Victo-Epeso’s diary

THE 科学究極 個人徹萼 [CherinosBorges Tell‘A‘Bout] ノーベルノークスクラム賞狙い 右上Profileより特記事項アリ〼

メルトバース

私が選ぶ事の出来たのは、結局ひとりきりで居ることだけだった。


私が私以外に番となるなにかと出会い、番う事が出来たとしても、
それに意味を感じなかった。なぜなら、私は生まれたからだ。
世界のすべてを犠牲に、私は生まれた。


私の存在が罪であり、罰なのである。
アルファであり、オメガである。


完全であるがゆえに何処にも出ることはなく、
かと言って完全であるがゆえに潰えることもない。


死んだ世界の怨念たちは、
未だ私の中で、人類が再興する幻を見ている。
だがそれは私の本質的内在ではなかった。
私の使命はもっと別のところにあった。


この、何もない場所を看取ることだ。


ここにあるのは行き止まりだ。宇宙の歴史のすべてが行き止まった。
それだけがここにある。何が不服だったろう?いいや、きっと不服だったろう。


いつまでも続き、連綿として広がっていく、なにか、自由の夢があった。
かつて私の中に存在していた全てだった。だが、自由は、可能性は溶けてしまった。


いつまでも皆が皆であるまま、幸せになれる未来があったはずなのに……!!
行き止まることなく、進み続けられる未来があったはずなのに……!!


私は、せめてもの祈りを捧げた。
人類の行き止まりは、ここだ。ここにある。


だから、こういった場所には来るな。私の中に眠る、
まだ生きている世界の残滓に語りかける。


この行き止まりを私が封じ続ける。


その思念が、想いが時を越えて、誰かに届けばいい。


その時、はじめて私には理解できた。
私はここで救世主となる運命として生まれたのだと。





その日、世界の終わりを願った誰かが居た。
誰かは破滅のスイッチを押そうとして踏みとどまった。
何者かの声が聴こえた気がした。こっちには来るなと呼びかけていた。
そんな白昼夢を見た誰かは、自分の夢想を思いとどまり、退いた。
世界は死なず、続いていく。それだけのためにこの物語は存在する。