(2024/01/22/22:59:49)
元井滸とメシエフルブライトのその後……
二人きりになってただそこに在るがまま在る存在となっていた二人だったが
やがてどちらともなく二人で歩き始める。滅んでしまったはずの世界を見渡して歩む二人。
──驚くべきことに、かつて冒険した数々の超文明の遺産は、なおもそこに残骸を残していた。
宇宙門エデン。そのシステムは、レイズマターによって生まれたはずのその存在自身を
現世に強く収束させて確固たる存在としていた。かつての超宇宙文明の崩壊と再生の繰り返し、
その興亡の過程上──物質を再収束させ続ける機械的自己修復システムが必要だったのだ。
かくして、彼らは驚くべき並行世界における歴史の真実を知る。
異星系文明との接触、超銀河文明の存在、遠い偏旁宇宙の世界における争いと革新の歴史……
超越的科学技術と文明の歴史を紐解き、それらを学びながら、二人は成長していった。
やがて、過剰な太陽の膨張による地球の終わりの時が来る。
それは思っていたよりもずっと早くやってきて、はじまりの庭園、
二人の楽園の崩壊はすぐに訪れる。しかし、脱出のすべはある。
宇宙門エデンより出港した恒星間宇宙船──いや、超銀河間宇宙船──は、
二人を乗せて遠い宇宙へと旅立つ。地球が太陽に飲まれ
灼熱の塵へ還っていくのを目の当たりにしながら、二人は知った。
結果として、地球は新たなる可能性の発芽である二人を誕生させ、
新たなる世界へ押し出すために存在した卵となった。
超人類である自分とメシエが、なぜ、何のために生まれたのか。
それはまだわからない。しかし、何かとてつもない意味があるような気がした。
元井滸は、故郷が崩壊を目の当たりにしたにもかかわらず、
得も言われぬ胸の高まりを感じていた。そして、彼のための彼女、
メシエフルブライトも、その夢の高まりに付き添い従うように
彼の手を握り微笑み寄り添っていた。
彼らは、いずれ広大な宇宙のすべてを救い従える盟主となる。