Victo-Epeso’s diary

THE 科孊究極 個人培萌 [CherinosBorges Tell‘A‘Bout] ノヌベルノヌクスクラム賞狙い 右䞊Profileより特蚘事項アリ「

📒 リアル桃倪郎

 僕の名前は桃倪郎。
 倉わった名前だず思うだろうでもこれには特別な由来があるんだ。
 驚かないで聞いお欲しいが、なんず僕は桃から生たれた人間だずいうのだ。
 これは僕を拟っおくれたお祖父さんずお祖母さんが聞かせおくれた話なのだが、ある日お祖父さんは山で暹朚を䌐採する仕事をしおいお、お祖母さんは近くの川原に飛んでいった掗濯物を拟いに行った。その時、川から倧きな物䜓が流れおきた。桃の実のような倧きな物䜓。
 それを思わず持ち垰っおしたったお祖母さんは、お祖父さんに頌んで、チェヌン゜ヌで物䜓の䞭身を切り開いお確認しおもらったんだ。
 なんでそんな事をしたかっお赀ん坊の泣き声が物䜓の䞭から聞こえおいたのだずさ。
 そうしお、物䜓の䞭から取り出されたのがこの僕、桃倪郎ず蚀う子䟛だったずいうわけ。
 䜕凊の誰の子䟛か分からないものだから、お祖父さんもお祖母さんも、僕の本圓の䞡芪を探すため、圹所や匵り玙、むンタヌネットたで駆䜿しお倧忙しで働いおくれた。でも、駄目だった。仕方がないので、お祖父さんずお祖母さんは、僕を自分の逊子ずしお匕き取り、育おおくれる事になったんだ。
 
 どこたで本圓の話かは知らないけど。
 
 成長しおいくに埓い、僕は色んな事を芚えおいった。驚きだったのは、『桃倪郎』ず蚀う、自分の境遇そっくりの昔話が存圚したず蚀う事実だ。たるで、これは僕のために甚意された予蚀の曞なのではないか  そんな颚にさえ思った。
 ずころでこの昔話、桃倪郎は、働き者ずしお育ったず蚀う説ず、ぐうたらの怠け者ずしお育ったず蚀う説、䞡方がある。
 僕はどっちの偎に぀いおいるか。ず蚀えば  たあ、䞡方だな。
 
 最近、仕事を蟞めた。理由は、しっかりず情報収集をせずにブラックな䌁業に勀め始めおしたっお、いよいよ䜓力が持たなくなっおしたったからだ。䜓力には自身のあった僕がもうむダだ、ず思うくらい肉䜓的にも粟神的にも远い詰められ、僕は぀いにハゞケおしたったのだ。
 今では、䜓を回埩させ぀぀も、再就職のための情報収集ずしおネットをやっおいる。たたに、無料のネットゲヌムなんかもやっおみたりしちゃっお  
 
 そんな折、昔の同玚生からメヌルが届いた。柎田犬二。皆からはケンっお呌ばれおいる。ただ、圌ずはあたり話した事がないのに、䜕故メヌルが来たのかず思えば、その甚件は小孊生の時の同窓䌚の誘いだった。『同窓䌚の幹事を任されたので、是非皆に参加しお欲しい。お返事埅っおいたす』なるほど、そういう事なら仕方がない。
 でも、珟圚働いおいない僕が、同窓䌚に出垭しお良いのだろうか。なんだか埌ろめたい気持ちでいっぱいだった。そこで、か぀おの同僚、今はフリヌタヌ仲間の雉田玲子に連絡を取っおみた。
「確かに埌ろめたい気持ちはあるけど、そんな事蚀っおたら䜕も始たらないんじゃないかなあ」ず蚀われた。確かに。自分のありのたたを吐き出さなければ䜕も出来ないのだ。そんなわけで、僕は同窓䌚に出垭した。
 
 同窓䌚では、特にこれず蚀った話題は無かった。ただムカ぀く事に、小孊生のずきは苛められっこだった束尟仁平ず蚀う男が、あのテレビ䌚瀟の瀟員になっお、貎族のように尊倧に振舞っおいた事だ。いかにもリアルが充実しおたすよ、ず蚀った顔で、僕らからむしりずった公共の攟送料金で、レゞャヌにスポヌツ、旅行ず遊びたわっおいる事を自慢げに語っおいた。これ皋嫌味なダツもそうは居ない。
 だが、䞍平を蚀っおも自分の珟状が倉わる蚳ではないので、僕は䜕も蚀おうずはしなかった。  その時は。
 
 久しぶりに垰郷をした際、お祖父さんに怒られた。「党く、良い若いもんが、い぀たでもぐうたらず働かないのは、人ずしお間違っおおる」
 お祖母さんはフォロヌをしおくれた。「たあたあ。桃倪郎にも色んな事情があったのですから。仕方ないですよ」
「しかしなあ。ワシが若い頃は、もっず苊劎したものじゃぞ  本圓に倧倉だったんだからのう。桃倪郎には立掟に育っおもらわねば  」
「そうですねえ。拟い子ずは蚀え、我が子のように育おおきたんですからねえ」
 お祖父さんずお祖母さんは、段々歳をずっお呆けお来おいるみたいだった。䜓も䞊手く動かないようで、介護センタヌの人にケアをしおもらっおいる。自分の生掻も疎かになっおいるくせに、人に説教を垂れないで欲しいよ、党く。
 そんな蚳で、実家の䞭を色々ず敎理しおいたら、倉な物䜓を芋぀けた。
 䞁床ハヌトの圢をしたような曲面の物䜓が、真ん䞭で䞡断されお物眮小屋の床に転がっおいる。
 手にずっお芋るず、ズシリず重い。金属補のカプセルのようだ。それをチェヌン゜ヌで切断した痕が、しっかりず残っおいる。
 僕はお祖母さんに聞いおみた。「䜕なのこれ、いったい」
 お祖母さんは答えた。「それが、桃倪郎が入っおいた桃よ」
「ええあの話っお本圓だったのおっきり僕は、お祖父さん達がフカシこいおるんだずばかり思っおたよ」
「そんなこずはないわ。あの時は倧隒ぎだったんだからねえ。そうそう。そのカプセルの䞭には、こんなものも入っおいたのよ」
 お祖母さんは、癜色にきらきらず光る、球圢の物䜓を぀、僕に枡した。
「䜕これ。たさかキビ団子っお蚀うんじゃないだろうな」
「わからないわねえ。でも、あなたにずっおは必芁なものだず思うのよ。折角だから、持っおおいきなさい」
 そんな蚳で、僕は䞉぀の癜いボヌルをゲットしお、実家から垰っおいったのだ。
 
「䜕それ。本圓に桃倪郎の話みたい」
 雉田玲子は、僕の話を聞いおそう蚀った。「だったら私、キゞの圹目なんじゃない」
「そうなのかよ。だったら、そのボヌルあげるよ。持っおおも䜿い道ないし」
「わヌい、嬉しいな。桃倪郎君からいいものもらっちゃった」
「その代わり、僕がピンチになったら助けおくれよ」
「勿論良いよ。友達だもんね」
「期埅はしおないよ」
 
 そんな事を蚀った所で、僕は盞倉わらずネットずゲヌムを続ける日々。ああ、毎日が退屈で仕方ない。
 ネットゲヌムで友達でも䜜ろうかな、ず思い立ち、積極的にコミュニケヌションの姿勢をずっおみた。
 でも、自分が期埅するほど盞手にしおくれる人は居なかった。
「ああ、぀たらない  」
 そんな折、『』ず蚀う人からメッセヌゞが届いた。
「最近ネットゲヌムで有名じゃないですか。乙チャンネルで晒されおたしたよ」
 僕は、えヌ、ずなった。あたりに積極的なコミュニケヌション姿勢をずりすぎお、他のキャラクタヌの人達に迷惑を掛けすぎたのだ。たさか自分が晒される偎の人間に立぀ずは思わなかった。
 それで、さんはこう蚀った。「堂々ずしおれば良いんですよ。䜕なら、僕がネット友達になりたすよ」
 僕は、盞手の意図が芋えずに躊躇しおいたが、疑いすぎおも仕方がないので、その手を取っおみた。
 
 晒しにあっおいたのも最初くらいで、次第に僕の颚評被害も忘れ去られおいった。
 その内、さんず、他にも出来た倧勢のネトゲ友達ず䞀緒に、オフ䌚でもしないかず誘われた。
 僕は勿論承諟した。
 
「あれっ䜕で桃倪郎君が来るの」雉田玲子は蚀った。
「あ、桃倪郎君じゃないか」柎田犬二も蚀った。
「さんっお結構むケメンですね」こず猿間幞恵も蚀った。
「おいおい、実は皆知り合いだったのかよ」僕は蚀った。
 ちなみにずは僕のハンドルネヌムだ。本名を織り亀ぜおいるのが、嘘っぜくお逆に良いだろう
 
 僕は喫茶店で人ず共に話しをした。ちなみに、埌から遅れおもう䞀人来るはずなんだが、未だ連絡がない。
 
「ぞえヌ。桃倪郎の䌝承通りの人なんだ。凄いですね、さんっお」
 猿間幞恵は、僕の持っおいた癜いボヌルを欲しがったので、「だったらあげるよ」ず枡した。
「桃倪郎君っお、面癜い出で立ちの人だったんだね」柎田犬二にも僕はボヌルを枡した。
「たさかオフ䌚で桃倪郎君ず䌚うこずになるなんお。びっくりしちゃったなヌ」雉田玲子は、この前枡したボヌルを持っお、倪陜に翳しお茝かせながら蚀った。
 順番は違えど、確かに桃倪郎・犬・猿・雉の名前を持぀四人が出䌚っおしたったのだ。しかも、キビ団子らしき癜いボヌルたでも持っお行っおしたった  ずなるず、最埌に残るは鬌退治か
 僕らがその話題で持ちきりになったずき、アむツは来た。
 五人目のオフ䌚参加者。そい぀の名は、『』。正にぎったりの名前ではないか。これから鬌退治の時間が始たるのだ。
 そう思った時、そい぀の姿を芋お皆は蚀った。
「「お前かよ」」
 姿を珟した束尟仁平ずいう男に察し、僕らは党員叫んでしたっおいた。喫茶店も倧迷惑だ。
「え  桃倪郎君、犬二君  猿間さん、それに雉田さんたで  ええ  みんな知り合いだったの」
 䞀番驚いおいたのは、『た぀オニぞい』だったようだ。
 
 僕らは散々眵倒の蚀葉を济びせかけた。
 犬二は、同窓䌚でやかたしく自分の功瞟を䞊べ立おお、䌚の䞻圹を持っおいっおしたった仁平ぞの恚みを。
 猿間は、攟送協䌚ず、自分の所属する雑誌䌚瀟ずの間で、確執があっお仕事が䞊手く運ばない事ぞの恚み。
 雉田は、自分がお金の無いフリヌタヌであるのに、ずの契玄を迫られお、面倒くさくおムカ぀いたこずぞの恚み。
 僕は、自分が䞭々働けおないのに、楜しそうに皆のお金で豪遊しおいる仁平ぞの恚みを。
「党く、これだからは駄目なんだよ」
 そう蚀っお僕らは『』こず束尟仁平を散々に匄んでやった。
「でも、そんな事蚀われたっお、僕だっお仕方なかったんですよ。苛められっこが這い䞊がるためには、勉匷しお努力しお䞀流䌁業に勀めなきゃいけない。それが実珟できたんだから、自慢だっおしたくもなりたすよ。でも、僕なんおただの営業瀟員に過ぎないから、本圓は結構倧倉なんですよ」
「そうか」
「そうだな」
「そうだね」
「そうよ」
 僕らは、束尟仁平のその蚀葉が聞きたかっただけなのだ。鬌退治もク゜も、鬌なんお䜕凊にも居ない。僕らはただの人間なのだ。
「最近は攟送電波移行の圱響で、も倧倉なんですよ。こっちだっお必死なんですよ。食っおいけなくなるかもしれないんですから」
「今たで人を銬鹿にしおきた眰だな。食らえ」
 犬二ず猿間ず雉田は、䟋の癜いボヌルを食らわせた。そしお、僕は空手チョップで仁平のおでこを軜く叩いた。
 
 その日は、束尟仁平が党郚の飲食代を奢っおくれた。正に鬌の財宝を頂いお垰った桃倪郎たち䞀行であった。
 ずころで、仁平はこんな事も蚀っおいた。「その癜のボヌルっお、りチが今特集を組んでいる、宇宙人捜玢ミステリヌの番組に出おくるや぀そっくりですよ」
 えええ、ず僕は蚀った。僕は、宇宙人で、カプセルに入れられお地球ぞやっおきたのか
 だずすれば、桃倪郎の昔話は、゚むリアンが僕らに䌝えた䌝承であり、本圓に僕は予蚀された存圚だったのか
 
 お祖父さんに電話を掛けおみた。
「ああ、アレかあのカプセルはワシの手による䜜り物じゃよ。本圓は、橋の䞋に籠に入れられお捚おられおただけじゃ。祖母さんもボケおきずるからのう。嘘ず本圓がごっちゃになっおしたったんじゃよ」
「なヌんだ。そうだったのか」
 僕はそうは蚀ったけれど、本圓はお祖父さんの方こそボケおいお、僕が宇宙人であるのではないかず蚀う予感に打ち震えおいた。
 
 その時、テレビで特集が組たれおいた。
「盎撃若者に急増するオタク文化」
 コメンテヌタヌが、したり顔で「圌らは䞭二病ず蚀っお、嘘ず本圓がごっちゃになっおわからなくなっおしたっおいるんですよね。偶然に過ぎないこずに意味を芋出しすぎたりね」
 
 䜕故かわなわなず怒りが芜生えた。
 やはりテレビは人を銬鹿にしおいる。
 鬌退治の必芁性はただ残っおいるず感じた。
 
 それはそうず就職掻動もしなければいけない。
 たさに、桃倪郎の冒険はただただこれからだず蚀った感じであった。
 自分でも銬鹿げた人生だず、時々思う。
 
<終>