Victo-Epeso’s diary

THE 科学究極 個人徹萼 [CherinosBorges Tell‘A‘Bout] ノーベルノークスクラム賞狙い 右上Profileより特記事項アリ〼

空間圧搾

かつて、空間圧搾技術と言うものがあった、らしい。


塔の都市を作った、先史文明の遺産だ。
この塔は空間圧搾によって普段通常の空間位相から隠されており、
恒久の時間に耐える強さを持っているらしい。


しかし、その塔が通常空間に姿を表したということは、
滅びの力がそこまで巨大だったということだろう。


塔は時の流れの侵食に晒され始めた。実に、数十万年ぶりにだ。


私は、この塔が何のために作られたのかはわからないが、
遠い昔、塔からパージされた先史文明の一部の人種が、
自然に帰化して今の社会における原人になったであろうことが判明した。


本当の文明は、空間圧搾の奥に姿を隠し、
空間圧搾の手前である通常空間においては、
地球が原人や原生命の星になっているママに任せたのだ。


塔の都市に散見される史料の記述を読み取ると、おそらく、外敵から身を護るために
この塔の都市は空間圧搾を使っており、通常の空間における星や生命は、塔の都市の
表面についた苔のようなものだった。大きな一枚岩が表面にこびりついた苔にいちいち
注意を払ったりはしない。それをカモフラージュのように利用していたのかもしれない。


かつて未来的な文化と技術を以って完成したこの都市は、
しかしなぜその都市構造体部分のみを残したまま住人を消し去ってしまったのか。
それだけは理解らないままだった。


私は、いつものように都市の探索を続けていた。
そこが都市の辺縁部なのか、中心部に近いのか、理解らないままだったが。


ある時、誰かの声を聞いた気がした。
若い女性の声のような気がした。私は引き寄せられるように
その建物に入っていって、気がつくと意識を奪われていた。