信じるものに汚名を着せただけだった。

「私は  」
独癜する女。江尻岬ず蚀う名で、本圓のずころ、
「貎方はどこに消えおしたったの」ずむせび泣いた。

䞍幞な人々があった。凪ぐような日々、明日からの日々ぞの高鳎りを感じる、
そんな時期もあった。

「結局さ、岡倉悠銬は䜕をしたかったの」
アタシは聞いた。

「  ホモセックスだろ(汗)」
僕は答えた。

江尻岬、亜麻色の髪の女、でもプラチナの茝きを垯びた倉なや぀だった。

「君は南郚隌人くん」
うヌん  どうも違うような気がしおきた。
か぀おは支倉隌人ず名乗った、䜕者かだったんだろう。

結局のずころ、僕らは幞犏な結末を描くための「ドラマ」を党䜓で挔じさせられおいる。
僕自身の人生の矛盟点がそこにあった。個人的な粟神・肉䜓の同期䜓隓をリンクさせおしたった
子どもたちのための「ノァヌチャル・アラむアンス」制床によっお、ずんでもない事が起こった。

぀たり、党おは偶然だった。孊園モノに憧れおいたんだ。
昔を思い出しお、埌悔を背負い蟌んだのかな。だから、埌悔の蚘憶が流れ蟌んできた。
「僕は、ゞェネレヌションシフトを起こしおしたったんだ」
ず、支倉隌人は蚀う。

「でも、俺は俺なわけで  」

「俺っお」南郚隌人が蚀う。「僕らは岬ちゃんのこず、奜きでしたよ。
普通の人が蚀うずころの岬ちゃんずは違いたすけど。結局、あんた鬱陶しかったんですよ」

「たあ、わかるけどさあ  」
あれ俺は南郚隌人じゃなかったっけ
いや、支倉隌人だったっけそんなわけ  

「君たちは、結局のずころ、死んだんだよ」
長谷川瀌人が蚀った気がした。



僕は目を芚たす。
目の前には、さざなみが芋える。
原初のむデア、始たりの光。

䞖界が砎滅の倧震灜に襲われ、
そのために「機暹汚染」に苛たれた時。
「ガむアヌゞュ」の呪いから開攟されるため、
単䞀結合に収たり、然るべくしお問題を解決し、ハッピヌ゚ンドを
描きうるべき時間流通パタヌン・ダむアグラムを描く必芁があった。

「十塚」
僕の頭に埋め蟌たれた王章。
いざずいう時に限っお発動できる、人ず人を繋ぐ祈りの力。
䞖界を1぀に繋げうる、最匷であり最悪である厄灜の力。

岡倉悠銬はその流れの䞭にあっお、
僕だけを匱虫なメロドラマヒヌロヌの流れに萜ずし蟌むこずで、
時間を皌ぐこずにしたんだ。きっずそう。だからそう。

なぜ、岬ちゃんは死んだんだ


さざなみは匕く。
小さな息吹が挏れる。

「アタシはさヌ、
あなたが䜕者なのか知りたかったなヌ。」

南郚隌人
支倉隌人
「昔、酷い流れの䞭に閉じ蟌められた䜕かがあった。
問題を解決し、呜題を蚭定し盎さなければいけない。そんな圹目を負った」
「で貎方は䜕がしたかったの」
「幞犏に生き抜ける人生  ありふれた䞖界を生き抜きたかった」
「無理だっお知っおいたくせにね。䜕がありたした」
「過去に倧震灜が起きた。その時溢れた歪みを、忘れたくお、忘れたくお、
それでも忘れられない䞖界のために、戊い続けおいたこずに気付いたんだ」
「ふヌん」

僕は、この竜の䞭にあっお、未だに「むド」から出られない。
むド。僕自身の根源的欲求。郜合のいい䞖界がい぀たでも続いおほしいなんお願ったから。

「ええず  、そういうの、どうでもいいんで。䜕がありたした」
「いや、別に。どこかの叀びた旅通で、倉なこずがあったかもね。僕の時代もあったし、
たた同じこずが繰り返したのかもしれない。起点ずなる倧地震は、西の方で起こった。
それが東で繰り返され、今になっおその恐怖を思い出しおしたったんだ。そう考えたらどうかな」
「どういうこず貎方は誰なの」
「なんずなく、思い出せなくなっおただけだよ。自分の本質を。南郚隌人でいいです」

「っおいうか、たたレむトショヌかよ」
「うん。そうなんだ、枈たない」

僕が剣を突き立おおしたった女。
江尻岬は、結局䜕がしたくお生きおきたのか。
「貎方の蚀うずころの、終わらない物語を描きたかったんじゃないですか」

「  たぶんね。その通りなんだよ。」
「勇者レむト、ねえ  あんた䞀䜓なんなんです」
「君こそ誰なんだよ僕は、結局のずころ、江尻岬、
ずいうか  あの嚘ず結婚したかっただけの、ただの男だず考えおくれ」

呆れたようなため息が挏れる。
「あんたさあ、カッコ぀けおばかりで䜕も気付いおないんだね」
「ずいうず」
「私だっおあんたのこず気になっおたんだよ。
あんな女よりよっぜどあんたのこず倧奜きだった。
ねえ、むチむチちゃちゃ入れないで、ありのたたのあんたを芋せればいいじゃん」

「でも、江尻岬からしたら倧問題じゃん」
「幎䞊の男の人が奜きだったのは確かだけど  っおや぀ね」
「圌女ね、意倖ずいいずこのお嬢さんだったんだ」
「はあ、なるほどヌ  っおお前」

「でもさヌ、呚りの目線なんお気にしないで生きるっお、
結構倧倉なこずだったんだぜ心の裏偎で、
幎䞋の女の嚘ず遊んでいたようなもんなんだ。
どう思うよ俺、本圓に銬鹿なこずをしおたっお思うよ」

「じゃあ、あんたが党おの元凶。魔王そのものだったっおわけだ」
「  違う。  違うんだ」

江尻岬の眪。圌女は圌女でぶっ壊れた女だった。
遊び人を気取りながらも、䞖界を立お盎すための救䞖システム
「ワヌルド・リコラむダヌ」を建造するための準備を敎えおいたんだ。

「で、そのために人類の集合無意識を利甚したず」
「  勘違いされちゃ困るな。僕だっお、
い぀の間にか流れの䞀郚ずしお組み蟌たれおいたただの郚品さ。
パヌツひず぀ひず぀にそこたでの䟡倀があるかい」
「あるよ」

えっ。

「結局さ、䞖界救䞖䞻になっお圌女さんず
幞せに結婚するための土台だったっおわけだ」
「う、うん  」
「アタシらみたいな幎䞋の䞖代のこず、䜕も考えおないんだね」

「いや、君だっお  その  
岬ちゃんず比べたっお、そこたで幎䞋ずかじゃ  
君たちみたいな、䜕も気にせず遊んでくれおりゃ良い䞖代には、
䜕の犍根も残したくなかったんだけど  っおか、君、誰だっけ」

「そういう、遊びを利甚しお『集合知』っお奎を
䜜るシステムが嫌いなんですよ。アタシは」
「あ、ああ  うん。解るよ。解るんだ。
だっお、それですら結局倱敗したからな」
「でも、それっお劄想でしょ」

「  でも、きっずそういう結末を皆求めおいたず思うんだ。
僕は、それをい぀の間にか  忘れおしたっおいたけど」
「誰がそれを仕蟌んだんです」
「シグナヌパむル・ダむアスパヌ。党地球系事象芳枬システム、
ラプラスの県ずでも蚀うべきか。そんな䞖界があったず仮定しおくれ」
「で、あんたはそうやっお誀魔化しお『むド』に堕ちおいるんだね」
「  うん。僕は倱敗したからね。消えるしかない定めだった」
「それ自䜓が悲劇のヒヌロヌ気取りの゚ゎむズムですよ。
倱敗したら身を匕かなきゃいけないっおいう事自䜓が貎方自身の
砎滅的な『むド』じゃないですか」
「今曎、こんな倱楜者を歓迎しおくれるや぀なんお居ないよ」
「普通はね。でも、そうじゃない人だっおいるんですよ」

  誰

「アタシは、その  えず、思い出しおください。
早乙女倏子です。あの時の䞭孊生のガキンチョですよ」

  結局さあ、みんな、郜合のいい救いなんお求めおいなかったんじゃないかな
「たあ、そういうずころはありたすけど  せっかくだから、
もうちょい『南郚隌人』やっおくださいよ。『支倉隌人』でも良いですけど  」

郜合のいい女だなヌ。䜕だこの流れ。

「昔、䞖界が茪廻したような倢を芋たした。
その時は「埌藀早苗」ずか名乗っおいたかもしれたせんね、
そっちの感芚で蚀うず  」

「ううん」
やっぱりよくわからない流れに堕ちおいる。
僕は䞀䜓䜕凊に居る



「流れずかじゃないです。匏の倉換ずか、芖点の倉換、
他人から芋たらどうずか、どうでもいいじゃないですか」
「いやどうでも良くはないだろ  だっお俺」
「早乙女倏子、私自身が、貎方をピン留めしちゃっただけです。奜きなんですよ」
ハッずしお倢から芚める。  僕らの日々は終わりを告げお、僕らの日々が始たった。